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「読めば分かる」力で闘う

AIが仕事を奪う

「AIによって人間の仕事の半分が失われる」ということを聞いたことがある人は多いでしょう。今回のノートでは、私自身がそんな「AI社会」の中でどうすれば活躍できるのかを考えていきたいと思います。

そもそもAIとは

皆さんは「AI」をどういったものと考えているでしょうか?「人工知能」と言われる通り、AIが人間のように思考していると考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、そのようなAIは存在しないのです。今、AIと呼ばれているものは「思考しているように見える計算機」にすぎません。なぜ、AIが計算機にすぎないのか。それは、AIが全て数学に基づいているからです。そして、数学がものごとを表現する手段は、「論理」「確率」「統計」という3つの言葉だけなのです。そして、この3つの手段では1つ決定的にかけているものがあります。それは「意味」を表現することができないということです。例えば、「私はあなたが好きです」といった簡単な内容も数学で表現することはできません。このように、人間の知能と、AIの知能というのは全然違うものなのです。

AIの実力、すでに人間の上位20%並

AIと共に過ごしAIに代替されない人間になるには、AIのことを知らなければいけません。AIの今の実力はどの程度なのでしょうか。「東ロボくんプロジェクト」を知っているでしょうか。これはAIの「東ロボくん」が東大の合格を目指し、センター試験と二次試験の問題を解くという研究開発を行なったプロジェクトです。このプロジェクトの結果、「東ロボくん」は2016年のセンター模試で偏差値57.1を獲得しました。偏差値57.1とは全受験者の上位20%ほどに位置するということです。そして、この偏差値では、MARCHや関関同立の一部の学科に十分合格できるのです。つまり、「人間の仕事を代替する可能性のあるAIがすでに人間の上位20%ほどの実力を持っている…」のです。

なぜ「AI=計算機」に負ける? 「文章を読めない」

大学受験するということは、レベルの差はあるにしろ勉強によって自分の道を切り開こうとする”優秀な”人であるはずです。では、そんな受験生たちの80%がなぜAIに負けてしまうのでしょうか。その理由として大きいのが、「文章を読めない」人が多いということです。例として、RST(リーディングスキルテスト)という読解力を測定するテストの1問を紹介します。挑戦してみてください。AIは正解しています。

”次の文を読みなさい。

「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」

この文脈ににおいて、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい

「Alexandraの愛称は    )である。」

①Alex ②Alexander ③男性 ④女性”

まず、この問題を解いた中学生と高校生の様子を見て見ましょう。

中学生

高校生

正解はもちろん①のAlexです。この問題の正答率は中学生で38%、高校生で65%でした。ちなみに、このデータの高校生たちは進学校に通う高校生たちです。中学生の正答率の低さには衝撃を受けますが、進学校の高校生ですら35%は正解できていないのです。「文章を読めない」人の多さを感じてもらえたでしょうか。このRSTを開発した研究者の新井紀子さんたちのグループは、こういったRSTの結果のデータから「中学生の半数は、中学校の教科書を読めていない状況」にあると判断しました。文章が適切に読めなければ、身につけたいスキルがあったとしても参考書を読んで理解することができません。受験の問題も正しく読めなければ正解できません。他の人が話している内容を適切に理解することができません。ひどければ、間違った解釈をしてしまうかもしれません。会社側の立場からすれば、そのような人を雇うくらいならAIを使った方がマシという判断をしてもおかしくありません。

「読めばわかる」ことの重要性

先ほどの簡単な問題ですら読めない人は今後の世界では、無価値、AIに代替されるとしか言えません。「読めない人」は作業マニュアルや安全マニュアルを読んでも理解できないのですから、そんな人に仕事を任せることはできないでしょう。AIを搭載した機械を導入した方がトラブルも少なくなります。ですから、「読めばわかる」というのは重要なのです。「読めばわかる」力があれば、AIに代替されない人間になるだけでなく、取得したいスキルに関係する本を読んで勉強することができます。自分で自分の未来を作ることができるのです。

私の将来

私は将来、地元の山形で起業をしたいと考えています。その事業のアイデアの一つとしてこの「読めばわかる」は活用できると思っています。なぜなら、中学生の半数は教科書が読めず、進学校の高校生ですら3割ほどは教科書が読めない。これだけでも、「教科書を難なく読めるほどの読解力をつけさせる学習塾」に需要があると考えられます。また、中高生がそれだけの読解力ということは、これまでの教育を受けてきた多くの大人たちも「読んでもわからない」状態にいると思われます。「読めばわかる」力を身につければ、資格の勉強もこれまでよりスムーズにできる可能性があります。時間の少ない大人にとってかなり魅力的なのではないでしょうか。

地方から「読めばわかる」人材を育て、その人たちの力で地方創生も進展するかもしれない。そんなことを考えました。

社会全体にとっても、この「読めばわかる」力を身につける人が増えることはいい影響があります。「読めばわかる」力のある人が増えれば、これまでより生産性は大きく向上するからです。「読めばわかる」ということは「意味がわかる」ということでもあるので、対面でのコミュニケーションも無駄がなくなります。一回で言われたことを理解し、実行に移せる人が増えればかなり仕事を進めやすくなるのではないでしょうか。

ぜひ皆さんも、自分の読解力を見直してみてください。そして「読めばわかる」力を鍛えてください。

参考文献

『AI vs 教科書が読めない子どもたち』・新井紀子

https://www.amazon.co.jp/AI-vs-教科書が読めない子どもたち-新井-紀子/dp/4492762396/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=37ULAUPYBO5LH&keywords=ai+vs.教科書が読めない子どもたち&qid=1579507781&sprefix=AI+%2Caps%2C252&sr=8-1

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