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その味。♫いつのことだか、思いだしてごらん♪

おふくろの味、家の味 ふるさとの味。匂い、おとの記憶。

あなたが好きな献立。子どもの時から好きなもの。目を瞑(つむ)って
ぼーっと思い出す。
ビジュアルが出てくる。あれ!あれ!という出来上がりの画像それを頬張る
・・・そのときに、匂いって戻ってきませんか?
その記憶の中に、匂いまで含まれている。そういうものが確かな記憶に
残っているもの。食材がもっている匂いだったり、調味料の匂いだったり
また、音だったりする。包丁で刻んでいる音、お湯の沸く音、魚などを浅鍋で煮ている音。
トントントン、沸騰直前のサーッというお湯、魚を煮るとき、落とし蓋があるんですこしこもってるようなポコポコ言う音。そんな音から料理の丁寧さを知ったりもするんです。
そのあとで、食べて美味しかったら、トータルで記憶に刷り込んで入っていくものだ。食べた時の咀嚼音や滑らかな舌触りに至るまで、響き良さがあればきっと全部コミでいい記憶になる。

とても大切な要素だけど、文字化するのが難しい世界。伝えにくい世界。
これが食の中に存在している。しかもはっきりとしたウェイトを占めているのです。

高菜の油炒め
高菜の油炒めごはん
ごはんのお供

私は九州出身なので、高菜の辛み炒めが大好きなんですが、独特の匂いがあります。
ごはんにのっけて頬張るとたまらないです。高菜の漬物を唐辛子&油炒めしたものです。

母方の祖母の家は、菜種油をいつも使ってたんで、その料理の匂いは、独特でした。
一般的サラダ油は匂いもないですが、香ばしいいい香りがいつも台所に広がっていました。忘れない子ども時代からの記憶です。私の中でキンモクセイに匹敵します。匂ってくると、どこにあるか、探しますよね。記憶に強烈なインパクトがある。

結局意図していないけど、とても相手に伝わっていたり、記憶に残るものがあって。それが、その人の嗜好を作っていっていることが多くある。伝わっているんです。
薪のお風呂や、杉の燃やした時の弾ける音など、生活の中には様々な
匂いや音のデータが含まれていますよね。

料理が出来上がったとして、お皿の上のものが、綺麗かぐちゃぐちゃか、それもあるけど、味の良し悪しもあるけど、実はそれと同様に作っているときの途中の音や、匂いやまわりの空気感というか、安らぎというか。それみんなひっくるめて記憶になっていく。
それが、食にはあるんです。レシピの行間を大切にしてほしいです。
心地よい音、香りは作ることで伝えていますよ。生活は、心という内面を無意識に伝えてしまうものです。


まんば(ひゃっか)

ここかがわでは、冬の葉野菜でまんばがあります。「まんばのけんちゃん」という郷土料理が皆知っているメニューで、茹でたときに香る独特の匂いがもう家族の風景を思い起させる。地域によってひゃっかとも呼ばれその地域では「ひゃっかのせっか」(百花の雪花)ともいいます。
まんばは、翌年の春先まで、何枚も何枚も脇から出てくるので、葉だけを刈って食べる。地域を代表する冬野菜の定番の葉ものです。
特に故郷を出た方々が、懐かしく、うどんは都会でも食べられますし、特に最近は本場のさぬきうどん屋さんもあちこちにあります。しかし、このまんばのケンちゃんはなかなか手に入らないでしょう。
家庭料理であり、郷土料理だからです。

まんばのけんちゃん

そんなつくることでしか伝えられないあなたの料理がありませんか?
ちなみに「けんちゃん」とは一説には、豆腐を使う料理に「けんちん煮」
「けんちん汁」がありますよね。それがなまったと言われています。四国も古い歴史の町なので、弘法大師がうどんを中国からもってきたとか、弘法大師も香川の出身なのですよ。

豆腐にまつわる話として、「豆腐の生煮え」という言葉があります。
香川の人は、豆腐は、生で冷やっこでも食するけど、鍋や汁ものに入れると
しっかり火を通して食べないと食あたりをおこすと伝えれてきました。
それは、古くはあまり豆腐を作ってこなかった地域で、その他の地域から
運んで来る商品であり、冷蔵庫も各家庭にまだ無かったころには、足がはやい豆腐は、そういう言い伝えが広まったともいわれています。
現在は、絹ごしともめんの中間のソフトと言われる豆腐まで存在する。
豆腐好きな県ですよ。

まんばのけんちゃん正面

このまんばも下茹でをするんですが、お湯が紫色になるほど、あくがでてきます。そして、何とも言えない特有の香りがするんです。「まんば」を茹でた時に香りは、外から帰ってきても、今日はマンバ茹でたでしょ。とわかります。(随分最近のまんばはあくが少なくなったのですが。。。)
そのように、とても落ちつくわが家の香りや音は、皆さん一人一人に存在しています。
自分の手に馴染ませて置いてほしいです。
間に合ううちに。思いを一度は形にしておきましょう。
残念ながら、分からなくなってしまった方には、試行錯誤でもいいから、一度作ってみてください。母の味、祖母の味とは少し違ったわねといいながら兄弟姉妹で語り合うのも美しい家族の景色だと思います。
それも供養ですよね。食からくるノスタルジーです。

すべてひっくるめて、美味しさにつながっていると思います。
親子であっても、違う人間なのだから、まったく同じ味になるいうことはありません。

あなたが作る料理の音、香りが、もう。
ふるさとの味。おふくろの味。家の味。。。あなたの味の番です。
素敵じゃないですか。


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