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僕が音楽を研究する理由

最初,少しだけ,自分の話をしよう.
私は3歳からクラシックギターをはじめた.そして,小学校の頃には,音楽理論や感覚を養うためにピアノをやったり,視野を広げるために高校では軽音でポピュラー音楽に触れてきた.

そんな人が今,大学院というところで「音楽」に関する研究をしている.
ここまで約20年も音楽に触れ続けていること.そして,演奏活動やプロの道ではなく,研究という方向に進んだ意味と価値を少し書いてみようと思う.

音楽という道でなくとも,大学院を考える人や自分の特技を伸ばしたい人にぜひ読んでほしい記事.


音楽って深い!

音楽1つとってもなかなか深い.びっくりするくらいに様々だ.

・心地いいリズムは心拍の倍数の時に感じる
・筋肉強化をすることと演奏技術は結び付いている
・コンクールでの演奏楽曲は○○がいい
・感動という評価1つでも様々な尺度がある
・音楽をしていると頭がよくなる

このような研究結果がたくさんある.音楽の構成要素であるリズムから,身体に関するもの,心理学や認知学的な要素など様々な分野で行われている.音楽を研究,極めるにも多くのことを考えなければならないのだ.

創作・作曲をすることにはどんな意味があるのか.それをするためにはどんなことが必要なのか,大切なのかを考えてみたい.
演奏することでどのような効果があるのか.モテるためなのか,頭が良くなるためなのかなど目的を考えてみたい.
鑑賞することに意味はあるのか.文化や社会の発展に音楽という力はどのような力がはたらいているのかを考えてみたい.

そんなことを思って,世界中で沢山の視点と観点から研究がなされている.初心者にできていること,上級者だから気づく観点がたくさんある.そこで,僕自身が研究を考える当たって,思ったことは,「上級者」だからこそできる研究が少ないのではないのか,ということである.「上級者」を対象とすることではない.研究者が音楽や演奏として上級者であること.そこから僕はそこだけは軸は変えずに音楽に関する研究をすることに決めた.


前提をちょっとここで

これから話すにあたって,僕自身がどういう人なのかを簡単に伝えておきたい.

クラシックギターを3歳から始め,様々な国内コンクールで部門優勝・全国優勝・入賞をしてきた.また,単独でのリサイタルやオーケストラとのソリストとしての共演,リコーダーやフルートなどとの共同イベント等で演奏してきた.ピアノに関しては本職でないが,コンクールやコンサートに出場してきた.高校での軽音では3バンドと1つのユニットを掛け持ち,ポピュラー音楽に触れ,作曲などもしてきた.それから演奏や鑑賞,作曲における音楽という全般的なものに触れてきた.

そして,現在では,
・進化心理学や生物学における音楽というもの存在意義に関する研究
・クラシックギターを題材とした知識科学・情報科学との融合分野の研究
を行っている.

そんな大学院修士まで音楽で研究してきた人間が「なぜ,音楽を研究するのか?」を書いていきたい.


音楽と○○

音楽と○○と称してみたが,これを読んでいる人からすると何を思うのだろうか?音楽というものは音楽だけで成り立たなくなっているというの現代になった.

音楽と映像で,youtubeのようなミュージックビデオというもの
音楽とプログラミングで,perfumeのような近代的なステージ
音楽と心理学で,BGMの選定がされていたり

たくさん日常に潜んでいる.
研究分野ではもっともっと広い.

音楽と進化心理学で,音楽の存在意義が社会的絆と関連あること
音楽と骨格認識で,アーティストの姿勢や負担の少ない弾き方を目指すこと
音楽と認知学で,感情や言語との関係についてみること

なんていう細かいところに目を向けて様々なことに目を向けて,いろんな観点で研究している.こうして,音楽1つを題材にしてもものすごい量の研究ができる.そして,それが意外と身近で日常的なところに持っていくことができるのが,面白い.

だからこそ,僕は音楽を選んだ


自分の強みの掛け合わせ

僕はいわゆる情報系に近いところにいる理系の人間だ.4月からはエンジニアとして働く.だからこそ,音楽と情報学は僕にとって1つアリだと思ったところがある.いわゆる「勝ち筋」みたいなものが見えた気がした分野だった.昔からやっているのもあるが,初めてからそんなに立っていないプログラミングを用いて,研究することで自分がそこそこのレベルでできるものになるのだ.

だから,やりたいものというより,できるものを優先した.
できるものがあるとやる気になる.やりたいけどできないものより全然いいと思ったし,正解の選択をしてみたと思う.

だからこそ,僕は音楽を選んだ


絶望と自分の特性

音楽を研究することに楽しみはあるが,別に音楽でなくてもよい.ここにきてかなり矛盾を言っていることはわかっているが,これも一つ理由として挙げられるのが正直なところだ.音楽でなくてもいい.学部時代は医療情報学をやっていた.そこで音声を扱っていた.音楽に固執しているわけではない.

じゃあ,何なのか.僕はあるとき,絶望に至ったのだ.クラシックギターを3歳から始め,全国優勝もしたことはあるが,上には上がいて,正直勝てないと思ってしまったのだ.しかも身近にいた.姉という存在である.おんなじ環境下で育ったはずなのに,姉の方がうまいのだ.実績から何から僕は追いかけてばかりなのだ.周りの近い友達なんて,ヨーロッパのコンクールを総舐めしている.気づいた.僕は音楽では生きていけない.じゃあ,どうしようかと.

やっぱり,僕は掛け持つことが好きだ.音楽と研究という道に進んだ.音楽とビジネスでもいい.ただ,自分の絶望から這い上がるには,自分の今置かれている学生という身から考えるなら,音楽と研究しかなかった.

だからこそ,僕は音楽を選んだ


だからこそ,僕は音楽を研究する.

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