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プチエンジェル投資家になる前に絶対に知っておきたいエンジェル税制|2020年版

株式投資型クラウドファンディング(以下、ECF)でベンチャー企業に投資するなら絶対に知っておきたいポイントがいくつかあります。

今回はその中から「エンジェル税制」について、ECF投資初心者の方でも分かるくらい簡単に解説したいと思います。

エンジェル税制とは

ベンチャー企業への投資は、説明するまでもなくハイリスク・ハイリターンです。企業に対する応援の気持ちやビジョンに対する共感がない場合には、まず投資をしないほうがいいでしょう。
ただ、大きなリスクを背負ってでもベンチャー企業を応援している個人投資家には所得税の優遇措置が用意されています。それが「エンジェル税制」です。

全ての企業がエンジェル税制対象なの?

残念ながら、ECFで投資可能な全ての案件に優遇措置が適用されるわけではありません。ですから、検討中の企業がエンジェル税制対象かどうかは投資前に確認するようにしましょう。

例えば、業界最大手のFUNDINNOであれば、こんな感じで表示されているはずです。

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画像の左下にエンジェル税制対象かどうかが表示されていますね。対象外のの場合には「なし」と表示されます。「タイプ」については次章以降で説明させていただきます。

優遇されるのはいつ?

エンジェル税制による優遇は「投資した年」と「売却した年」の最大2回受けられます。

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次章以降で優遇タイミング別に解説していきますね。

「投資した年」の優遇措置にはタイプがある?

投資した年に受けられる優遇措置は、ベンチャー企業の設立年数に応じて以下のように「優遇措置A」と「優遇措置B」に分類されます。

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↑中小企業庁HPより引用

優遇措置Aは「寄附金控除の扱い」
となります。ふるさと納税と同じですね。
そのため、所得税の納税額がある人だけが優遇を受けられます。住宅ローン減税の控除を受けている方は、意外と所得税の納税額が"0円"の可能性もあるので、会社員の方でしたら源泉徴収票を見てみてください。

優遇措置Bは「株式譲渡益からの控除」となります。
そのため、株や投資信託(※)などを取引して利益がある人のみ優遇を受けられます。
※上場株式・ETF・REIT・債券・公社債投信など

ここで少しややこしいのが、優遇措置Aの対象企業に投資した場合、優遇措置Bを選択することもできるということです。設立年数を中心に考えると分かりやすいかと思います。

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注意点としては「選択できる」というだけで「両方優遇される」わけではありません。
その年の収入状況などによって、節税効果の高い方を選びましょう。
節税効果を比較する際のおすすめツールも紹介しておきます。

「売却した年」の優遇措置はシンプル?

売却した年に受けられる優遇措置は、至ってシンプル。

「損益通算」と「繰越控除(3年間)」です。

「損益通算」
未上場ベンチャー企業株式の売却等により損失が生じた場合に、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できます。
「繰越控除」
さらに、その年に通算しきれなかった損失は、翌年以降3年にわたって株式譲渡益と通算(相殺)ができます。
投資した企業が破産・解散等をして株式の価値がなくなった場合も同様です。

ちなみに、企業へ投資した年に優遇措置を受けた場合には、その控除対象金額を取得価額から差し引いて売却損失を計算することになります。

上場株と同じように損益通算や繰越控除できるのは、大きなメリットです。もしも非上場株で損失が出てしまった際にも、上場株での利益を確定させて相殺することで節税するなど活用ができますね。

デメリットもあるんでしょ?

ここまでエンジェル税制の優遇(メリット)について紹介してきました。

一般的にはメリットがあればデメリットもあるものですが、エンジェル税制には特に無いと思います。
ですが、「え〜絶対何かあるでしょ?」と思っている方のためにあえて挙げるとするならば・・・「確定申告」が必要です!

年末調整に慣れてしまった会社員の方ですと、この言葉を耳にした瞬間に諦めモードに入ってしまう人が多いですが、ECF 投資を行う方であれば、おそらく毎年確定申告されている方が大半かと思いますので問題ないでしょう。

確定申告も、事前に投資先企業との手続きを終えていれば、事前に必要書類が送付されてきます。
その書類を税務署に提示(e-TAXも可)するだけで確定申告完了ですので、特に難しいことはありません。

まとめ

今回は、私たち個人投資家がECF投資を始めるなら絶対に知っておくべきエンジェル税制のポイントについて、紹介させていただきました。

<エンジェル税制 ー 5つのポイント>
・ECFで投資可能な全ての案件に優遇措置が適用されるわけではない。
・優遇を受けられるのは「投資した年」と「売却した年」の最大2回
・優遇措置Aの対象企業に投資した場合、優遇措置Bも選択可能
・優遇措置Bの対象企業に投資した場合、優遇措置Bのみ可能
・売却により損失確定した年は上場株式等との損益通算や繰越控除可能

エンジェル税制は1997年の創設されましたが、適用要件が煩雑だったり、都道府県の担当窓口で手続きが必要などの理由により、ベンチャー企業側の利用実績も低い状況でした。
しかし、今年度の改正により事前に認定されたECF事業者であれば適格企業の確認ができるようになったことで、ベンチャー企業にとっても利用しやすい制度に改善されています。

これによりエンジェル税制は、ECF事業の発展とともに私たちの身近なものになっていくことを期待したいです。

私は「ベンチャー企業のイノベーションが日本経済復活のカギになる」と信じています。今の子供たちの世代に元気な日本を残すために、微力ながらこれからも応援させていただきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

私のブログではECF投資に関する魅力とリスクを簡単に紹介しています。ECF投資に興味をお持ちの方は、ぜひ一度読んでいただけたらうれしいです。

なお、本記事は「難解なエンジェル税制を分かりやすく」をテーマに税制の概要を記載したものです。
税や確定申告に関する正確な情報・問い合わせは、最寄りの税務署、税理士にお問い合わせいただきたいと思います。よろしくお願いします。


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