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アムールトラ テーブルミュージアム

当園ではこの春から営業部内に教育普及課を発足、教育・普及啓発プロデューサーとして日橋 一昭【にっぱし かずあき】氏を招聘しました。日橋氏は元埼玉県こども動物自然公園、狭山市立智光山公園こども動物園、東京都井の頭自然文化園の園長等を経ての現職です。

この夏には「生き物塾」を開講。今までにない獣医も交えた体験や当園の自然を舞台に野生動物や昆虫の観察等、大人も子供も生き物たちから何かを感じ、その不思議から興味や面白さを見つける体験塾を開催しました。

コウモリの超音波のお話、そして熱帯の森でのルーセットオオコウモリが飛び交う中に突入体験、僕もとてもテンションが上がりました。

親子で体験いきもの塾【プランB】_ページ_1

そして9月には「テーブルミュージアム」と称した動物たちを幅広い視野から楽しく学び、そして実際の動物たちを観察するミニイベントを開催。

第一弾は何と言っても「アムールトラ」。令は最近は新しい施設にも慣れて朝から令の動きに歓声が上がってます。池にも入り、木の枝で遊んだり、迫力のある爪とぎシーンを見せてくれたり。ガラス面からお客様のすぐ近くで躍動する姿、その大きさに驚きいつもお客様から歓声が上がります。

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「テーブルミュージアム」しつらえは、テーブルに2脚このトラのぬいぐるみにご注目。

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日橋塾長が事務所に何気なく置かれていたこのぬいぐるみを持参して何やらおもむろにテーブル談義が始まりました。まずは子供たちに間違い探しを依頼、お隣の新施設(シベリアンテリトリー)でアムールトラをじっくり観察した男の子が「耳の後ろ!」と叫びました。そう、野生のヤマネコの印「虎耳状斑」(こじじょうはん)丸い白い模様があります。一説にはこどもが後ろから親についていく目印になるとも言われています。

また江戸時代に描かれた襖絵や屏風絵、円山応挙や 伊藤若冲の描いた虎の絵との違いに話題は移ります。日本にはいない虎を中国画を模写したという若冲、 何ともユーモラスでもあり模写とは思えない息遣いを感じます。ベンガルトラかな?濃い色合いですね。

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少しだけお手伝いをさせていただきましたが、とても興味深かったのがこの頭骨です。ライオンとトラ、皆さんはどちらがトラかお分かりになりますか?見た目はほとんど同じです。

正解は右のトラです。あごの部分の筋肉の面積が若干広いのがトラです。

嚙む力はこの頭骨からは仮に同じ大きさと仮定すれば筋肉量の大きさからトラに軍配があがるかもしれません。お聞きになる皆様も反応が大きく、色々の角度からお客様にトラへの興味喚起ができるのは楽しい限りです。

日橋塾長のトークにも熱が入ります。まずは入口は幾つもありますがやはり実際に躍動感あふれるアムールトラを観察しながら感じること、そして興味を持つともっと知りたくなるものです。

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トラは私たち日本人にとても親しみある存在。   私の世代ですと梶原一騎の タイガーマスクが一番でしょうか。弱気を助け、悪をくじくまさに強さと慈愛に満ちた存在です。その生態系の頂点に立つトラはこの100年間で10万頭から現在約4000頭まで減少しています。未だに密猟、密輸が絶えずまた森林開発による生息地の減少、破壊等人間の経済活動がその要因です。

アムールトラはその亜種の中でも最大でロシアの極東の森林地帯や中国北部に生息するまさに生態系、食物連鎖の頂点に立つ捕食者です。

人間も含めた生物多様性の命のつながりの中で支え合い生きています。アムールトラを那須どうぶつ王国に迎え入れたことは意義深いものがあります。

20220722 アムールトラ 令-24

那須どうぶつ王国は野生動物や環境の保護・保全・ 啓発に力を注いでいます。日本固有種、絶滅危惧種の二ホンライチョウ保護事業ではこの夏、当園で繁殖したライチョウ家族の野生復帰に成功しました。また同じネコ科の日本固有種ツシマヤマネコの保護増殖事業にも取り組み飼育を開始しました。またユーラシアカワウソ、レッサーパンダ、マヌルネコ、スナネコ、 ホッキョクオオカミなどの希少種を飼育し、種の保存を目的に繁殖にも積極的に取り組んでいます。今、 多くの個性豊かな動物たちが姿を消そうとしています。猶予はありません。

那須どうぶつ王国は日光国立公園に隣接し、豊かな自然が四季折々に息づく場所です。多くの野生動物や 昆虫、生き物の営みが身近に感じられる恵まれた環境です。当園に住む動物たちはもちろん、那須の自然に触れその息吹を感じそして多くの気づきを持ち帰っていただけると嬉しいです。

これからも当園そして那須の舞台を通して皆様に動物たちの魅力や人間との関わり、そして保全の取り組みなど、色々な視点から楽しみながらお伝えできればと思っております。

最後は先日のバードパフォーマンスBROADのハクトウワシ ウィンティーのかっこいいフライトシーンで終わりとします。長くお付き合いいただきありがとうございました。

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