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【コンテクストリサーチ6】本のインスターレーション性(蔦屋書店の観察) と香水の体験(THE BODY SHOP / Aesop)

#蔦屋書店による 「本」のインスタレーション的空間

代官山蔦屋に足を運んだとき、本が美術館の批評文のようなテキストとセットで置かれている風景に出会う。情報を売る(配る)のはウェブに任せ、本は徐々にインスタレーション的体験を重視しているように思えた。軽い情報は、短期視点でPVなるKPIを目指すスキッパブル設計のウェブが担当し、細切れでない重層的な体験としての物語は、本が担当している。本には目の前の対象と堅実に向き合いたくなる「閉じられた」態度が必要で、アートのインスタレーションとも言える風景だった。

#ビジネスのインスターレーション化とオフラインのワクワク

オンライン(EC)の出現によって、オフライン(店舗)の強みは体験価値にフォーカスされるようになった。その例が、上記の蔦屋書店のインスターレーション的な空間だ。「使ってみたくなる」という固有の文脈に落ちない限り、顧客は長期的なファンになってくれないため、オフラインの価値は見直されている。雑誌『Wired』もイベントを開催したり、雑誌『NewYork』コマース部門(The Strategist)はキュレーションショップを立ち上げている。メディア以外にも、檸檬ホテルやBnAは、アートを使った新たなホテル体験を提供している。商品を購買する場として店舗を用意するだけでは、ECで十分なの。D2Cやメディアを中心に、ビジネス全体がオフライン価値へ向いている。

オフラインデザインで重要なのは「ワクワクさせられるか」だと思う。顧客の能動性に訴える余白(コンテクスト)を生み出せるかだろう。コスメブランドThe Body Shopの店舗に行った時、3種類の異なるオードトワレの香りがついた試香紙をギフトでもらった。購買のやりとりはせず香りの体験をした僕は、帰り道にその3枚を嗅ぎ分ける練習をついやってしまっていた(後日購入する笑)。他にも、スキンケア専門店Aesopの店舗は、店員が丁寧な接客ゆえしばしば混んでいるが、顧客が動けるゆとりがあったり椅子があったりするので、好きな商品を手にとって自ら体験できる。これらは「つい体験したくなる」コンテクスト(空間、ギフト)デザインである。ここに、本と同じく、「閉じられた」態度=没入感を生み出すインスターレーション性が見出せるのでは。

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