[新しいコンパス、世界の複雑さと出会う]

これは2020年3月6日の音声記録の書き起こしである。

[新しいコンパス、世界の複雑さと出会う]

そのようなとき、僕たちは世界の複雑さと出会う。
そのようなとき、
自分が好きな人に好かれないとき、
素晴らしい景色、あるいは素晴らしい映画、美術を見たとき、
そのとき、えもいわれぬ感情になるとき、

死と出会うとき、
それは不意に訪れ、あるいは角で出会い、拾い上げる。
別れ、

私たちが圧倒され、しかし惹かれつつ、それと出会う。
その世界の複雑さは、そのときには言葉にならないだろう。
しかし、その世界の複雑さを記述することによって、もう一度その複雑さを理解し、あじわう。

そうして、環境から世界から 圧倒され押し付けられた複雑さから、
私たちの中に入った 言葉になった、血肉となった 身体となった複雑さは、豊かさに変わり、それは、文化、豊かな文化となるのではないか。

押し付けられた複雑さ、それはコンパスの外からくる。
自分たちが持っているコンパスの外からくる複雑さ、それを内に取り込んで豊かになる。豊かなビジョン、世界の見方。
また新しいコンパスにアップデートされる。

コンパスはどんどん古くなる。
私たちは変わり、時代も変わる。
その中で、私の、お前の持っているコンパスのN極がどっちを向いているのか、何がお前のN極なのか、何が自分の向く指針となっているのか、そのコンパスは変わりつつ、
あるいは人類全体の向く道筋を示す指針、そのコンパスも、古くなっていく。
例えば、高度経済成長、とか、大企業に正社員で入って、とか。
そういったものとはまた違った局面になってきている。時代的に。
そんな中で新しいコンパスを探している。

新しいコンパスを探すのに、古いコンパスは使えない。
コンパスを探すコンパスを探さないといけない。
どうやって?

私たち一人ひとりが、どこを向いているのか、
私はどこを向いているのか、お前はどこを向いて、お前のN極は、私のN極は。
そういったものが噛み合い、組み合わさり、それぞれのものを集約させ、
そういったことで、新しい見方、ルールが、新しいコンパスができあがる。

ポンとできるわけはないんだ。
一つ一つやるしかないんだ。


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