見出し画像

個人事業主として開業届を出すタイミングと提出方法は?

最近頂くお声の1つに、

「開業届の出し方・出すタイミングがわからない」

というのがあります。

国税庁のホームページを見ますと、【事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。】と書いてありますね。
非店舗系の事業を営む方にとっては、いつが事業開始日かがはっきりしないために提出するタイミングを悩む方が多いのだと思います。

個人事業主は法人の様に法務局で会社設立の登記して、設立日が法的に証明されるわけではありません。個人事業主は自分が開業しようと思ったときが事業開始日になるのです。

※開業届を提出する前に支払った経費は確定申告で計上することもできるようなので、詳細は税務署や税理士さんへ確認してくださいね。

ただ、事業を開始した日から1ヶ月以内に開業届を提出するのが原則ですので、油断して提出漏れがないように注意をしましょう。

私のケースですと、半年の準備期間を設けて2018年9月1日付で開業届を提出しました。提出しに税務署に赴こうとした日に台風直撃で行けず、翌日には胆振東部地震があり、結局税務署に行けたのは9月20日頃。ギリギリ1ヶ月以内に提出することが出来ました。

この経験も踏まえ、個人事業主として開業届を提出する際の方法や注意点などをまとめてたいと思います。

画像4


そもそも開業届はニックネームです。

開業届の正式名称は、

個人事業の開業・廃業等届出書

と言います。(上記文字をクリックすると、国税庁サイトの個人事業の開業・廃止等届出書のPDFデータが開きます。書き方が示されたPDFデータは<こちら>です。)

この届出書は、

・新たに事業を開始したとき
・事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき
・事業を廃止したとき

に必要事項を記入して税務署へ提出します。
上記を見てわかるように、あなたが「開業届」と通称で呼んでいるものは、住所変更や廃止にも使います。

手続きの対象者は、「新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方」となっており、提出しないことに罰則はありませんが、節税のために…とかバレなければいいという問題ではありませんので、事業所得を得ている人はきちんと届け出を行いましょう。

この届出書は最寄りの税務署で受け取ることが可能ですが、国税庁のホームページ内にあるPDFデータを印刷して使用しても問題ありません。印刷して使用する場合の注意点としては、提出には2部必要となりますので「控え」の記入漏れがないように気を付けてくださいね。

控えの記入漏れ・提出漏れで生じる問題としては、個人事業主として開業している証明が手元に残らないということです。
屋号名義で銀行口座を作るとき、キャッシュレス決済の加盟店に申し込みをするとき、お子さんの保育園・幼稚園の入園手続きをするときなど、個人事業主として活動していることを証明しなければならないことが多々出てきます。その際に必要になるのが、個人事業の開業・廃業届出書(控)です。

●point●
提出する個人事業の開業・廃業届出書は必ず2部用意してください。


※以降、「個人事業の開業・廃業届出書」は「開業届」と表記します。



開業届と一緒に提出する書類がある

開業届を税務署に提出する際に、一緒に提出する書類があります。

所得税の青色申告承認申請書

通称、青色申告と呼ばれているものです。こちらの制度の適用を受けたい場合は、税務署へ申請する必要があります。(こちらも上記文字をクリックすると、国税庁サイトの所得税の青色申告承認申請書のPDFデータが開きます。)

最大で65万円の所得控除を受けられる制度ですが、ものすごく簡単にいうと「所得控除とか赤字の繰越などの特例を付けるから、複式簿記で帳簿を作成してね!電子帳簿の保管又は電子申告をしなかったら所得控除は55万円になるよ!」という制度です。(ものすごく要約してます)

こちらの申請は開業届と一緒に出さなくても大丈夫で、提出期限も状況に応じて分かれています。

●原則●
新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日。
※例えば、ずっと白色申告をしていた人が青色申告に変更する場合がこのケースです。2020年分の確定申告から青色申告にしたい!という場合は、2020年3月15日までに申請する必要があります。
●1月16日以降に新規に業務を開始した場合●
業務を開始した日から2ヶ月以内

開業届の提出期限とズレがありますので、注意したいところです。

「最初からそんなに売り上げなんて出ないし、最初の年は青色申告じゃなくてもいいわ」

と思うかも知れませんが、どのタイミングで売り上げが急上昇するかもわからないですし、白色申告であっても簡単とは言え帳簿を書かねばなりませんので、それであれば開業届と一緒に青色申告の申請をしていても良いのではないかな?と思っています。

難しい帳簿を書くのは嫌だという苦手意識があると思いますが、自身の帳簿のルーティンというのは大概決まっているものなので、慣れるまでは大変かもしれません。でも、今は会計ソフト等帳簿を簡単に付けられる手段もありますので、そこまで苦手に感じる必要はないかな?と思います。

ちなみに、所得税の青色申告承認申請書も2部提出し、控えを貰うようにしましょう。

所得税の青色申告承認申請書も、最寄りの税務署で受け取ることが可能ですが、国税庁のホームページ内にあるPDFデータを印刷して使用しても問題ありません。注意点としては、青色申告承認申請書のPDFデータ内に「控え」の書式がないことです。

○開業届→提出用、控えがセットになったPDF と 記入例のPDF
○青色申告承認申請書→提出用と記入例がセットになったPDF

という形でデータ化されていますので、印刷の際には注意してくださいね。

画像3


開業届は、管轄の税務署に提出です

開業届は、管轄の税務署に提出しなければなりません。

お住いの住所(事業所のある住所)を管轄している税務署は、下記のサイトから調べることができます。

税務署の所在地などを知りたい方(国税庁HP)

近所の税務署が自分の管轄の税務署とは限りませんので、必ず調べてから書類の記入・提出・申請を行うようにしてくださいね。
私は開業届を提出した時期に住んでいたところの管轄税務署が、近くの税務署ではなくちょっと離れた税務署だったので赴くのに不便でした。

ただ、税務署に書類を提出・申請する際はわざわざ赴く必要はありませんよ。郵送での提出・申請が可能です。
郵送での手続きの際に注意する点は、控えの書類を返送してもらうための「切手を貼った返信用封筒」を同封する必要があります。これは絶対に忘れない様にしましょうね。


まとめ

開業届を提出する際の要点は下記のとおりです。

・事業を開始したときから1ヶ月以内

・最寄りの税務署から受け取る又は国税庁のホームページから印刷した
 個人事業の開業・廃業届出書を2部

最寄りの税務署から受け取る又は国税庁のホームページから印刷した
 所得税の青色申告承認申請書を2部(こちらは任意)

・管轄の税務署に持参又は郵送で提出・申請。
(郵送の場合は切手を貼った返信用封筒の同封を忘れないこと)


個人事業主として活動したいと考えているみなさんの最大の悩みは、「事業を開始した日」をいつにするかだと思いますが、それはここには書けない内容です。

個人事業主でも、目に見えるモノを販売し店舗を構える人、目に見えるモノを販売し店舗を構えない人、情報系サービスの販売で店舗を構える人、情報系サービスの販売で店舗を構えない人など、それぞれ実情が違うので私が無責任にいつがいいですよ!とは言えません。

あなたが、起業する!と決めれば自ずと事業を開始する日が決まるのです。

あなた自身で決心してくださいね。

開業届・青色申告承認申請書の記入例について、サンプルデータを添付しました。お困りの際は、参考にして頂ければと思います。
また、一般的なケースで記入例を示しておりますので、個々の事情による不明点等については税務署へお問い合わせすることをオススメします。


個人事業の開業・廃業等届出書

開業届記入例


所得税の青色申告承認申請書

青色申告記入例


サポートお願い致します。頂いたサポートは、事務活動の普及、筆文字活動に活用させて頂きます!