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DFINITY Status Update, New Year 2021

※上記リンクの英文元記事は、2021年1月発表のものになります。


Internet Computerは、ウェブスピードで動作し、無限に容量を増やすことができる世界初のブロックチェーンです。
2021年春:DFINITYのステータスアップデート

非常に喜ばしいお知らせを申し上げます。

2020年12月18日、Internet Computerのブロックチェーン分散化のための重要な初期段階が開始されました。
これは、Internet Computerのメインネットがいま存在していて、独立したデータセンター内において、独立して所有・設置・標準化されている「ノードマシン」によってホストされていることを意味しています。そしてこれらは、Network Nervous System(NNS)の管理下に置かれています。

このプロジェクトに初めて触れる方のために説明すると、インターネットコンピューターは、ウェブスピードで動作し、どんな量のデータでも拘束されることなく容量を増やすことができる世界初のブロックチェーンであり、NNSは、ネットワークを制御するオープンなアルゴリズムによるガバナンスシステムです。
NNSは、ネットワーク自体の中でホストされており、ノードマシンの計算能力を安全な形で織り交ぜて、Internet Computerのブロックチェーンネットワークを構築するプロトコルシステムの一部であり、ネットワークが自律的かつ適応力を持つことを可能にします。

メインネットがイニシャルの暗号設定ルーティーンを実行して起動された後、NNSは、ネットワークの計算能力を高めるために新しいノードマシンを導入したり、ネットワークプロトコルを更新するためにノードマシンをアップグレードしたりするなどといった、継続的なネットワーク管理タスクを指揮する責任を引き継いでいます。
嬉しいことに、NNSは立ち上げ後すぐに、新しいサブネット(Internet Computerのネットワーク内の特殊なブロックチェーンで、他のブロックチェーンとシームレスに結合して容量を増やすことができる)へのノードマシンの導入と、サブネットのノードのアップグレードという2つのイニシャルの提案を処理しました。
これは、NNSがすでにネットワークの構築と進化を始めていることを意味しています。

この進歩はこれまでのところ、ほとんどネットワークに関わる人にしか見えていないものでしたが、この最初の分散化ステップを無事に通過したことは、非営利団体であるDFINITY財団、Internet Computerのプロジェクト全般で貢献したすべての人、Physicalなネットワークを構築している多くの関係者、そしてこの新しいネットワークが可能にするものから恩恵を受けることになる世界中のすべての人にとって、まさに記念すべき瞬間です。
もちろん、ネットワークのブートストラップはMercuryマイルストーンの一部として行われましたが、これは2019年夏に発表された5つ目のローンチマイルストーンを予定通り達成したものであり、これを実現したDFINITYチームと多くの貢献者を私は信じられないほどに誇りに思っています。

Mercuryに到達したことで、最後の「Genesis」と呼ばれる分散化のステップへ向けた、比較的短い道のりができました。
これは、Network Nervous SystemがICPユーティリティトークン(以前の「DFN」)を投票ニューロンの形で保有者にリリースするもので、トリガーとなる提案を処理した後、おそらく2021年第1四半期中に実施されるものです。
これは、2021年第1四半期中に実施されるであろうトリガー提案を処理した後に実行されます。Genesisが実行されると、トークンの受領者はネットワークガバナンスへの参加を開始し、ニューロンをDissolve(ディゾルブ:溶解)して内部のトークンを放出し、それを"Cycle"に変換して処理に使用したり、目的に応じて送付したりすることができます。
しかし、NNSがネットワークの利益のためにGenesisを発動するには、さらに通過しなければならない様々なゲートが存在すると考えられています。

休暇を終えた今、インターネットコンピューターのプロジェクトが、各方からの協力によって残されたゲートを越えて、「Genesis」に向けて立ち上がるべき時が来ています。
そのゲートとは(以下のことに限定されませんが)、①未だ公開されていないすべての関連するソースコードをDFINITY財団より公開すること、②Interent Computerのネットワークを実現可能にするChain Keyの暗号テクノロジーとプロトコル数学の詳細な説明を含んだICP(Internet Computer Protocol)に関する膨大な技術・設計情報を公開すること、③セキュリティ監査とストレステストを無事に通過させること、④Mercuryでの完全実装に至らなかったいくつかの追加機能を公開すること、⑤(以前に公開された)"CanCan"という形での、完全なる"Open Internet Service"のサンプルとなるアプリのリリース、⑥Internet Computerのプロジェクトの外観と中身をより詳細に反映するために現在開発中であるオンラインコンテンツを刷新して公開すること、⑦Physicalなネットワークとその参加者に関する詳細情報を公開すること、⑧ノードの供給やネットワーク構築への参加を希望する者へのサポートサービスを提供すること、⑨DFINITY財団と新たに設立されたInternet Computer協会に関する詳細な情報を提供すること。その他にも様々ございます。これらは最終段階を迎えており、我々のゴールはすぐそこに見えています。。

Mercuryは、技術的に素晴らしい成果となり、他に類を見ないようなブロックチェーンのビジョンを実現するものとなりますが、今日現在のこの段階においても、幾多の個々の関係者の努力なしにはネットワークを構築することはできませんでした。
その舞台裏では、コロナウィルスの拡大という逆境にもかかわらず、複数のメーカーがInternet Computerの物理的ネットワークの構築のため、第1世代の標準化されたノードマシンを製造しており、何十もの個々の資金提供者が、最初のデータセンターへのノードマシンの配備のために資金を提供・管理をするために動き出しています。
この記事を書いている間も、尽力によってデータセンターに配備された何百台もの新しいノードマシンの多くが、Network Nervous SystemがInternet Computerの容量を拡大することを可能にするような形でネットワークに織り込まれ、すでに稼働しています。- これはつまり、容量を無制限に拡大できる世界初のパブリックブロックチェーンであり、ウェブの速度で稼働をさせるなどの多くの初の試みが、近い将来に莫大なインパクトを生み出すということなのです。
このネットワークは、今後数年で、数千のデータセンターによって稼働する数百万のノードにまで成長すると予想されています。
私たちは、これがブロックチェーンとインターネットの両方にとって非常に重要な瞬間であることを、歴史が示してくれるであろうと期待しています。

Genesisについて詳しく書く前段のこの機会に、Internet Coomputerのプロジェクトが一体何であるのかを、おさらいしておきましょうーこのプロジェクトは、先進的なブロックチェーンの研究とエンジニアリングのため、他のプロジェクトとは比にならない膨大な時間と資金を投入し、世界中に専門の研究センターを構築し、2017年に最初の分散形式による資金の募集を実施しました。その後、金融システムにとどまらず、世界中のあらゆるシステムやサービスの構築方法を根本的に再構築するための、伝統的なブロックチェーンを超越するテクノロジーとエンジニアリングに注力するため、一旦世の中から姿を消した形となりました。

ヒント:ブロックチェーンに関する一般的な先入観があると、Internet Computerのブロックチェーンの技術的能力を把握するのが難しくなります。
既存のブロックチェーンのアーキテクチャや制限に関する知識を対応させようとせずに、ここに説明されている機能を理解することによって、よりシンプルにエントリーしていくことが可能になります。

□インターネットコンピューターの目的
DFINITY財団は、ある大きな問いを追求していくために設立されました。それは、「インターネットはすべての人とすべてのものをつなぐ分散型のネットワークであるが、その機能を拡張して、人類が情報システムを構築するための主要なプラットフォームにもなることができるのではないか?」という問いです。
この問いに対する私たちの答えは、インターネットの機能を先進的な新しいブロックチェーンネットワークで拡張し、企業システムやインターネットサービス、DeFiなどの金融サービスなど、高速でスケーラブルな情報システムを、仲介者や従来のITを必要とせずに直接構築できるブロックチェーンを提供する「Internet Computer」です。

当然これは、新しい分散型のプロトコルを追加していくことによって実現されます。
インターネットは、IP(Internet Protocol)という分散型プロトコルによって作られています。このプロトコルは、何百万ものプライベートネットワークを織り交ぜて単一のグローバルネットワークを形成していますが、基礎となるインターネットワーク上で通信ソフトウェアがデータをどのようにルーティングすべきかをこのネットワークでは考える必要がないため、高い耐障害性と使いやすさを備えています。
インターネットコンピューターも同様に、今度はブロックチェーンをベースとするICP(Internet Computer Protocol)という分散型プロトコルによって、世界中のデータセンターが設置した特殊なノードマシンの計算能力を織り交ぜて、スマートコントラクトのソフトウェアとそのデータをホスティングして進化させる、統一された使いやすいシームレスな空間を作り出しています。
このプラットフォームはウェブスピードで動作し、無限の容量を持ち、ウェブ上のコンテンツを提供することができるため、スマートコントラクトを利用して、ウェブサイト、企業システム、マスマーケットのインターネットサービス、汎産業プラットフォーム、DeFiなどを構築することができます。

歴史を振り返ると、すべての条件が同じであれば、世界はインターネットのような共有された公共のプラットフォーム上で構築することを好むことがわかります。このプラットフォームは、パーミッションレスで、相互運用性を最大限に高め、ベンダーが囚われの顧客を作ることを目的としたプロプライエタリなインフラや製品に内在するプラットフォームリスクを中和します。
インターネットコンピューターは、インターネットが完全な技術スタックの役割を果たせるように拡張し、クラウドサービス、サーバーマシン、独自のソフトウェアスタック、データベース、ファイアウォールなどの従来のITを必要とせず、サイバー空間でホストされたスマートコントラクトを使って世界が構築できるようにしています。

世界中の情報システムビルダーを独占されたITから解放することは立派な目標ではありますが、これはインターネットコンピューターの存在意義のごく一部に過ぎません。ブロックチェーンのスケーラビリティ、スピード、コストの制約が、先進的な技術と新しいネットワークアーキテクチャによって解決され、スマートコントラクトのソフトウェアモデルが再考され、はるかに強力なものに進化し、スマートコントラクトが仲介者なしで直接ウェブブラウザ内にユーザーエクスペリエンスを提供できるようになれば、ブロックチェーンは従来のITと比較して並外れた利点を持つ、改ざん不可能で止められないコンピューターになることがわかりました。
これにより、企業システム、一般向けインターネットサービス、そして経済の再開発が促進され、DeFiが金融を再発明したように、様々なものの仕組みを完全に再構築することが可能になります。

このプロジェクトに携わっている私たちにとって、インターネットコンピューターは高度なブロックチェーン・テクノロジーの究極の表現であり、関連するほぼすべての技術が新しいものとなっています。
このプロジェクトの最大の課題の一つは、あらゆるボリュームのスマートコントラクトの計算を処理し、あらゆるサイズのスマートコントラクトデータを維持できる、統一されたオンチェーン環境を提供することです。
このネットワークでは、ブロックチェーンの限界についての先入観を覆し、より少ないコードラインで、より簡単に大規模なインターネットサービスを構築するためのスケーリングソリューションとして、ブロックチェーンを提示しています。
さらにインターネットコンピューターは、自律的なコードやトークン化といったブロックチェーンの中核的な機能を進化させるとともに、開発者がトークンを持たずにエンドユーザーと対話できるサービスを構築し、そのサービスがすべてブロックチェーンから実行されていることを知らなくても済むようにしています。

このプロジェクトは非常に広範囲にわたるため、インターネットコンピューター上に構築することで得られるメリットの深さを理解するのは難しいでしょう。
その中のいくつかを個別に列挙して、命題をより消化しやすくしてみましょう。

このレビューは20~30分程度にしておきますが、注意力が足りない方は、ここをクリックして私のハイレベルなデッキを見ていただくこともできます。
https://drive.google.com/file/d/1ZvlxjwF5veEvYJcDHoDwi6GU4WChluTl/view

インターネットコンピューターの本質的な目的は、人類が(ウェブサービスを)構築するためのはるかに優れたブロックチェーンを作ることです。
その目的の内側には、より具体的な意図があるかもしれませんが、そのうちのいくつかを大まかにレビューします。

> ビルダーの数とともに、指数関数的に成長してゆく公共事業

> インターネットのように止められないシステムとサービス

> プライバシーが守られた安全なシステムとサービス

> 再構築されたスマートコントラクトによる複雑性の排除とスケーリング

> インターネットの 「最先端」を走るウェブスピードのブロックチェーン

> ブロックチェーンシステムから厄介な仲介者を排除する

> 知的なガバナンスと自律的な進化を実現する

> トークン化されたガバナンスシステムによる「オープンインターネットサービス」の実現

> 不可逆的な共有コマンドによる、信頼性がありプログラミング可能なウェブ

> テクノロジーを手にするチャンスを99%の人々に拡大する民主化の実現

> メガ・モノポリーに負けない豊かなオープン・インターネットの構築

> コントラクトに安定した流動性を与えるための計算処理の利用

> WebAssemblyを世界のヴァーチャル・マシンにする

> ブロックチェーンのトリニティ(三位一体)の完成

ビルダーの数に伴い、指数関数的に成長する公共事業

技術的なプラットフォームは、多くの場合、ネットワーク効果によって巨大化します。ネットワーク効果とは、システムやサービスを利用する人が増えれば増えるほど、そのシステムやサービスの有用性が高まり、成長がさらなる成長をもたらすという正のフィードバックループを形成することです。

その価値や利便性は、ユーザー数によって指数関数的に増加することもあります。
後述するように、インターネットコンピューターは、このようなネットワーク効果の恩恵を受けており、その価値は人々が(ウェブサービスの)構築すればするほど急速に高まり、ネットワークは世界にますます多くの有用性を提供できるようになります。
主な目的は、コードやシステム間の相互運用性をほぼゼロコストで提供することです。
これは、(スマートコントラクトを進化させた"Canister"と呼ばれる)安全な実行コードが、ホストされ、許可を得た上で、コードが他のコードを直接呼び出し、従来のソフトウェアが静的なソフトウェアライブラリから機能を取り込むように、その機能を取り込むことができるシームレスな世界を提供するからです。
これは例えば、インターネットコンピューター上に構築されたサービスAがサービスBと機能を共有している場合、たとえ異なるプログラミング言語で書かれていたとしても、BのコードはAとBの共有機能を直接呼び出すことができ、かつAとBは静的なライブラリではなく、実際に動いているソフトウェアの実行例であるというーこれは非常に画期的なことです。

シンプルな関数呼び出しにより、スタンドアロンのオブジェクトや、より大きなシステムやサービスの一部である機能を統合することができます。この記事で後述する、取り消すことのできないAPIの共有などの機能と合わせて、今日、開発者が静的なソフトウェアライブラリのコードを組み込んで新しいソフトウェアを構築するのと同じように、インターネットコンピューター上ですでにホストされているオブジェクト、システム、サービスの機能やデータを組み立てることで、新しいサービスを簡単に構築できるようになり、企業、システムビルダー、起業家、イノベーターに力を与えることとなります。
この効果はすでに存在し、証明されています。イーサリアムのブロックチェーンは、他のコントラクトの機能を直接呼び出すことができるスマートコントラクトをホストしており、金融レールを容易に統合・拡張することができるため、DeFiが爆発的に普及した主な理由となっています。
しかし、インターネットコンピュータとは異なり、既存のブロックチェーンプラットフォームは、必要な比較的小さなコストでスマートコントラクトの計算やそのデータを拡張することができず、開発者に膨大で強力なソフトウェアフレームワークを提供することができません。
これらの制限を取り除くことで、インターネットコンピューターは、パブリックなインターネットがプロプライエタリなネットワークを打ち負かしたのと同様の、計り知れないほど強力なネットワーク効果を解き放つことになる。

これを起業家の視点から理解するために、あなたがインターネットコンピューター上で、eBayの機能を提供する大衆向けの「オープンインターネットサービス」を構築したいと考えたとします。
オークションの仕組みを作るのは比較的簡単ですが、売り手と買い手の間で発生する紛争に対処するためのインフラを作るのは、通常、負担が大きいものです。
しかし、インターネットコンピューター上では、仲裁や紛争解決を提供するオープンなインターネットサービスに関数を呼び出し、その結果を別の関数呼び出しで返すだけで、このニーズを解決することができます。

これは、既存のサービスの中にあるデータ、機能、アクター、ユーザーをベースにして、新しいシステムやサービスを素早く構成することができる大胆な新しいパラダイムです。
開発者は、インターネットコンピューターを利用して既存のスマートコントラクトシステムを構築し、新しいシステムを追加することで、ネットワーク効果はますます強力になるでしょう。

今日のインターネットの発展には大きな歴史があり、多くの関係者がそれぞれの理由で貢献してきました。
しかし、インターネットの物語の重要な部分は、冷戦と、核攻撃に耐えうる堅牢な通信システムへの要求と密接に結びついています。基本的には、1964年に発表されたポール・バランの重要な論文にあるように、通信をデータパケットに分割し、利用可能なネットワークリンクに適応的にルーティングすることで実現しました。

冷戦がインターネットを強固なものにしたとはいえ、需要に応じて適応したり規模を拡大したりする能力は、水道のように今では多くの人類が当たり前のように利用している必須の公共事業となった基本的な要因です。
例えば、COVID-19のパンデミックの際、インターネットはその目的を見事に果たし、私たちは遠隔地で仕事をしたり、増え続けるメディアをストリーミングしたりすることができました。
インターネットコンピューターのネットワーク設計は、この伝統を確実に引き継ぐものです。
インターネットコンピューターは、核攻撃に耐えられるだけでなく、需要に応じて拡張することができ、スマートコントラクトを使って構築されたシステムやサービスも止めることはできません。

この数週間で、なぜこのことが重要なのかが明らかになってきました。世界の人口78億人は、自動化によって得られた能力でしかサポートすることができず、オンラインサービスが日常生活の中心的役割を果たすようになっています。しかし、COVID-19は、社会の中核となる情報インフラを維持するために、技術者の誰もが必要としているにもかかわらず、ビッグテックが運営する独自の集中システムが世界的に何度も停止しています。

アマゾンウェブサービスが所有する超大規模データセンターが停電に見舞われ、インターネットのサービスの大部分が停止しました。

Googleのサービスは広範囲に渡る障害に見舞われ、さらにGmailでも不具合が発生しました。

ちょうどこれを書いているときに、Slackでも不具合が発生したようです。

今日、私たちが頼りにしているハイパースケールの集中型データセンターは、テロ攻撃、サイバー攻撃、さらには竜巻による破壊や太陽フレアによる電磁パルスの発生など、あらゆる天災に対して脆弱です。
これまでのところ、その脆弱性が単純な設定ミスやソフトウェアのバグに起因するものであったため、その深刻さが大幅に軽減されていることに感謝しつつ、世界のインフラや重要なオンラインサービスをインターネットコンピューター上で止められない形で一刻も早く再構築することを目指すべきである。

従来のITを利用して構築されたシステムやサービスは、デフォルトでは安全ではないため、それらを保護する方法を見つけなければなりません。一般的には、ファイアウォールを追加したり、SIEMロギングやその他の業界全体で提供されているセキュリティシステムを利用したり、専任のセキュリティ担当者や管理者を配置して、ソフトウェアのバージョンや設定をチェックしたり、ハッカーにバックエンドへの入り口を与える可能性のある安全ではないコードを探したりしています。
このような現状に甘んじている私たちは、当然の疑問を持つことを怠っています。ブロックチェーンのような改ざん不可能なプラットフォームを使って、システムやサービスを構築すべきではないか。

インターネットコンピューターはこの要請に応え、ウェブスピードで境界のないブロックチェーンネットワークを構築することを可能にしました。そのセキュリティはプロトコルの基礎となる数学に由来し、ホストされたコードが改ざんされない方法で実行されることを保証します。
これを保証できるのは、ブロックチェーンプロトコルを支える数学が、ファイアウォール、システム管理者、潜在的なバックドアを特定するためのコードレビュー、その他今日私たちが頼りにしている多くのセキュリティ対策よりも、根本的に強力な保護を提供するからです。これらの対策は、最も熟練したハッカーでも2+2=5にすることはできないため、単純なエラーでも失敗する可能性があります。
インターネットコンピューターは、ホストされたコードが許可された方法でのみ実行され、期待されたコードのみが正しく期待されたデータに対して実行されることを保証しており、プラットフォームを形成するために使用された数学は、ハッカーにこれらの保証を覆す手段を与えません。
これは、ビットコインのブロックチェーンが始めたアプローチを引き継いだもので、その台帳は現在、私が書いているように5兆ドル以上の価値を保持していますが、保護のためにファイアウォールに頼ることはなく、この驚くべき革命的な特性を任意のシステムやサービスの構築に初めて拡張しました。

インターネットコンピューターは、ホストされているシステムやサービスの改ざん防止を保証するだけでなく、データのプライバシーにもセキュリティを拡張しています。
これが可能なのは、従来のブロックチェーンとは仕組みが異なるからです。ブロックチェーンでは、処理したトランザクションのブロックをダウンロードできるようにして、相互作用を検証できるようにしているため、誰でもホストされているすべての計算やデータを再構築することができます。
インターネットコンピューターは、チェーンキーテクノロジーと呼ばれるものをベースにしているため、このような必要はありません。チェーンキーテクノロジーでは、シンプルな「チェーンキー」(公開鍵のようなもの)を相互作用に適用することで、誰でも正しさを検証することができます。

チェーンキーテクノロジーでは、過去の取引履歴をダウンロードできるようにする必要はなく、各スマートコントラクトはネットワークノードの特定のサブセットに複製されるため、分散化によるセキュリティと耐障害性をはるかに高い効率で得ることができ、また、システムやサービス内のデータをコピーしたい人がダウンロードできないようにすることができます。
その結果、インターネットコンピューター上でホストされているシステムやサービス内のデータを取得する唯一の方法は、スマートコントラクトのロジックが共有内容を完全に制御できるような、認可された改ざん不可能な方法でそれらとやり取りすることです。
また、データセンターの悪意のあるシステム管理者など、ノードマシンに物理的にアクセスする可能性のある人々に対するプライバシー保護も組み込まれています。標準化されたノードのハードウェアには、アクセスされてもメモリチップやストレージデバイス上の暗号化されたバイトのみを見ることができる機能が搭載されています(この機能はネットワークがベータ版に移行した後にオンになります)。

インターネットコンピューターのように、攻撃を受けてもシステムの正しさやデータのプライバシーを守ることができる改ざん防止機能付きの計算機プラットフォームの必要性がこれまで以上に高まっています。
従来のソフトウェアの世界では、攻撃者に対して安全なシステムやサービスを作ることは不可能になっています。
例えば、エドワード・スノーデンは、NSAの内部セキュリティシステムの穴を突いてサーバーを漁り、痕跡を残さずに2万件の文書を盗み出すことができました(多くの人にとって、彼は英雄的な内部告発者ですが、それは彼がデータを収集したシステムのセキュリティが壊滅的かつ茶番的に失敗したという事実とは無関係です)。
一方、主要な超大国では、ロッキード・マーティン社から盗まれた数千億ドルの価値があるF-35から派生した戦闘機の設計が使われており、一般的にハッカーはオンラインサービスから多くのPII(個人を特定できる情報)を抽出しているため、ダークウェブで入手できない個人情報や個人的な金融情報はほとんどないと言われています。

そのため、PIIの価値は下がり、多くのハッカーは、サーバーマシンを暗号化し、復旧のためにビットコインでの支払いを要求するランサムウェアを使って、企業システムを無力化することに力を注ぐようになりました。
2020年には、政府や企業全体のITシステムが数週間から数ヶ月にわたって停止し、通常の業務が停止しました。
国家機関によるサイバー攻撃は、はるかに破壊的なものになる可能性があります。要するに、安全保障上の緊急事態が拡大しており、インターネットコンピューターのブロックチェーン上に構築することで、それが可能になるのです。

この記事を書いている数週間前に明らかになった「SolarWinds」の壊滅的なハッキングは、デフォルトで安全なシステムの必要性を反論の余地なく示しており、我々は危機的状況に達しています。
外国のハッカーは、欧米の多くの重要な機関や企業のプライベートなシステムやコンテンツを数ヶ月間にわたって自由に歩き回り、想像を絶する量の機密情報やコンテンツを盗み出しました。これらの情報は、今後数十年にわたって国際的な規模で展開されることになる災難の結果をもたらします。
このような事態は、例えば米国が「アインシュタイン」と呼ばれるサイバー防衛システムに数十億ドルを投じていたにもかかわらず発生しました。
このような究極の失敗に直面し、レガシーなインフラを安全にすることは不可能であることが明らかになった今、主流の体制の中で、技術者ではない人々がより包括的なアプローチを求め始めています。
The Hill紙のライターは「社会全体」のセキュリティ戦略を主張し、Financial Times紙のライターは、現在進行中のサイバー攻撃は、攻撃の巧妙さではなくITインフラの欠陥に起因すると指摘していますが(これは事実です)、その解決策の可能性については、インターネットコンピューターのブロックチェーン以上に注目する必要はないでしょう。

最も重要なのは、もちろんブロックチェーンの改ざん防止性であり、スマートコントラクトを用いて自律的なオープンシステム、DeFiをサポートすることが可能になったことです。
ブロックチェーン上のセキュリティの提供をプライバシーにまで拡張することで、スマートコントラクトをベースにしたシステムやサービスの設計が容易になり、その適用範囲が大きく広がりました。

今日、従来のITを構築する際には、ストレージのメガバイトあたりの価格、クラウドコンピューティングのインスタンスの1時間あたりの価格、ソフトウェアのライセンスなどのコストを考えるのが一般的です。
しかし、皮肉なことに、これらのコストは、世界で年間3兆8,000億ドルといわれるITコストの中で、比較的小さな割合しか占めていません。
忘れがちなのは、最大のコストはITオペレーションであり、コンピュータのプログラミングやシステム管理などの仕事に従事する人間のコストであるということです。

実際、米国の典型的なFortune 500企業では、ITコストの約85%がITオペレーションに起因しています。
さらに、ITオペレーションの努力の90%以上は、システムやサービスを構築・維持する際に、その基本的な目的や機能を定義する本質的なロジックやユーザーエクスペリエンスを構築・進化させるのではなく、単にコンポーネントの集合体を連携させるという魂を削るような作業や、データのバックアップやセキュリティの維持といった作業に向けられていることが分析されています。
このことは、IT全般のコストを削減し、その結果、人的技術資源をより生産的な目的に振り向けることができ、また、インターネットサービスの開発を大幅に簡素化し、技術的なベンチャーをより早く市場に送り出すことができる劇的な機会であることを示しています。

DFINITYは、ソフトウェアをスマートコントラクトの進化という形で再構築することで、情報システムの開発・保守に伴う複雑さを大幅に軽減するとともに、新たなセキュリティニーズにも対応し、高速で効率的、かつ制約のないブロックチェーン上に構築することで、無駄な技術コストを大幅に削減できるのではないかという洞察を早くから持っていました。
2015年、イーサリアムのブロックチェーンは、他のスマートコントラクトのコードを直接呼び出すことができるスマートコントラクトを導入し、共同ホストシステムの統合に伴うコストの多くを取り除くことで、このようなことが可能になるかもしれないと予告しました。
また、Ethereum上のスマートコントラクトは「永遠に動作する」ため、クラッシュしてデータがリセットされることはなく、Solidityのコードを書いているスマートコントラクト開発者は、データを単純なプログラム変数内に保持し、データベースやファイルとの間でデータをやりとりすることを忘れることができ、データの永続性を直接管理する必要がなくなるため、コードが簡素化されます(ただし、SolidityはEtherealのステートデータベース内に変数データを保持する低レベルのコードにコンパイルされることに注意が必要です)。

DFINITYは、このような洞察をインターネットコンピューターのデザインに反映させ、従来のスマートコントラクトをソフトウェアキャニスターに進化させました。
キャニスターのコードは、他のキャニスターが共有する機能を直接呼び出すことができるため、期待されるメリットが得られる一方で、従来のスマートコントラクトとはさまざまな点で異なる仕組みになっています。
このようなスマートコントラクトを「キャニスター(小さな缶)」と呼ぶのは、キャニスターがソフトウェアコードとそのコードが動作する永続的なメモリページをひとつにまとめたものであり、キャニスターを決定論的に並列動作させることでネットワークの容量を拡張することができるからです。
このコードは、ソフトウェアアクターを記述する任意の高レベルプログラミング言語からコンパイル可能なWebAssemblyバイトコードの形をしています。
また、キャニスターはクラッシュすることはありませんが、今回、開発者は真の直交的な永続性のスキームでデータを維持します。つまり、データは、プログラミング作業の過程で自然に作成される任意の変数、オブジェクト、コレクション、データタイプの中に存在するだけで、それが自動的にメモリ内に永続化されるのです。
このような機能や他の多くの革新的な技術により、インターネットコンピューター上で目的の本質に基づいてコードを書くことができ、複雑さが大幅に取り除かれ、ソフトウェアシステムやサービスの実装、維持、管理のコストを劇的に削減することができます。

また、インターネットコンピューターは、開発者が初めて「スケールするコード」を書くことを可能にし、例えば、大量のインターネットサービスの制作を大幅に簡素化します。
従来のITでは、ソフトウェアの多くはホストであるコンピューターの物理的なメモリー内で実行され、そのメモリーはOSなどの他のソフトウェアと共有され、搭載されている物理的なメモリーチップに制限されていました。
このため、大規模なインターネットサービスなど、システムの拡張性が求められるシステムの開発者は、「シャーディング」などの複雑な仕組みを用いて、複数のサーバーコンピュータやデータベースなどのスタンドアロンシステムに計算やデータを分割し、この制約から逃れなければならないという負担があります。
一方、インターネットコンピューターは、そのような分割が不要なコードのための真にシームレスな環境を初めて提供します。開発者のコードが新しいキャニスターオブジェクトをインスタンス化するたびに、最大4GBの追加メモリページがシステム全体に組み込まれます。これにより、コードはあたかも巨大で無限にパワフルなサーバーコンピュータ上で動作しているかのように、何十億ものデータをメモリ内に保持することが可能になり、現在必要とされているコード行数のほんの一部で超大規模なインターネットサービスを実現することができます。

インターネットコンピューターのモデルが提供する簡素化は、ネットワーク構築に必要なハードウェアの追加コストによって相殺され、節約効果が無効になるのではないか、あるいはパブリックプラットフォームが従来のITと同じくらい高価なものになってしまうのではないか、と懸念される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そのようなことはありません。
構成にもよりますが、ネットワーク内にチェーンキーテクノロジーを適用することで、インターネットコンピューターは、十分なセキュリティと耐障害性を維持しながら、(独立したデータセンターから集められた)わずか7台のノードマシンに、ガバナンスに関係しない計算とデータをレプリケーション(複製)することができます。これは、グーグルが使用しているレプリケーションの数よりもわずかに多いだけです。
さらに、従来のITでは、データベースのインデックスとデータファイルの間や、インターネットのエッジにコンテンツを事前に配信するCDN(コンテンツ・ディストリビューション・ネットワーク)サービスへのレプリケーションなど、隠れたレプリケーションが多く行われていました。
このように、インターネットコンピューター上のキャニスターメモリは、1GBあたり年間5ドル程度と比較的高価ではありますが(イーサリアムのスマートコントラクトデータが1GBあたり500万ドルであることを考えると、ブロックチェーンにおいてはいずれにしても画期的なことです)、キャニスターフレームワークは、そのメモリのはるかに効率的な利用を保証します。

インターネットコンピューターの基盤となるブロックチェーンプロトコルで使用される暗号の計算オーバーヘッドが懸念材料として残っている。
これはノードマシンのCPUで処理する必要がありますが、ネットワークは、不必要な複雑さやシステムの安全性確保の難しさに起因する相対的に大きな人的コストを削減することを第一に考えているため、従来のITよりもはるかに低い総コストでシステムやサービスの構築・維持をサポートできることに変わりはありません。
実際、インターネットコンピューターの設計者は、必要に応じて、ハードウェアの使用量を増やすことで、他の方法では得られない人間の効率性を意識的に交換しています。
1981年に私がコーディングを始めたパーソナルコンピュータSinclair Research ZX-81のメインメモリはわずか64KBだったのに対し、私が使っている16インチのMacBook Proのメインメモリは60GBと、40年間でメモリ容量が100万倍になっていることを考えると、これは理にかなっています。

スマートコントラクトのフレームワークであるcanisterや、Motokoのような新しい言語に興味がある方は、DFINITYが提供するSDKをsdk.dfinity.orgでご確認ください。

ブロックチェーンに対する従来の不満の一つは「遅すぎる」というもので、最大の先入観の一つは「常にブロックチェーンは遅い」というものです。
このような考え方のルーツは、一番最初のブロックチェーンであるBitcoinの設計から始まっており、予想では取引の確定に30~60分かかるとされています。
イーサリアムでは、2013年に開発されたプルーフ・オブ・ワークのアップデート版「GHOST」を設計に適用して、非常に高速化し、未来への道筋をつけました。
インターネットコンピューターの重要な目的は、このような障壁を打ち破り、アプリケーションによっては従来のITがホストするコードよりもさらに優れた性能を発揮するスマートコントラクトをホストすることにありました。
これは、低レベルの技術的な仕組みがまもなく明らかになるチェーン・キーテクノロジーを応用し、ブロックチェーンが今も昔もネイティブな "エッジ・アーキテクチャ "であるという見解に基づいて実現されています。

チェーンキーテクノロジーにより、インターネットコンピューターは、スマートコントラクトの状態を更新する(サイバー空間にホストされているデータを更新する)トランザクションを1~2秒で確定することができます。
これは非常に大きな進歩ですが、ミリ秒単位での応答が求められる競争力のあるユーザー体験をブロックチェーンで提供するには、それだけではまだ不十分です。
インターネットコンピューターでは、スマートコントラクトの機能実行を "アップデートコール "と "クエリコール "の2種類に分けることでこれを解決している。
更新コールは私たちがよく知っているもので、1~2秒で実行が完了します。一方、クエリコールは、状態(ここではキャニスターのメモリページ)に加えた変更が、実行後に破棄されるという点で仕組みが異なります。
これにより、クエリコールはミリ秒単位での実行が可能となります。

これが実際にどのように機能するかを想像するために、Redditに代わるオープンなインターネットコンピューターを想像してみましょう。
ユーザーがフォーラムを閲覧すると、ホストされているコンテンツのカスタマイズされたビューが形成され、クエリーコールの実行によってユーザーのウェブブラウザに提供されます。
しかし、時折、投稿をしたり、投稿者にトークンのチップを提供したいと思ったときには、更新コールが必要となり、1~2秒で完了します。これは、ここでは許容できる遅延ですが、そうでなければ、使用しているクレジットカードが拒否されないという前提で、即座に成功するワンクリック決済のように隠されてしまうかもしれません。

このモデルにより、インターネットコンピューターは、ビッグテックの超大規模データセンターで稼働するクラウドを利用したサービスと比較して、実際にユーザー体験を向上させることができます。
これは、インターネットコンピューターがスマートコントラクトのデータを、世界中の独立したデータセンターに分散しているノードのサブネットに複製するためです。
実際、クエリーコールは、エンドユーザーに近い「エッジ」にあるノードで実行されることが多い(設定可能なセキュリティレベルについては後述)。
例えば、ユーザーがチューリッヒから想像上のオープンバージョンのRedditを閲覧した場合、インターネットコンピューターは、近くにあるスイスのデータセンターにあるノードを使ってクエリコールを実行し、サービスを提供することができます。
Redditのカスタムコンテンツは、ハイパースケールのデータセンターで作成された後、ユーザーに届けられる必要があります。
Redditは、おそらくCDNを使って世界中の写真などのメディアオブジェクトを透過的にキャッシュし、ユーザーの近くにあるマシンから提供できるようにするでしょう。しかし最終的には、サービスをホストする中央のハイパースケールデータセンター内でカスタムコンテンツを動的に生成し、それを世界中に運んでユーザーに提供しなければならず、遅延が発生してユーザーエクスペリエンスが低下してしまいます。

今日のパブリックブロックチェーンのシステムは、その重要な目的のために、しばしば信頼できる仲介者に依存しています。
例えば、イーサリアムのスマートコントラクトを使用して構築されたシステムやサービスを利用する場合、通常はアマゾン・ウェブ・サービスやその他のビッグテックのクラウドでホストされているウェブサイトを介して行います。
これらのウェブサイトは、安全ではないクラウドアカウントで運営されており、信頼できる当事者によって管理されていますが、クラウド事業者に対して脆弱であるため、バックエンドで意図したスマートコントラクトと実際にやり取りしているかどうか、ウェブサイトが侵害されておらず、悪意のあるコードをウェブブラウザに提供していないかどうかを、実際に確認することはできません - これは改善しなければならない問題です。

ブロックチェーンの仲介者にまつわる現在の不調は、Proof-of-Stakeブロックチェーン・アーキテクチャへの移行に伴ってさらに悪化する恐れがあります。その経済性から、マイナーはコスト削減のためにバリデータ・ノードを一握りの巨大独占クラウド・サービス上で稼働させることになるでしょうが、これはすでに大規模に起こっていることです。
十分な数のノードがクラウド上で稼働するようになると、ブロックチェーンは運営者が「バリデーター・キー」を盗んだり、スイッチを切ったりすることでダウンする可能性がある。敵対的な企業や政府による何らかの法的措置の結果として、あるいは最近のアマゾン・ウェブ・サービスのようにクラウドサービスが故障しただけで、ダウンする可能性もあります。
インターネットコンピューターはクラウドを排除し、そのNetwork Nervous System(NNS)は、セキュリティと耐障害性が維持されるネットワークにノードマシンを導入し、計算とデータを分割するだけである。
さらに、仮にNNSを騙して、標準化された正しいノードハードウェアではなく、クラウドのインスタンスを使ってノードを作ることができたとしても、それは統計的な偏差によって明らかになり、クラウドはいずれにせよノードをホストすることはできません。
このように、インターネットコンピューターのネットワークでは、一握りのクラウドが計算能力の仲介者になることを防いでいます。
その代わりに、世界中の高品質で独立したデータセンターに設置された専用のノードハードウェアのみで動作し、複数の地域や管轄権にまたがる破損や障害に耐えることができます。

話が長くなってしまいましたが、最後に一言だけ。ブラックスワン・イベントは、どのような状況を想定しても、あまりにもあり得ないと思われるため、人々に準備を促すのは難しいものです。
しかし、そのような状況は膨大な数に上ることが多く、少なくとも1つのブラックスワン・イベントが発生する可能性は非常に高いと言えます。
ビッグテックのクラウドに依存しているパブリック・ブロックチェーンの場合、ビッグテックがその出現に脅威を感じ、規制当局がそれを止めるきっかけを作るかもしれませんし、太陽からのフレアによる電磁パルスで、ブロックチェーンが格納されている超大規模データセンターの一部が使えなくなるかもしれませんし、まったく別のことが起こるかもしれませんし、破滅的にうまくいかない方法はたくさんあります。
その結果、オープンで止められない、改ざんされないことを目的としたパブリック・ブロックチェーンやその関連システム・サービスを、ビッグテックのクラウドサービスを使って構築するという行為は、この目的に反した愚行であると確実に言えるのです。
インターネットコンピュータが解決策を提供します。

□ブロックチェーンシステムからユーザビリティに関する重大な問題を取り除く

ブロックチェーンは主流になろうとする過程で多くの課題を経験してきましたが、Cryptokittiesの流行はその一例です。
このエキサイティングなゲームは、Ethereum上のスマートコントラクトの計算を利用しており、2017年には分散型コミュニティ内で人気が急上昇しました。
しかし、ブロックチェーンのスケーラビリティは、このゲームが主流になるのを妨げた数多くの課題のうちの1つに過ぎず、同様のシステムやサービスが構築されることはありませんでした。
実際、Cryptokittiesが直面したスケーラビリティの問題には、さらに高いハードルが隠されていました。そのため、このゲームは、ほとんど既存のブロックチェーン・コミュニティの中だけで人気を博し、主流になる可能性はほとんどありませんでした。
最大の障害は、ゲームに参加するためには、イーサリアムのネイティブトークンであるETHを保有するウォレットを持つ必要があり、それ以降、ゲームとのやりとりの多くは、ウォレットのインターフェースを使って低レベルのスマートコントラクト取引を手動で開始する必要があるということでした。

MetaMaskのような設定済みのウォレットを持ち、トークンの複雑さを理解し、トークンの利用方法を模索しているイーサリアムコミュニティの人々にとっては、この要件はほとんど問題になりませんでしたが、ゲームを報道するジャーナリストなど、ブロックチェーン以外の人々にとっては非常に大きなハードルとなりました。
ゲーム業界で働いたことのある人なら誰でも、バイラル採用が成功の鍵であることを知っています。そのためには、プレイヤーがゲームを最初に試してから熱心なユーザーになるまで、できるだけ多くの摩擦を取り除くことが必要です。
ここで、クリプトキティに興味を持ったメインストリームのユーザーが、自分のウォレットでプレイするためにはETHトークンが必要であるとします。
参加するためには、まずCoinbaseなどの暗号通貨取引所にアカウントを登録し、面倒なKYC手続きを経て、お金を送金し、ETHを購入し、そのお金を実際の「ポストされていないウォレット」に引き出し、ゲーム内での取引方法を習得する必要がありました。
つまり、メインストリームのユーザーには、事実上、乗り越えられない壁が立ちはだかっていたのです。

インターネットコンピューターは、2つの方法でこれらの問題に対処します。
まず、スマートコントラクトがWebブラウザなどに提供するユーザーエクスペリエンスを通じて、ユーザーがトークンを一切保有することなく、ホストされたオンラインサービスと直接対話できるようにします。
これを可能にしているのは、従来のブロックチェーンでは、ユーザーが自分のインタラクションが生み出すスマートコントラクトの計算に対価を支払う必要がありましたが、インターネットコンピューターでは、スマートコントラクトが「サイクル」(Ethereumブロックチェーンではガスにほぼ相当)を使って自分の計算に対価を支払う「逆ガスモデル」を採用しているからです。
第二に、ユーザーは暗号鍵ペアを使って対話するスマートコントラクトシステムに自分を識別する必要がありますが、従来のブロックチェーンウォレットを使用する場合と比較して、そのような鍵の管理がはるかに容易になります。
ユーザーは、従来のユーザー名とパスワードをブラウザに入力することで本人確認を行い、ブラウザ内のコードによって決定論的に鍵ペアに変換されますが、より安全で便利な方法として、新たに登場したWebAuthn規格を使って本人確認を行うこともできます。
例えば、MacBookのノートパソコンに搭載されている指紋センサーを押したり、携帯電話で認証したりすることで、最新のクライアントデバイスのセキュアなハードウェア機能を利用して素早くログインすることができます。

ブロックチェーンにとって、ガバナンスは常に悩ましい問題です。
一方で、ネットワークは本当に分散化されていなければならず、関係者や組織などの特定のアクターにコントロールされてはいけません。なぜなら、コントロールされてしまうと、管理者が閉鎖を望んだり、管理者の腐敗によって、ホストされているトークンやコードにネットワークが提供しているセキュリティの保証を覆してしまう可能性があるからです。
一方で、どこかから何がしかのコントロールがなされるべきだとも思います。なぜなら、このようなネットワークは複雑な技術で形成されており、生産の中で修正、改良、アップグレードされることが避けられないからです。また、インターネットコンピューターがそうであるように、ネットワークがより強力になればなるほど、悪意のあるアクターが重大な影響を与える悪意のある計画に適用する可能性が高くなります。
後者については、例えばテロリストがスマートフォンを使ってIEDを爆発させることができるように、すべての技術は誤用される可能性があるというのが正論です。
しかし、だからといって、すべての考慮事項が免除されるわけではありません。

これまでのブロックチェーンは、自分自身を更新するために、不透明で疑問の多い面倒な方法を使ってきました。
ビットコインの場合、コミュニティに支配的な組織力がないため、不満からかなり無意味なネットワークの「フォーク」を作ることが不可能に近く、ほとんど行動を起こさずに議論が激化することがあります。
一方、Ethereumは、ネットワークの指針となる非営利組織である財団や、Vitalik Buterinのような著名なリーダーがいることで、変化を推し進め、より革新的な軌道を追求することが容易になっています。
しかし、実際の変更プロセスは、人々のコンセンサスを得ることの難しさに加え、ネットワークをホストするノードにグローバルなアップデートを行うことが非常に難しいという技術的な課題があるため、依然として困難です。

NNSでは、ICPガバナンスユーティリティートークンの保有者が、投票ニューロンにロックすることができます。このニューロンは、システムに提出されたプロポーザルへの投票に使用され、自動的に実行され、自動的に投票するように様々な方法で相互にフォローさせることができます--これは、ある意味で、リキッドデモクラシーの形態を表しています。
その仕組みについては、近日中に公開される技術資料に詳しく説明しますが、述べておきますと、このシステムが処理できるプロポーザルの種類の多くは、インターネットコンピューターの基盤となるネットワークの管理に関連しており、ノードマシンへのアップグレードや修正の押し付け、容量を拡大するためのサブネットの作成などを行っており、これが現在の真の複雑さの原因となっています。
インターネットコンピューターは、伝統的な意味でのフォークを行うことができず、アップグレードやネットワークの修正は、高度な技術を要する暗号方式が緊密に絡み合って構成されているチェーンキー暗号の仕組みと、密接に連動して行わなければなりません。
このようにネットワークを自在に操ることができるのは驚異的なことですが、この作業によってインターネットコンピューターは自律性を保ちながら、誰もが提出できる提案を評価して採用することで、ネットワークを急速に進化させることができるのです。

しばしば見落とされるのは、ブロックチェーンネットワークを動かすコードが修正可能であるならば、そのネットワークがホストするトークン、コード、データも実際には修正の対象となるということです。
コードやプロトコルが修正されていないブロックチェーンは存在しないため、その上にあるすべてのものは、支配しているコミュニティの共同意思に左右されていたし、実際に今も左右されています(1840億ビットコインのバグを解消したり、イーサリアムの「DAO」のハッキングに対処したりするなど、一部の例外を除いて、これらのコミュニティがこれまでそのような修正を行わないことを選択したとしてもです)。
このような極端なケースでコードがコミュニティによって上書きされるのであれば、生命や身体が危険にさらされるような極端に特殊なケースでもコードは上書きされるのではないでしょうか?
例えば、インターポールがインターネットコンピューター上でホストされているシステムが人身売買の市場として利用されていることを発見し、そのデータが破棄されれば、弱者や虐待を受けている人々が想像を絶する悪い状況から救出されるかもしれないと想像してみてください。
このシナリオは、インターネットコンピューターを否定するものではありません。インターネットコンピューターは、バランスの上では世界に多大な善をもたらす技術の現れですが、そのこと自体が、「コードは法である」という多くの利点にもかかわらず、できることなら何もすべきではないという十分な論拠にはなりません。

NNSとその力は、もちろんブロックチェーンコミュニティの中で多くの議論の対象となるでしょう。
NNSが極端なケースで行動を起こせば、スマートコントラクトコードのバグやハッカーがユーザーから認証キーを盗むことによる悪影響を元に戻そうとするなど、はるかに影響力の低い数多くの行動にNNSが日常的に関与するようになるだろう、と多くの人が合理的な考えのもとに言うことでしょう。
NNSの設計に組み込まれたインセンティブにより、NNSは、全人類にコンピュートプラットフォームを提供するというインターネットコンピューターの中核的な目的に最も合致したコースを描き、行動をとる提案を採用するようになります。

□トークン化された統治システムによる "オープンなインターネットサービス"

ブロックチェーンの重要な目的は、従来のシステムが、セキュリティや個人の主権を大幅に低下させ、負担の大きいオーバーヘッドを導入する、仲介者や信頼できる当事者への依存を排除することにあります。
例えば、私がビットコインをネイティブのビットコインウォレットに保有している場合、インターネットを利用して、そのデジタル通貨を他の人のビットコインウォレットに、許可を得ることなく直接送金することができます。
こうしたブロックチェーンの保証は、より高度なプロセスのための優れた基盤にもなります。そこでイーサリアムでは、スマートコントラクトを導入して、一般的な計算にも適用できるようにし、計算を人間に起因する面倒なもろさやプロセスから解放する手段を提供しました。
しかし、スマートコントラクトのコードでこれらの利点を十分に活用することは、開発者にとってより困難なことです。なぜなら、そのようなコードは完全に自律的に作られ、所有者を必要とせずに存在するかもしれませんが、そのような場合には、その後更新することができず、コードの改善と修正は、大多数の複雑なシステムにおいて永続的な要件となるからです。

インターネットコンピューターの重要な目的は、開発者、起業家、投資家、エンドユーザーのコミュニティが、このような自律的なスマートコントラクトコードを使って、大規模市場向けのオープンインターネットサービスを成功させることです。これにより、サービスはブロックチェーンそのものではなく、インターネットの一部として実行されます。
このようなサービスは、後述するように、レガシーなビッグテックサービスとの競争に勝つために、ユーザーに多大な新しい利益を提供することができますが、そのためには、大量のスマートコントラクト(ここでは「キャニスター」)を組み込んだ非常に複雑なシステムが必要となり、必然的にアップデートが必要となります。
この課題を解決するために、インターネットコンピューターは、インターネットサービスを、自分が提供するトークン化されたオープンなガバナンスシステムにコントラクトを割り当てることで、自律的に動作するオープンなインターネットサービスに変えることを可能にし、そのガバナンスシステムは最終的にNNS自身が所有し、制御します。
これらのガバナンスシステムは、基本的に、インターネットコンピューターのネットワーク全体の管理を担うNNSを生み出したのと同じ技術に由来しており、独自のガバナンストークンによって制御されています。

サービスがオープンインターネットサービスに変換されると、NNSはトークン化された新しいガバナンスシステムを初期化し、そこに制御権を渡します。
新しいガバナンスシステムには、当初10億個のネイティブガバナンストークンが含まれており、これがアクションを起こした人に渡されます。
そもそも、このサービスは、ガバナンス・トークンがすべて何者かによって保有されているため、まだ真の意味でのオープンなインターネットサービスではありませんが、その後、開発者などのプロジェクトの主要なプレーヤーに広く配布するだけでなく、コミュニティ内でも広く配布し、できるだけ多くの人が「投票ニューロン」を作って、システムを安全にし、そのガバナンス・システムが大規模な保有者や保有者グループに依存せずに自律的に運営できるようにすることを目指しているはずです。
もちろん、オープンなインターネットサービスの場合は、トークンを販売して開発資金を調達することもできますが、この技術は企業のソフトウェアシステムにも利用でき、現在よりもはるかに安全な方法で、重要なインフラの制御を複数の関係者間で行うことができます。
ガバナンスシステムが初期化され、コントロールされるようになると、サービスのコードや設定のアップグレードはすべて提案書を提出して行われなければならず、ガバナンスシステムはその提案書を採用して実行するか拒否するかを決定します。

2013年の時点でも、アーロン・スワーツは "プログラマブル・ウェブ "について書いていました。
インターネットコミュニティは、インターネットサービスが他者にオンラインAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供し、自分のサービスが共有された機能やデータを取り込むことができるという壮大なビジョンを掲げていました。
私も含めて多くの人が、共有することで共有者にネットワーク効果がもたらされるため、共有がデフォルトモデルになると考えていました。また、プログラマブルウェブは無限に豊かになり、機能を拡張する方法が増え、ユーザーの許可を得てデータを再利用し、追加機能を提供することでより多くの価値を提供できるようになると考えていました。
しかし、それは一部に過ぎませんでした。
Web 2.0の黎明期には、他者の構築によるネットワーク効果で爆発的な成長を遂げ、インターネット全体のエコシステムの中に深く入り込んでいました。
その結果、エコシステムの中で独占的な地位を確立した組織は、システムに蓄積されたユーザーデータを乗っ取ることで得られるメリットが大きくなり、共有の保証を反故にするという不幸な事態が発生しました。

今日、プログラム可能なウェブの夢は遠いものになってしまいましたが、その理由は歴史的な例を見ればよくわかります。
LinkedInは、自分がホストしているプロフェッショナルなプロフィールを他のサービスと共有することから始まった。他のサービスは、LinkedInをデータベースとして扱い、新しいユーザーにプロフィールを提出するように指示することが多かったです。
例えば、パロアルトのダウンタウンに拠点を置くRelateIQは、組織のコミュニケーショングラフを閲覧できるように作成していました。
RelateIQは人気を博し、素晴らしいチームを擁し、多額の評価額を得てユニコーンとなったのです。
そして2014年、この頃には職業プロフィールのほぼ独占状態を確保していたLinkedInが、プロフィールを共有するメリットが減ったと判断したようで、後に同社のAPIを利用している何千ものサービスに、新たな条件でアクセスを制限する(実質的には取り消し)という通知を出したことが明らかになった。
しかし実際には、これは普遍的に行われたことではなく、その規模のおかげでSalesforceはアクセスを維持することができ、そのためRelateIQはSalesforceに売却されて機能を維持することができたが、間違いなく以前の価値よりもはるかに低い金額で売却されています。

これは、新しいシステムやサービスを構築する際に、他のシステムやサービスに依存してしまう「プラットフォームリスク」と呼ばれるケースです。
このリスクは、突然発生するため、非常に厄介です。
例えば、最近、TinderのCEOが、Tinderの機能がAPIに大きく依存しているFacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグに面会を申し入れました。
ザッカーバーグはこの要請を即座に断り、スタッフに「彼がそこまで関係しているとは思わない。彼はたぶん、私たちが彼らのAPIをオフにしないようにしたいだけでしょう」。
この問題の可能性は、Zygra社が上場後、Facebookがプラットフォーム上で公開されるソーシャルゲームに関するルールを変更した後、3ヵ月でシェアが85%減少した経験から明らかになっていたはずです。

しかし、独占企業ではない企業のAPIを使って構築したとしても、ある日突然、支払いを要求されたり、戦略上の理由でアクセスを取り消されたり、あるいは単に失敗したりするという大きなリスクを抱えているということです。
その結果、データや機能の共有に依存したインターネットサービスを開発するための資金調達がますます困難になり、技術の世界がますます独占的になる一方で、イノベーションと経済的機会がますます損なわれ、プログラマブル・ウェブという当初の夢は無下になってしまったのです

この状況を打破することがインターネットコンピューターの重要な目的であり、ホストされているオープンなインターネットサービスが撤回できない「永続的」なAPIを公開することで、プログラム可能なウェブをより強力でインパクトのある新しい形で復活させようとしています。
基本的には、開発者が共有機能を永続的なものとしてマークすることで、管理するガバナンスシステムがそれらを削除したり変更したりするようなソフトウェアのアップグレードを推し進めようとしても、自動的に失敗するようになっています。
しかし、これは解決策の一部に過ぎません。オープンなインターネットサービスは、何らかの利点を得るために、共有された永久的なAPIの背後にある機能を低下させる可能性があるからです。例えば、オープンバージョンのLinkedInでは、どのようなユーザープロファイルが要求されても、常に同じプロフェッショナルプロファイルを返すことができます。
ここで、インターネットコンピュータは、Network Nervous System(NNS)の力を利用しています。
恒久的なAPIの喪失によって影響を受けた人々は、NNSに救済を求めることができます。
関連する提案が採択されると、NNSは、オープンインターネットサービスを支配するガバナンストークンを徐々に膨らませて(新しいトークンを作成して)、完全な機能性を回復し、その保証を守るようにします。
明らかに、ガバナンスシステムの意図が何であれ、オープンインターネットサービスは、そのガバナンストークンの保有者が希釈化されることを望まないため、そのようなトリックを決して試みてはなりません。

開発者が提供者を信頼することなく、共有されたデータや機能に基づいて構築することを可能にする、この新しいプログラマブル・ウェブの威力は計り知れないものがあります。
また、データや機能を共有することで、他の人が構築したものによってもたらされるネットワーク効果の恩恵を受けて成功したものは、後になって方針を転換することができず、より建設的な経済の基盤を築くことができます。

現在、世界の人口は78億人を超えていますが、富と機会の分配は非常に不平等な状態です。
このような人々の中には、人類全体の利益のために生かすことができる、未開発の才能や天才さえも存在しています。
また、インターネットコンピューターの主な目的は、グローバル社会の中核となる情報インフラをよりオープンな形で再構築し、才能ある人々がどこからでも参加できるようにすることにあります。
そのためには、技術の成長や革新はシリコンバレーで行われ、世界の99%以上の人材は他の場所にいて参加できないという不均衡を解消しなければならない。
インターネットコンピューターでは、この現状を変えるために、①「資本へのアクセスを分散させる仕組みの提供」②「どこでも簡単に企業システムを構築し、インターネットサービスを大量に販売する手段の提供」③「ビッグテックが運営する既存のプロプライエタリなインターネットサービスやエコシステムとの競争で決定的な優位性を得ることができるオープンなインターネットサービスを支援する仕組みの提供」の3つの柱を紹介しています。

資本へのアクセスを分散させるために、インターネットコンピューターは、トークン化されたガバナンスシステムによって制御されるオープンなインターネットサービスの作成を可能にします。
このネットワーク上では、インターネットにアクセスできる開発者のチームであれば、世界中のどこにいても、新しいオープンサービスの構築に着手することができ、開発の過程で、付与されたガバナンストークンを資金調達の手段として販売することができます。
これらは、サービスが手数料や広告などで収益を上げ、それを議決権報酬という形で保有者に分配することで、生み出される価値を共有することができるため、価値を高めることができます。
そのメリットは明らかです。
ドットコム時代、私はシベリアのトムスクに住む優秀な開発者たちと仕事をしました。
彼らは資本を全く持っておらず、ベンチャーキャピタリストのような立場で関わることは危険ですらありました。
そのため、彼らは一次的なイノベーターではなく、オフショア開発者としての役割しか果たせず、ハンターにとっては経済的潜在力を浪費する機会損失となっていました。
インターネットコンピューターの登場により、このようなチームが自らイノベーションを起こし、その才能を世界の次世代情報インフラやサービスの構築に活かすことで、世界経済に莫大な価値をもたらし、テック社が提供する機会を公平に享受することができるようになりました。

新しいシステムやサービスを開発する際の障壁を低くすることは非常に重要であり、世界のあらゆる地域で情報システムの開発が進むでしょう。しかし、技術分野における起業家精神のアップサイドの大部分は、競争の激しい環境の中でニッチを獲得し、支配することのできる大衆向けインターネットサービスとその周辺のエコシステムを実現するプラットフォームから得られるものでなければなりません。
これは、インターネットコンピューターも最初から促進するように設計されています...

□メガ・モノポリーに打ち勝つ、より豊かなオープン・インターネットの構築

ビッグテックによるメガ・モノポリーのインターネット・エコシステムは、日に日に強化され、個人の自由と主権を奪い、経済的機会とそれによってもたらされる成長を狭め、イノベーションを遅らせています。
グーグルやフェイスブックのサービスでかつて行われていた大規模なイノベーションが何年も停滞していることに誰もが気づかずにはいられません。その一方で、グーグルやフェイスブックの運営者たちは、ユーザーの習慣や欲求を追跡することでこれまで以上に効率的に収益を上げること、新しい分野への参入や競合他社の買収によって帝国の基盤を拡大すること、新興企業を立ち上げるかもしれない人材を雇用して無力化すること、自分たちに有利になるように議員にロビー活動を行うこと、規制当局を誘導して規制当局の取り込みの過程で新興企業の競争を阻害するような新しい規制を導入することに集中しています。
一方で、インターネットの夢のフィールドでの機会が狭まる中、投資家の資金や世界中の起業家や技術者の膨大な供給源が、ブロックチェーンやICOブームに代表されるように、新しいオープンなインターネットを構築することで主導権を奪い返そうとしています。
必要なのは、勝つための手段です。

インターネットコンピューターは、そのための必要不可欠なツールを提供するものなのです。
インターネットコンピューターは、オープンなインターネットサービスが、従来のITスタックで構築されたインターネットサービスにはないユニークな機能や利点をユーザーに提供する手段を提供します。また、新しいオープンインターネットのエコシステムを構築する手段を提供します。このエコシステムでは、信頼性の高い機能やデータを共有する手段が、開発者や起業家のチーム間の摩擦の少ない、交渉不要のコラボレーションを促進し、プラットフォームのリスクを負うことなく、あらゆる当事者があらゆるサービスの機能やデータを拡張することを可能にすることで、ダイナミズムや継続的なイノベーション、ネットワーク効果を促進します。
また、先に述べたように、インターネットコンピューターは、世界中の才能ある人々の資金調達へのアクセスを民主化し、最終的にはビッグテックの独占的なエコシステムよりもはるかに多くの人々が、インターネットサービスをこれまで以上に容易に構築できる技術的なフレームワークを使って、オープンなインターネットの構築に貢献することになるでしょう。
これらのことが実際にどのように機能するのかを考えてみましょう。

Google PhotosやUber、TikTokのオープンバージョンを考えてみると、インターネットコンピューターがどのようにして優れた機能を生み出すプラットフォームとなるかがわかります。
OpenPhotos:インターネットサービスは、まず第一に安全性が確保されています。これは、最近ホワイトハットハッカーがユーザーアカウント内の写真を見ることができることを発見し、完全に侵害されたAppleのiCloudと比較しても明らかです。
しかし、消費者にとってより明らかなことは、インターネットコンピューター上の新しいプログラム可能なウェブ機能によって強化された信頼性の高い共有によって、はるかに多くの写真フィルターが利用可能になり、写真はさまざまな追加サービスにエクスポートされ、所有者にとってより価値のあるものになり、はるかに豊かなユーザーエクスペリエンスを提供することができるということです。
また、Open Photosでは、ユーザーが一時的に料金を支払うことで、例えば1テラバイトの "永遠の "写真ストレージを利用できるようにすることができますが、その場合、二度と料金を支払う必要はありません。
これは、継続的なデータストレージへの支払いのための利息を発生させるDeFiシステム(Compoundなど)に、簡単な関数呼び出しを使ってデポジットをインストールすることで実現できます。

Open Ridesサービスは、さまざまな方法でUberやLyftに取って代わろうとするかもしれません。
まず、初期のドライバーやライダーは、創業時のチームメンバーと同様に、サービスの成功に欠かせない役割を果たすことを認識します。
このことを認識し、バイラル採用のインセンティブを生み出すために、Open Ridesは、初期のドライバーやライダーが乗車したり、紹介したりした際に、ガバナンストークンを付与し、Open Ridesが成功した場合には、スタートアップベンチャーのチームメンバーのように、その成功を共有できるようにするでしょう。
Open Interest Serviceは、インターネットの一部として自律的に実行され、ここではドライバーとライダーをつなぐ高度なP2Pプロトコルとして実行されており、コードは簡単には止められません。
Open Ridesは、インターネット上の自律的なコードとして、世界中のすべての地域で即座に利用できるようになるかもしれません。縄張りを守りたい地元のタクシー独占企業の言いなりになっている地域政府との高価な交渉は必要なく、Uberがいまだに多くの地域で営業できないのもこのような動きによるもので、ドライバーが乗車料金のより多くの部分を保持できるようにしながら、さらにコストを削減することができます。
もちろん、Open Ridesは、簡単な関数呼び出しで自動的に人の移動を組織化したい他のサービスと簡単に統合することができます。また、システムは改ざんできないため、ドライバーとライダーの両方が、評判とシステムが正確にレビューを記録していることを確認できます。

DFINITY財団では、オープンなインターネットサービスとしてのTikTokの姿を残した「CanCan」というサンプルアプリを開発しています。
当初の目的は、ユーザーの動画などのデータを大量にインターネットコンピューターにアップロードし、それをユーザーにストリーミング再生する方法を示すことでしたが、現在はその「トークン化」に関する作業が進められています。
トークン化によって、きっかけとなったアプリよりも消費者にとって魅力的なアプリになることを示すのが1つ目の目的ですが、もう1つの目的は、もう1つの世代交代を後押しすることです。Facebookのようなサービスは、ユーザーを商品とすることで利益を生み出す新しい方法を見つけました。
つまり、ユーザーを興味のあるものを追跡できる環境に引き込み、ユーザーを惹きつけるコンテンツを提供することでエンゲージメントを維持し、そのエンゲージメントへのアクセスを広告主に販売するという仕組みです。
インターネットコンピューターのブロックチェーンとトークン化は、ジャーニーを拡張することで状況をより公平にする手段を提供します。トークン化によって、サービスのユーザーは製品であるだけでなく、チームになることができるのです。
これがどのように機能するかを見てみましょう。

CanCanでは、ユーザーがさまざまな方法で獲得できる「リワードポイント」を変換可能にするというアイデアを導入しています。
大きな変更点は、ユーザーが動画に感謝の意を示すために使用する通常の「いいね!」ボタンに加えて、「スーパーいいね!」ボタンが用意されたことです。
スーパーいいね!は24時間に10回までしか押すことができないため、ユーザーは人気が出そうな動画に「スーパーいいね!」を押すことが求められます。
ある動画が人気を博すと、CanCanはその動画に「スーパーいいね!」を押したユーザーの順番を調べ、早い段階で「スーパーいいね!」を押したユーザーには、いくつかの理由で持っていると便利なポイントのシャワーを浴びせます。
まず、数日に一度の「Drop Day」では、ユーザーはリワードポイントを広告主が提供する賞品と交換することができ、広告主はそのポイントを本サービスの広告費に充当したり、CanCanのガバナンストークンと交換したりすることで、本サービスのオーナーシップを得ることができます。
また、ユーザーには「赤文字」というアイコンが用意されており、動画の制作者に感謝の気持ちを込めてポイントを贈ることができます。

CanCanのユーザーの多くは、大量の動画をブラウザで見て、成功しそうな新しい投稿を探し、そこで「スーパーいいね!」を展開し、うまくいけばポピュラーになれば報酬ポイントを獲得できるという、エキサイティングなゲームをしたいと思うのは当然です。
これにより、スマートコントラクトのコードは、ユーザーがアプリを開いて動画を見たときに、どのコンテンツをハイライトすべきかという信号を提供し、ベイズ分類器などの技術に基づく他のコンテンツの選別メカニズムを強力に補強し、参加したユーザーをサービスを運営するチームの一員にします。
さらに、ユーザーがゲームに参加して報酬ポイントを獲得し、そのポイントを賞品やサービスの一部の所有権に変換できるようにすることで、サービスがよりスティッキーになり、ユーザーが消費するコンテンツの量が増加し、カスタマイズされた広告を表示する機会が増えます。

後に、この仕組みによって、CanCanは自律的なサービスとして、重要なコンテンツ・モデレーションのニーズに応えることができます。
これがないと、特にTikTokのような動画共有サービスでは、異常な量の汚いコンテンツがあっという間に環境を汚染し、ユーザーの体験を台無しにしてしまい、その人気は小さなニッチ以外には広がらなくなってしまいます。
この問題を解決するために、新しい動画コンテンツがアップロードされると、まずランダムな「無変調」フィードに置かれ、1時間後に「メイン」フィードに移されます。
無秩序なフィードの中で、ユーザーにはフラグボタンが用意されており、十分なコンセンサスが得られた後に削除されたコンテンツを早期に発見することで、別のゲームで報酬ポイントを得ることができます。
これにより、ユーザーをチームメンバーとして取り込み、さらには仕事の機会を分散させることができるようになりました。
現在、Facebookなどのコンテンツ・モデレーションは北米で行われることが多く、過酷な作業に支払われる給料は比較的低いものです。
CanCanは、ユーザーがどこにいてもモデレーションを行うことを可能にし、ユーザーの所在地によって差別されないレベルの報酬を支払うことで、自由市場が雇用を分配し、仕事を行う人がその地域で比較的高い報酬を得られるようにしています。

もちろん、オープンなインターネットサービスには、他にも多くの利点があります。
オープンなトークナイズされたガバナンスシステムによって制御されているため透明性が高く、オープンバージョンのFacebookがケンブリッジ・アナリティカにデータをエクスポートしたり、Open ZoomがFacebookにデータをエクスポートしたりする機会は、ユーザーに気づかれることなく単純に存在しません。
このようなガバナンスシステムは、オープンソース開発者に報酬や賞金を分配し、優秀な頭脳集団が常に開発を行うことを保証するためにも使用できますが、明日のオープンインターネットの起業家は、現在、多くの消費者がプライバシーや透明性の問題やオープンソースモデルに関心がないことを考慮すべきであり、ブロックチェーン上で勝利を収めるサービスの創造は、主に、より魅力的な機能、より優れたバイラル成長エンジン、より豊かなエコシステム、そしてトークン化の提供によって達成されるでしょう。

インターネットコンピューターのネットワークの主要なユーティリティー・トークンはICPと呼ばれています(トークンの名前はICPプロトコルに由来しており、以前はDFINITY財団にちなんで「DFN」と呼ばれていました)。
このトークンには2つの目的があります。
1つ目は、ユーザーをNetwork Nervous System(NNS)内の「投票ニューロン」に閉じ込め、「投票報酬」を得ることで、ユーザーがネットワーク管理に参加できるようにすることです。
2つ目は、インターネットコンピュータでの計算に必要な「サイクル」に変換できるソーストークンを提供することです。
サイクルは、イーサリアムのブロックチェーンにおけるガスのような役割を担っていますが、それとは対照的に、独立したトークンとしてネットワーク内に存在しています。
これは、インターネットコンピュータが「逆ガス」モデルを採用しているためで、スマートコントラクトソフトウェアは、あらかじめサイクルを充電しておき、それを燃料のように燃やすことで、自らの計算能力を高め、データを維持することができます。
つまり、従来のブロックチェーンのように、ユーザーがお金を払うことで不便を感じることはありません。
当然ながら、サイクルは必要なときに利用できるよう、事前にスマートコントラクトに転送しておく必要があります。
(例えば、超大規模な大規模市場のインターネットサービスは、何十億もの個別のスマートコントラクトオブジェクトから構成され、管理契約を使ってそのようなサイクルの分配を行うかもしれません)。
その結果、サイクルはコントラクト間で転送可能となります。

インターネットコンピュータは、そのネットワークに新しいノードマシンを導入することで、計算能力を常にスケールアウトさせているため、スマートコントラクトが使用するリソースの価格は、リソースの提供に関わるハードウェアの基本的なコストから密接に導き出されます。
従来のブロックチェーンでは、ホストされたスマートコントラクトが利用できる計算能力は有限であり、ネットワークにどれだけハードウェアを追加してもその状態は変わらないため、「取引手数料市場」を利用して、有限の能力を最も高く買ってくれる人にオークションを行う必要がありました(Ethereum上での計算には数十ドルかかるのに対し、インターネット上のコンピュータでは同等の計算が数分の1しかかからないのはこのためです)。
インターネットコンピュータ上の計算資源のコストはほぼ一定であるため、システムやサービスの運用に必要な資源の管理が非常に容易になり、運用コストの予測が容易になります。
しかし、計算資源を一定のコストで提供することは、必要なことの一部に過ぎません。
インターネットコンピュータ上では、スマートコントラクトにサイクルをあらかじめ充電しておき、将来発生する消費の瞬間に計算資源を支払うための燃料を供給する必要があります。
つまり、サイクルも一定の価値を持つべきであり、スマートコントラクト内に置かれたサイクルの数が、実際に支払うことのできる計算量を予測することができるのです。

ブロックチェーンでは、「ステーブルコイン」と呼ばれる一定の価値を持つトークンが有用な役割を果たしますが、その作成は実際には困難です。
サイクルのように、銀行口座にあるドルを担保にすればいいのではないかと思うかもしれませんが、分散型ネットワークでは、ネイティブ・トークンにそのようなアプローチをとることはできません。なぜならば、脆弱な銀行関係や銀行口座の管理、トークンの発行や換金を行う人などに依存することになるからです。
一方で、外部の資産に依存しない真の分散型メカニズムで「安定した価値」を持つトークンを作ることは、非常に難しいことがわかっています。

私自身、2014年にcryptofinanceニュースグループに多くの時間を費やし、そこで今日のDeFi用ステーブルコインのスキームに関わる基本的なメカニズムが初めて提案され、議論されました。
私たちが検討したデザインの問題点は、現在使用されている安定したコインスキームの場合も同様ですが、安定したトークンの価格を米ドルなどの外部の価値尺度に固定するもので、イーサやビットコインなど、スマートコントラクト内に担保として固定されている他のトークンに何らかの形で依存するスキームを使用していることですが、これらのトークンの価値は非常に変動しやすく、暗号で定期的に発生する市場の混乱期には、担保に関する仮定が誤ったものとなり、ブラックスワン崩壊が発生します。
このように、現在のDeFi安定コインスキームや過去に提案されたものは、サイクルの価値が一定であることを保証する適切な手段を提供していません。
サイクルの安定した価値が、他のトークンを含む複雑な証券化スキームに依存しないような、よりシンプルで信頼できるメカニズムが必要なのです。

インターネットコンピュータ上では、ネットワーク上で行われる継続的な計算のおかげで、ステーブルコインのスキームを必要とせず、サイクルは一定の価値を持つ傾向があることが分かりました。
まず、このネットワークでは、ユーザーが保有するICPユーティリティトークンを、NNSが設定したレートでサイクルに変換することができます。
変換レートは、主要な不換通貨のバスケットで構成されるIMF SDRに固定されており、外部市場で0.65SDRの価値があると判断されたICPユーティリティー・トークン(現在、スイス・フランや米ドルとほぼ同等の価値)は、1兆サイクルに変換できます。
明らかに、これはサイクルの価値に上限を与えています。なぜなら、誰も高い価格でサイクルを購入することはできないからです。
しかし、フロアはどうでしょう?
例えば、誰かが大量のサイクルを購入した後、不要と判断して売りに出したらどうなるでしょうか?
ここで面白いことが起こります。
このような販売者は、サイクルの価格を天井よりも低く設定し、価格を下げなければなりません。
その結果、計算を動かすためのサイクルを手に入れたい人は、直接または他人に転売することで、より安いサイクルを購入することになります。
当然のことながら、これらの安価なサイクルは、最終的にはすべて市場から撤去され、インターネットコンピュータで実行される計算によって燃やされて消滅し、再びICPユーティリティー・トークンから新しいサイクルを作成して、その価値を天井に戻さなければなりません。
そのためには、インターネットコンピュータが計算をし続けることが必要です。

遠い昔、高度なコンピュータプログラミング言語は、主に低レベルの機械命令の形でソフトウェアにコンパイルされ、オペレーティングシステムの管理下でコンピュータのハードウェア上で直接実行されていた。
例えば、C言語で書かれたプログラムは、インテル社が設計し、他のコンピュータープロセッサーメーカーが採用したX86アセンブリ命令にコンパイルされ、市場で主流となっているX86ファミリーのシリコン上で直接実行されます。
しかし、低レベルの機械語命令で書かれたソフトウェアには、サンドボックス化(安全性の確保)が難しいことや、特定のハードウェアアーキテクチャを持つコンピュータ上で実行しなければならないこと、想定されるオペレーティングシステム上でのみ動作する形式にアレンジしなければならないことなど、さまざまな欠点があります。

このような問題を解決するために、高度なコードをコンパイルせずに配布できるインタープリタ型言語が登場したが、性能が低いという問題がありました。
そこで、ソフトウェアのコンパイル対象を、ソフトウェアで実装された仮想的なコンピュータアーキテクチャである「プロセス仮想マシン」にするという方法が考えられました。
例えば、Java言語を低レベルのバイトコードにコンパイルし、それを任意のJava仮想マシン(JVM)上で実行することができます。
高度に最適化された仮想マシンは、OSやハードウェアの組み合わせを問わずに開発でき、JVMはバイトコードを実行するための安全なサンドボックスを提供するため、Javaで書かれたソフトウェアはどこでも効率的かつ安全に実行できるようになりました。

JVMは、Oracle社に買収されたSun Microsystems社が開発したもので、著作権や特許の問題で泥沼化しています。
一方で、RustやC++などのポピュラーで効率的な言語が使用していないガベージコレクションを使用するプログラミング言語での適用にしか適していないように設計されていました。
さらに、その複雑さと固有の非決定性のため、ブロックチェーン上でスマートコントラクトコードを実行するには不安定です。
このような理由から、Ethereumプロジェクトは、Solidityなどの高レベル言語からコンパイルダウンされる低レベルのスマートコントラクトバイトコードを実行するために、ブロックチェーン用の仮想マシンを必要としたとき、独自のEthereum Virtual Machine(EVM)を構築することを選択しました。
しかし、複雑で強力なソフトウェアの実行をサポートする、安全性が高く効率的な仮想マシンを開発することは、非常に大きな技術的課題であり、継続的な努力が必要です。
そのため、Ethereumのスマートコントラクトでできることが大幅に制限されてしまいました。
しかし、2014年にEthereumが設計・構築されたときには、他の選択肢はほとんどありませんでした。

2017年3月、誰もが仮想マシンの実装を構築できるかもしれない、WebAssemblyと呼ばれる新しい低レベル命令フォーマットのMVP仕様が提案されました。
この新しいフォーマットは多くの利点をもたらした。
とりわけ、多様な高級プログラミング言語をサポートできること、バイトコードがコンパクトでネイティブマシンの命令と同等の速度で容易に実行できること、フォーマルソフトウェア検証などの高度な機能のための強力なプラットフォームを意図的に提供することなどが挙げられる。
このフォーマットはすぐにW3C Community GroupとW3C Working Groupによって開発された重要なオープンスタンダードとなり、現在では多くのファンを持つプロジェクトとなっています。
重要なことは、WebAssemblyコードのサポートが主要なWebブラウザエンジンのすべてでサポートされていることで、何十億人もの人々のWeb体験の一端を担うことができるようになりました。
これにより、「世界のための」仮想マシンを開発するために必要な莫大なリソースが集まり、大規模なテストの恩恵を受けることができるようになりました。
WebAssemblyの開発は、クライアントアプリケーションだけでなく、バックエンドのサーバーアプリケーションや、最も重要なブロックチェーンにも適していることを示しています。
基本的に、WebAssemblyはインターネットの仮想マシンフォーマットになる可能性が高いと考えられます。

インターネットコンピュータプロジェクトは、初期のチームメンバーであるティモ・ハンケが、MVP規格が発表された直後にWebAssemblyの共同設計者であるアンドレアス・ロスバーグをDFINITY財団に紹介し、アンドレアスが主席研究員兼エンジニアになったことが幸いした。
これにより、WebAssemblyがインターネットコンピュータで使用される低レベルの仮想マシンフォーマットとなることが、プロジェクトの初期段階で保証されたのである。
インターネットコンピュータは、現在の標準規格と、今後登場する標準規格の進化版を最大限に活用できるように設計されています。
インターネットコンピュータのキャニスターフレームワークはWebAssemblyのバイトコードを実行するため、スマートコントラクトはほとんどすべてのプログラミング言語で作成できる可能性があります。
現在。DFINITY Foundationが開発したcanister SDKでは、Rust言語と、Andreas氏が中心となって言語部門が開発した新言語Motokoを使ったスマートコントラクトの開発をサポートしています。(他のいくつかの言語のサポートも開発中です)。

Motokoはモダンで使いやすい言語で、Javascriptを知っている人であればすぐに習得することができます。
また、パワフルで表現力があり、直交型パーシスタンスのような新しいインターネットコンピュータ環境の機能と、WebAssembly自体の多くの側面の両方の価値を最大化するように設計されています。
インターネットコンピュータは、WebAssemblyをフロントエンドだけでなくバックエンドの仮想マシンとして定着させ、バックエンドはWebに接続する安全でスケーラブルで効率的で強力なスマートコントラクトを実行するブロックチェーンとして残すことを目指しています。

ブロックチェーンの三位一体を完成させる

インターネットコンピュータは、ビットコインから始まり、イーサリアムへと進んだパブリックブロックチェーンの三位一体を完成させるために設計されています。
この3つ目の大きなイノベーションの必要性は、3つのネットワークに関わる本質的に異なる目的、設計上の選択、トレードオフに由来しており、それらは互いに大きく補完し合うことができます。

もちろん、その旅は、最初の真のブロックチェーンネットワークを世に送り出したビットコインから始まりました(ただし、1999年にWei Dai氏のcrypto++ライブラリを使用していたときに出会ったb-moneyなど、前駆的なコンセプトが足がかりとなりました)。
この最初のパブリックネットワークでは、ブロックチェーンの仕組みは、サイバーパンクが長年目指してきたサイバー空間における固有の価値を高めるという目的というよりも、むしろそれを実現するためのものでした。
ブロックチェーンの仕組みを使って、台帳の中に暗号通貨のトークンを作り、そのルールによって、需要に応じて価格が上昇するように、全時間帯の供給量が固定されることが保証されていました。
これらのトークンは偽造可能で、インターネットに接続している人なら誰でも直接保有・譲渡することができ、いかなる個人や組織の支配、影響、支援からも独立して、価値の保存と交換の媒体の役割を果たすデジタル物質のようなものです。

ビットコインの台帳は基本的に、銀行口座番号の役割を果たす「アドレス」、そのアドレスにあるビットコインの残高、新たな「取引」によってロックが解除されると、そのアドレスにあるビットコインの残高を新しいアドレスに移動できるようにする「アクセスコントロールスクリプト」の3つの列で構成されています。
ビットコインが稼働して数年が経過すると、Vitalik Buterinが2013年のBitcoin Magazineで紹介したMastercoinプロジェクトのように、アクセスコントロールスクリプトを他の機能の基盤として利用するというアイデアに興味を持つ人が出てきました。
さまざまなことが試みられました。
2015年には、ジョセフ・プーンが提案したライトニングネットワークの設計に関連した技術を用いて、連動するアクセス制御スクリプトを使用して分散型の連絡先を作り、その価値が株式や商品などの現実の資産を追跡するような「ミラー資産」をビットコイン台帳上に作成しようとするプロジェクトに、一時的に助言をしました。
しかし、ビットコインネットワークは、アクセス制御スクリプトが悪意のあるロジックからネットワークを保護するための限られた機能しかサポートしていないこと、ビットコインの残高が新しいアドレスに使われるとスクリプトが消えてしまうこと、ネットワークが比較的低速で高価であることなどから、より汎用的なブロックチェーンの試みの基盤としては不向きであることが判明しました。

その結果、Vitalik Buterinは2013年にEthereumを提案し、2015年にネットワークを立ち上げることになりました。
ヴィタリックは、"高度にプログラム可能な暗号通貨 "と呼ばれるものの設計を説明しました。
彼の構想では、ビットコインの台帳の最後の2つの列が事実上入れ替わっており、スクリプトがアドレスに永続的に存在し、イーサリアムの残高であるエーテル暗号通貨がそれらの間を行き来できるようになっていました。
スクリプトは「スマートコントラクト」ソフトウェアとして考案され、新しい仮想マシン上で実行することではるかに強力になりました。この仮想マシンは「チューリング・コンプリート」と呼ばれ、原理的にはあらゆるシステムの実装に使用することができます。
ホストされたロジックが無限ループを含むなど、高価な計算を行うことができるようになったため、イーサリアムはガスという概念を導入しました。これは、1つのトランザクションが実行できる計算量を制限し、トランザクションを送信する側にその分の支払いを要求するものです。
一方、イーサリアムは、ビットコインのProof-of-Workの仕組みやネットワークのその他の機能を再利用し、主にビットコインで提案されたGHOST機能を使って高速化することで満足しました。

イーサリアムは、ブロックチェーンの範囲を爆発的に拡大しました。
それまでは、ブロックチェーンが作り出すサイバー空間内の改ざん不可能な信頼ゾーンの中では、暗号通貨しかホストできませんでしたが、そのゾーンの中で、暗号通貨と強力なスマートコントラクトソフトウェアを組み合わせることができるようになりました。
瞬く間に、魅力的なDeFiコンセプトが登場し始めました。例えば、DAOは最終的にセキュリティ上の欠陥に陥りましたが、スマートコントラクトを使ってコードで金融企業を作る分散型モデルの可能性を証明しました。
イーサリアムはすぐに2017年から18年にかけてのICOブームの原動力となり、世界中のプロジェクトがインターネットを通じて投資家から何十億ドルもの資金を直接調達できるようにして物議を醸し、この出現した西部開拓時代の環境で調達された資金の多くが浪費されたとしても、再び私たちの世界を根本的に変えることになりました。
現在では、スマートコントラクトを簡単に統合できることによるネットワーク効果が、イーサリアムがホストするDeFiエコシステムの驚くべき成長を促しています。
私の考えでは、Ethereumは新しい種類のブロックチェーンを導入し、それが大きな成功を収めています。

私は今でもイーサリアムの熱心な支持者であり、2014年から16年にかけては、関連イベントで技術的な話をすることもありました。
しかし、そのビジョンの中でも特に私を夢中にさせたものがありました。
イーサリアムの支持者の中には、「ワールド・コンピュータ」という概念を語り始めた人もいましたが、私はこれに夢中になりました。私は、さまざまなネットワーク・コンセンサス方式を使ってブロックチェーンを高速化する方法や、暗号技術を応用してブロックチェーンの容量を無制限に拡大する方法の研究に多くの時間を費やしていたからです。
また、2013年にブロックチェーンに本格的に取り組む前には、オンラインゲームとその背後にある分散システムを構築し、数百万人のユーザーをサポートすることに成功しました。
私にとって「World Computer」の名に相応しいのは、人類の主要な計算プラットフォームとしての役割を果たし、スマートコントラクトを用いて大量のインターネットサービスをオンチェーンで構築することをサポートできるものでなければなりません。
これが私の考えた課題で、イーサリアムコミュニティのプロジェクトリーダーたちと何度も話し合いました。

もともと私は、新しいブロックチェーンネットワークを立ち上げるつもりはなく、将来のイーサリアムの基盤となるようなアイデアを広く提案していました。
2015年には、ランダムなメンバーの生成に由来する技術を探究することを楽しんでいました。この技術は、分散型ネットワークにおいて閾値暗号を用いて効率的かつ止められない方法で生成できると考えました。
注目を集めるために、私はこのコンセプトに「Decentralized Infinity」の略語である「DFINITY」という名前を付け、シンプルなウェブサイトを作成しました。このウェブサイトはインターネットアーカイブのWayback Machineで今でもアクセス可能です。
当時、ウェブスピードで動作し、スマートコントラクトの計算とデータを無制限にホストできるブロックチェーンというコンセプトは、本当にあり得ないことのように思えましたし、ブロックチェーンコミュニティの多くにとっては、あまりにも大きな飛躍でした。
特にEthereumはすでにゲームを大きく前進させていたため、ブロックチェーンコミュニティの多くにとってはあまりにも大きな飛躍でした。また、分散コンピューティング技術や暗号技術を、人々が慣れていない難しい方法で適用しなければならなかったことも大きな問題でした。
やがて私は、イーサリアムというプロジェクトの特性や作られたネットワークの性質上、私が提案していた夢や技術的な方向性を追求するための基盤を提供できないことに気づきました。
そこで、DFINITYプロジェクトでは、新たなネットワークを作ることにしました。

ビットコイン、イーサリアム、そしてインターネットコンピュータは、純粋な暗号通貨から始まり、高度にプログラム可能な暗号通貨を経て、汎用のパブリックコンピュートプラットフォームの役割を果たすことができる「ブロックチェーンコンピュータ」へと向かう連続体上に存在しています。
ウェブスピードで動作し、無限に容量を増やすことができ、ほんのわずかなコストで計算やデータをホストし、簡単にスケールアップできるアプリを作成するためのより強力なスマートコントラクトソフトウェアをサポートし、そのスマートコントラクトがエンドユーザーのウェブブラウザにコンテンツを安全に提供し、はるかに幅広いシステムやサービスを構築できるようなブロックチェーンネットワークを作成するには、全体的に根本的に異なるアプローチが必要です。
例えば、クラウド上のノードからProof-of-Stake方式でネットワークを構築することは不可能です。
ネットワークは、特定の独立したデータセンターで標準化された特別なハードウェアを使用しなければならず、プロトコルには強力なオープンガバナンスシステムが必要で、容量を拡大するためにアーキテクチャの側面を進化させることができます。
後者の点から、DFINITY財団は複数の国際的な研究センターで大規模な研究開発を行う必要があり、マーキュリーに到達するまでに多額の費用と数年間の作業が必要となりました。

そして、ついにインターネットコンピュータが完成し、パブリック・ブロックチェーンが持つ力のスペクトルを飛躍的に拡大することになります。
今後は、ビットコイン、イーサリアム、インターネットコンピュータの3つのネットワークが、お互いに付加価値をつけていくことが予想されます。
それは、イーサリアムのシステムがビットコインを包み込み、DeFiスキームの担保として利用することで、ビットコインの実用性と価値を高めることにつながることは、すでに見て取れます。
また、インターネットコンピュータがイーサリアムネットワークの用途を拡大し、そのアプリにさらなる機能を提供することにもなるでしょう。
実際、私が以前書いた記事がきっかけとなって、Ethereumとインターネットコンピュータを統合する取り組みがすでに始まっています。
インターネットコンピュータの基礎となるChain Key暗号から引き出された暗号システムは、スマートコントラクトがEthereumのトランザクションを作成するために再利用されることになります。
逆に、Ethereumのブロックチェーン全体をInternet Computerのスマートコントラクトの中にミラーリングする取り組みも行われており、これにより、EthereumとInternet Computerのスマートコントラクトの間で、遅い高価なハブやブライドを使わずに、双方向の呼び出しが可能になります。
イーサリアムアプリは、例えばAmazon Web Servicesなどの信頼できるクラウドサービスに頼る以外に、インターネットコンピュータを使ってユーザーにウェブ体験を安全に提供することができるかもしれません。
はっきりしているのは、インターネットコンピュータがこれから、ブロックチェーンをこれまで以上に面白く、価値のあるものにするのに役立つということです。

マーキュリーは、メインネットをアルファ版で立ち上げ、ネットワーク•ナーバス•システム(NNS)の制御下にノードを置くことでネットワークを分散化しました。
ネットワークは、NNSがGenesisイベントをトリガーするとベータ版に移行します。
これにより、プロジェクトへの貢献やコミュニティへの参加を通じてICPユーティリティー・トークンを取得した人は、そのトークンを「投票ニューロン」に引き出し、現在数十人のその数を約5万人に増やすことができるようになります。
ユーティリティトークンの保有者は、ネットワークガバナンスに参加して投票報酬を得たり、ニューロンを解散して内部に封じ込められたトークンを解放し、スマートコントラクトの計算に電力を供給するサイクルに変換したり、譲渡したりすることができます。

現在、ネットワークは分散化され、世界中の独立した関係者によって運営されている数百台のノードマシンで稼働していますが、ベータ版への移行は大きな事業となります。
DFINITY財団、Internet Computer Association、そして多くの独立した外部団体やコミュニティの貢献者が、この重要なタスクに取り組むことになり、私たちはその一歩を踏み出すことができるのです。
Genesisは、誰もが提出できる提案を、NNSが採用することで実行されます。
しかし、おそらくGenesisが実行されるのは、以下に示した重要なゲートを通過した後のこととなるでしょう。

- コードとデザインの公開:DFINITY Foundationは、関連するすべてのソースコード、技術設計、および新規プロトコルの数学と暗号を公開しなければなりません。

- 教材:Internet Computerのコード、技術設計、数学は複雑なので、プロジェクトの本質が広く理解されるように、簡単に理解できる教育用の資料を作成し、コミュニティに提供しなければなりません。

- 開発者の体験:Internet Computer上でシステムを構築する開発者をサポートするために、開発者用ツールが追加でリリースされます。また、CanCanのエンド・ツー・エンドの実装や、TikTokを再構築するオープンなインターネットサービスもリリースされ、起業家がブロックチェーン上で新しい超大規模インターネットプロジェクトを立ち上げることをサポートします。

- 分散化:物理的なインターネット・コンピュータ・ネットワークとその参加者、およびインターネット・コンピュータ・プロジェクトを支援するために活動している主要な組織について、さらに情報を発信していきます。また、ネットワークは現在も成長を続けており、ジェネシスの32のデータセンターから896台のノードマシンが稼働することを目指しています。

- エコシステムの調整:新たに設立されたインターネットコンピュータ協会は、フォーラムを提供し、独立したデータセンターやネットワークの資金提供者などのコミュニティの利害関係者を調整し、開発者プログラムへのアクセスを拡大し、参加を希望するすべての人が必要な情報やコミュニティのサポートにアクセスできるようにするために活動を強化する。

- 技術的作業(最終機能、セキュリティ監査、ストレステスト):ネットワークがベータ版に移行する前に、R&Dチームはいくつかの重要な最終機能を追加したいと考えており、セキュリティチームは最終的なセキュリティ監査とストレステストに合格することを要求します。

- 機能ロードマップ:Genesisでは、いくつかの機能が欠けています。例えば、ネットワークでは、ノードマシンに保存されているデータを物理的にアクセスできる人から保護する機能をGenesis後に有効にして、初期に発生したバグに対処しやすくします。機能ロードマップでは、ネットワークを構築する際の効果的な計画をサポートするために、詳細な情報を提供します。

今後は、DFINITY財団や、新たに設立されたインターネットコンピュータ協会をはじめとする多くの団体が、Internet Computerのテクノロジーの向上や、エコシステムに参加する人々の支援に努めていきます。
また、DFINITY財団は、研究開発の規模を拡大していく予定です。
現在、DFINITY Foundationのチームメンバーは、15,000以上の科学論文を発表し、約100,000の引用を受け、200以上の特許を取得しています。
チームメンバーの多くは、コンピュータサイエンスの分野で著名な人物であり、例えば、研究担当副社長のJan CamehischはACMで表彰された有名な暗号学者であり、エンジニアの多くは、Google(前職の企業では最多)のようなハイテク業界の大手企業で上級職に就いていた人々です。
現在、チームメンバーは150名に達しようとしていますが、今後も拡大を続け、2021年末までに規模を2倍に拡大し、その後も数千名規模の組織にしていきたいと考えています。
私たちの目標は短期的なものではなく、長期的なものです。これは、このプロジェクトの性質と、それが世界に与えるであろう深淵かつポジティブな影響を反映してのことです。
今後も、これまでと同じように、決意を持って妥協せずに取り組んでいきます。
αメインネットの立ち上げにより、エキサイティングな20年のロードマップが始まりました。

注:このロードマップは、未来を保証するものではなく、将来に向けた私たちの願いと計画を表現したものです。ここで想定しているよりも早くの実現を願って、皆様のご協力をお願い申し上げます。

5年後

5年後には、テクノロジーに関心のある人なら誰もがInternet Computer Networkについて聞いたことがあり、その性質や目的について広く理解されていることでしょう。
一方で、ますます多くの起業家や開発チームが、従来のITではなく、Internet Computer上で一般向けのオープンなインターネットサービスを構築することを選択するようになっているでしょう。
これにより、資金調達や、メンバー採用、チームの維持が容易になり、新しいサービスの競争力が格段に向上します。
オープンなインターネットサービスが大成功を収めたことで、Internet Computer上でのシステム構築が主流となり、多くの投資家がInternet Computerの使用を求めるようになるでしょう。
専門学校や大学では、Internet ComputerやMotokoを教え、まだ失うもののない若い開発者たちをどんどんエコシステムに送り込んでいくことでしょう。
一方、オープンなインターネットサービスは、トークン化やDeFiの機能を活用して、より魅力的な機能を開発するでしょう。
企業では、インテグレーターやビジネスコンサルタントが、企業がITを安全で止められないものに改革する支援を行う機会を得て、ますます多くの企業がパブリックなプラットフォーム上でのシステム構築を支援するようになり、Origynなどの組織に続いて汎産業的なシステムが普及していくでしょう。

10年後

10年後には、Internet Computerが、システムやサービスを構築するための人類の主要な計算処理プラットフォームとなる可能性が高く、「オープンインターネット」が、ビッグテックのクローズドなプロプライエタリエコシステムよりもほぼ確実に優位に立つことが、技術コミュニティで広く認識されているだろう。
さらに、DeFiエコシステムの驚異的な成長により、従来の金融業界と同等に近づき、より大きなエネルギーを生み出すことになるでしょう。
ブロックチェーンコミュニティの精神と熱意は世界中に広がり、これまで以上に多くの人々が閉鎖的なシステムではなくインターネット上で構築するようになるでしょう。
シリコンバレー以外の99%の人々が技術分野の機会にアクセスできるようになったことで、競争条件が平準化され、膨大な数の才能がもたらされます。
シリコンバレーの存在は今後も揺るぎないものになるでしょうが、その投資家が海外に資金を向けるようになり、これまで実現できなかったような遠く離れた場所で、刺激的で成功した新サービスを支援するようになるでしょう。
世界中に経済的な機会を提供することで、熱狂的なファンが増え、エコシステムがさらに活性化されるでしょう。
コンピュータサイエンスを学ぶ学生の中で、インターネットコンピュータ上でスマートコントラクトを作成することなく卒業する人はほとんどいないでしょう。

20年後

20年後には、オープンなインターネットは、ついにビッグテックの閉鎖的なプロプライエタリのエコシステムよりも大幅に大きくなっているだろう。このエコシステムは今では末期的に衰退しているが、COBOLコードがいまだに稼働している理由を説明するのと同様の理由で、消滅するのに永遠にかかるだろう。
私たちの重要なグローバル社会の情報インフラ、システム、サービスの多くが、オープンで止められず、改ざんもできないインターネットコンピュータのブロックチェーンネットワーク上で稼働するようになります。
これにより、モノの仕組みが大きく変わり、想像を絶するほど豊かなインターネットのエコシステムが実現し、イノベーション、コラボレーション、ダイナミズムが生まれ、世界中でポジティブな経済成長をもたらすことになります。
現在、発展途上国と考えられている地域の多くは、ビッグテックのエコシステムを飛び越えて、完全にオープンなインターネット上で運営されており、機会均等を促進する利点と効率性を提供しています。
スマートコントラクト技術は、個人のプライバシー、自由、主権を大規模に向上させ、世界中の社会の運営方法に深く意味のある変化をもたらし、DeFiは従来の金融よりも非常に大きな規模になっているでしょう。
一方、ネットワークには、量子安全暗号や新機能など、あらゆる種類の新しい科学が組み込まれ、現在とはまったく異なる姿になっており、研究者やエンジニアの新しい先兵がそれを推進していることでしょう。

ぜひ、この旅に参加してください。

2021年の成功と幸せを祈っています。

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