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安倍晋三元首相の国葬はなぜ反対されるのか

3日から臨時国会が始まります。
そこで熱闘必至なのが国葬についての論議です。
かねてより野党は国葬に対して反対しており、野党からの参列者もごく限られた人たちでした。

安倍元首相と写真を撮ったこともある私個人としては、安倍さん銃撃の一報は大変衝撃でしたし、多くの人たちにとっても同様だったのではないかと推測します。しかし、なぜこれほどまでに賛否両論分かれてしまったのか。むしろ直前には圧倒的多数が反対に傾いていたのはなぜなのでしょうか。

かつて国葬が行われた2つの事例

国葬令という法律はかつて存在しておりました。これは明治憲法下で定められていたもので、戦後に日本国憲法を新たに制定する際に『平等主義や基本的人権の尊重に反する』ということで1947年に失効しました。

とはいえ、戦後に国葬が行われた事例は2例あります。1つは昭和天皇が崩御された時。これは文句なく国葬ですね。国の象徴ですから。
もう1例は戦後の名宰相、吉田茂です。サンフラシスコ講和条約を締結したりと戦後処理に尽力した人物です。しかし、国葬はいかがなものかと物議を醸しました。国会でもすったもんだした挙句、結局は閣議決定して強行。

それでも今回の安倍さんの国葬よりもマシだと思われているのは一応国会で議論がされたという点。今回自民党は臨時国会を開くこともなく(8月18日に臨時国会招集要求が野党から提出されており、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば国会を開かなくてはいけない)、閣議決定のみで行われました。ここが吉田茂の事例とは大きく異なる部分です。

国葬を執り行う法的根拠

野党が反対する最大の理由がこれ。
「法的根拠がないこと」です。

先ほども述べたように、国葬令は既になく、過去に行われた事例も少ない。どうしても行うのであれば法整備が必要な案件だったわけです。これを政府は内閣で行う儀式として決定権があると根拠を挙げました。残念ながら、国葬を行う規定は儀式のうちには含まれるかどうか不明なままです。

2020年に中曽根元首相が亡くなったときには、自民党と政府の合同葬だったわけで、合同葬が今回も適当ではなかったのかと思われているのです。
日中平和友好条約を締結した田中角栄も、日ソ共同宣言に調印した鳩山一郎も、安倍首相に抜かれるまで戦後最長政権を記録した佐藤栄作も国葬ではなかったわけで。なぜ安倍さんだけ?と唐突感は否めません。

安倍元首相は自業自得か被害者か

今回の国葬騒動を見て、正直感じたのは「かわいそうに」という感情でした。どう考えても政府の決断が拙速でした。麻生さんの発言があったとか岸田さんが後悔していたとか色々報道ではありましたが、まぁ、みんな判断ミスったよね、ということ。

確かに、安倍政権は功も罪も両方ありました。モリカケサクラとまだまだ解明されていない事件が多々あります。死してなお、国民から賛成と反対の両方を突きつけられる切なさ。国葬の判断をしてしまったのだって、結局は安倍さんへの最後の忖度だったんじゃないのかと思ってしまいます。これはもう故人の日頃の行いとしか言いようがありません。

勝手に国葬にされてあーでもない、こうでもないと全国で騒がれるのって家族もつらいだろうな。でもそれさえも自分自身で招いたことなのかもしれない。最後までこうして騒がれることを望んでいたのではないかと思える節もある。

費用の面も含めて、臨時国会で追求されて与党がどのような対応をするのか要注目ですね。

最後に思うのは、合同葬にしてくれさえすれば、こんな騒ぎにもならずにみんな気持ちよく故人の冥福を祈って最後のお別れをできたのに。つくづく残念です。

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