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ボウイBBCライブを収めた初期CDアイテム

ビートルズと同じようにデヴィッド・ボウイもBBCラジオでのスタジオライブを多く残しており素晴らしい演奏ばかり。今でこそ公式にリリースされましたが1990年にリリースされた「At The Beeb 1969-1972」はその素晴らしさを広めてくれた画期的なブートでした。

リリースした「Archive Productions」は後のスコルピオを名乗る業者が1990年に使っていたブランド名。それまでボウイのBBCを高音質でまとめたアイテムというのが皆無だったことから、本タイトルのリリースは大評判だった記憶があります。

時代を偲ばせるレーベルの周りもアルミに囲まれた通称「ミラー盤」CD


元になったのはBBCラジオが1988年に放送した「Bowie At The Beeb」というプログラムの放送用原盤。オープニングのアナウンスはカットされずArchive Productions盤にも採用されました。

Discogsから拝借

レコードを元にしたことで当然スクラッチノイズが入った(特にWild Eyed Boy From FreecloudとBombersのイントロで目立つ)のですが、それを差し引いても音質が良かったこと、さらに一枚に凝縮された内容の充実ぶりなど、とにかく評判が良かった。むしろ曲目が表ジャケのどこにも印刷されておらずよりによってブックレットの内側だけに載っているというセンスが問題だったかな笑

あっここに?
いかにも背が焼けそうな色あいは本作が抱えた問題の一つ。私は実際に買い換えました苦笑

ちなみに他のレーベルのからも90年にBBCものがリリースされていました

Discogsでは「日本製」表記だけど一見してヨーロッパ製…ヨーロッパのセンスだと分かります

リリースされた時期が近いことからArchive Productionsのコピーかと思いきや別ルートから入手。元は同じく1988年放送の原盤なのですがスクラッチノイズの入る位置が違う笑 それだけならまだしも、こちらは一度カセットに落としたような劣化が見られコピー盤じゃないのにArchive Productionsより音質が落ちるという残念盤。当時から人気がなかったですね。

実際にArchive Productions盤をコピーして出したのは…あのTSPでした。

「Ultra Rare Trax」でブートCD革命を起こしたのも今は昔、この頃なるとLPでしか聞けない音源や他社製品を平気でコピーする状況に成り下がってしまい、さらに当時の最新鋭ノイズ・リダクション・システムだった「No Noise」を使ったイコライジングも賛否両論を巻き起こしていたのでした。ところが!TSPがArchive Productions盤をコピーした「White Light / White Heat」では「No Noise」システムが吉と出てしまい、LP落としのArchive Productions盤にあったスクラッチノイズが消え去って聞きやすくなるというまさかの結果。それと1990年TSP特有の「黒バックに金文字」というシックなアートワークもArchive Productionsよりイケてるくらいでした。

LPのジャケのデカさと盤の色は魅力的だが

同レーベルのポリシーに沿ってCDだけでなくLPまでリリースされましたが…コレをLPで聞いたらせっかく消えたスクラッチノイズがまた入っちゃうよ笑

コピー盤ながら人気タイトルとなったTSPバージョンの存在もあってしばらくボウイBBCモノのリリースは落ち着きますが、1993年になってそれら過去のタイトルの価値を半減させるタイトルがSilver Raritiesから登場!

SIRAがリリースした「Starman In Session」はレコード落としだったArchive Productions盤やTSPを一蹴するクリアーなサウンドが衝撃的で、それらを出したレーベルに代わって飛ぶ鳥を落とす勢いにあったSIRAならではの名盤。実際ノイズのまったくない「Wild Eyed Boy From Freecloud」や音質そのものにハッキリ差が付いた「Ziggy Stardust」には感動させられました。ただ前半は(特に日本で)知名度が低いファーストアルバム期…つまり売れる前のボウイのBBC音源が含まれている編集に好き嫌いが分かれたはず。

でも私は60年代の売れなかったポップスター期ボウイも大好きなんで、なおさらSIRAのBBCはお気に入りでしたね。何より放送用原盤とマスターテープの違いはあまりにも大きかった。このSIRA盤でボウイBBCブートは一段落した感があり、その後に登場したアイテムは第二世代リリースという印象。それほどSIRA盤BBCのリリースは画期的だったのです。

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