見出し画像

再結成のお手本Fairground Attraction

昨年12月のFairground Attraction再結成の発表は驚いたと共に嬉しくもあり今思えばまさに「Beautiful Happening」そのものでした。何しろ彼らの音楽の強みは若いころの自分たちと張り合う必要や模倣したるする必要のないもの。年齢を重ねても無理なく熟成できる音楽であり、ルックス面においても若ぶる必要がない。だからこそ再結成の報には大喜びしてしまいました。

すぐさま来日公演まで発表され、これまた「Beautiful Happening」な様相を呈していた訳ですが、さすがにあれほどまでがっつり新曲や新しいアルバムまで用意してくるとは予想外でした。ですからライブはファースト・アルバムを中心として一時間くらいなのかな?という風に予想していたものです。

しかし

いざライブが始まってみれば半数以上が新曲で演奏時間は一時間半。それでもファースト・アルバムからほとんどの曲を演奏してみせた上でこの長さ。おまけにクアトロにぎっしり詰めかけたオーディエンスを前に新曲「A Hundred Years of Heartache」から幕を開けるという攻めのオープニングだったのですが、そこからファーストアルバムの「A Smile in a Whisper」に切り替わった瞬間と言ったら…

もう会場全体が泣きました

当然ボーカルのエディ・リーダーも涙しているのですが、それ以上にボロ泣き状態だったのがギターのマーク・ネヴィン。再びFairground Attraction(以下FA)として、しかも35年前にもライブを行った渋谷クアトロに再びFAとしてステージに立てたという思いが込み上げてきたであろうことが容易に想像できる表情でした。この後も合唱が起きる度にマークは半泣きでギターを弾いていたのがもう…あんなにバンドメンバーが感激のあまり何度も泣いているライブなんて見たことありません。

それに披露された新曲群がどれも素晴らしいものばかり。ここで私が最初に述べた事が見事に実践されており、彼らは35年前の自分たちと張り合うことも模倣することもなく、ごく自然な形で現在のFAの音楽を鳴らしてくれていた。

ただ先行で配信された「What's Wrong With the World」を聞いた時、35年も経っただけあって流石にエディの声も老けたかなという印象で、実際5月のテレビ出演で「Perfect」を歌う彼女の声もちょっと苦しそうだったし。

ところがクアトロで目の当たりにした彼女の歌声はいい意味で別人でした。

めちゃくちゃ声が出てる

それは7月2日のヒューリックホールで確信に変わりました。来日公演でのエディは絶好調だったのです。となると5月のテレビ出演の時はたまたま調子が悪かったのか?あと新曲での枯れた感じも曲に合わせてきたのか?だって新曲でも今回来日で聞かせてくれた歌声の方が圧倒的に伸びていたのだから。もしかしてエディって歌うほど声の調子が良くなるタイプなのかも。

そのヒューリックホールではドラムのロイ・ドッズが当日のリハにまで参加しながら体調不良により急遽ドラムレスという状態でのライブを決行。ここでもまたFAの音楽スタイルがものをいう結果に。つまりドラムレスでも演奏できる曲が大半であり、それがかえってバンド史上に残るレアなライブとなってしまったのがFAらしい。何と言っても「What's Wrong With the World」の間奏では音を埋めるべくエディがロイのドラムを叩くという愉快な場面まであったのですし。

ご覧の通りロイ抜きでしたがこれがまた素晴らしく盛り上がった一日

ちなみにロイ、翌日の最終日は何事もなくステージをこなせたとのことだから、風邪とかではなく食べ物にでも当たったのかもしれません。この季節だしね。

そして名古屋では自分たちの代表曲のギターソロを間違え結果としてロングバージョンとなった「Perfect」この場面が大好きで何度も見返しています。

マークのギターソロTake 2が始まった時の盛り上がりが最高すぎて…その場にいられた方が本当に羨ましいです。

ベースのサイモン・ドッズが使うギタロン…憧れる

こうしてミスを犯しても笑い飛ばし、ドラマーが欠場してもなおライブを行う、そしてクアトロではギタリストが感激のあまり泣きながら演奏すると言った具合に毎回が違ったライブの楽しさを伝えてくれた再結成FAは予想をはるかに上回る成果を早くも残してくれました。それに自分たちがライブを心から楽しんでいる様子が伝わってきたのが何よりうれしかったです。これぞ再結成バンドのお手本。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?