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『1987年の赤と緑とハードカバー』

高校3年生の春だったと思う。

同じクラスの親友Nと授業の休み時間に、トイレの個室で2人でタバコを吸っていた。

教室に急いで戻ろうとボボボぅと2人煙を吐きながら、個室のドアを開けると、すぐ近くで立って小便をしていた社会科の先生と目があった。

「職員室にきなさい」

「やれやれ」と僕は言った。

僕とNは1週間の停学処分となった。
  

自宅の部屋で謹慎しながらタバコを吸って、ぼんやりラジオを聞いていた。
『トーキング・ヘッズ』が変拍子の曲を歌っている。
「語りかける頭?訳が分からない」と僕はつぶやいた。

姉に呼ばれ部屋から顔だけ出した。

「こんなのどうかしら」

”森文化堂”と書かれた書店の紙袋に、赤と緑の上下巻ハードカバーが入っていた。

『ノルウェーの森』だった。

(勘違いです。「ノルウェーの森」は大学浪人生の時に、バイクで事故って骨折し、実家に戻ってる時に、姉が買ってきてくれました。)

10代、20代、30代、40代、そして50を過ぎて、失ったり、忘れ去ったもの数多くあれど、いつの時代も手を伸ばすとそこに村上春樹の文章があって、優しく僕を迎え入れてくれたことは忘れないだろう。


てな訳で、初めて村上春樹さんの本をまとめて本棚に並べてみました。


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