未来6月号_2024
1月から「未来」に所属しました!
スライムの国 神保一二三
スライムの国に生まれた手も足もないぼくだけど遠くが見たい
赤色でキラキラしてて甘いってニンゲンの言うイチゴが綺麗
お互いの毒を交換するようにスライムたちはニンゲン嫌い
ニンゲンにしてくれるって交換にダイヤ100個を集められれば
割りのいいバイトがあると先輩の治験の話しを聞きながらレジ
一年で10個のダイヤ十年後ぼくはニンゲンとして生きてる
ニンゲンになりたいぼくはこの国で指名手配をされたスライム
見てぼくに手も足もある眺めてただけのイチゴを今日買いに行く
未来6月号(June.2024 No.869)より
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実景を詠むことが多いのですが、今回はファンタジー。
伝わるか分からないですが、貧困をテーマにしてます。貧困の地域や家族をそのままストレートに詠むよりも、ファンタジーテイストの方が読みやすいのでは?と思って今回はこんな感じにしてみました。
ニンゲンに憧れるスライム。これは私です。
スライムの国でも、さまざまです。みんながニンゲンになりたいわけではありません。
でも私はニンゲンになりたかったし、スライムの国で死んだように生きるよりは、指名手配されるとしても外を見たかった。
生きていく世界を変えるとき、他のスライムたちには嫌われるけど、それでもイチゴに憧れた。
憧れて十年。自分の手足でイチゴを買いに行けるようになった。ニンゲンの国で生きていくのも、なかなか大変だけど、それでも手足があるって素晴らしい。