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神山まるごと高専と阿波踊り(その2)

さて後半。

前日の阿波踊りの後、徳島市長から紹介された「日本で一番低い山」である「弁天山」に登頂しました。

なんと、標高6.1m。

この鳥居の後ろに登山道が整備されています。

頂上まで、25歩位だったように思います。

福山雅治が登頂したことで、一躍有名になったこの山。

これまで誰も遭難者も行方不明者も出ていない安全・安心の山。

山の定義って、なんだろうと思いながら、戻ってきました。

ということで本題、神山丸ごと高専に向かいます。

①大南さん(神山学園常務理事、NPO法人グリーンバレー代表)の講演
今回、神山町という場所にお伺いして、その神山と町がどのように地方創生に向き合ってきたか、という大きな文脈の中に、この高専設立がある、ということがわかりました。

急に思い立って、高専を作った訳ではない、と。

その文脈は、おそらく、この大南さんという方を中心に回ってきた話のように、私は理解しました。神山出身で、Stanford大学院に留学し、その後実家の生コン業を継ぐために地元に戻り、この地域を他の地域とは異なる形で、発展させてきた大南さん。彼が紡いだ地域創生は、まだまだこれから続いていく話で、その途上に「神山まるごと高専」があった、という話。

今回お話しをお聞きして、私が一番共感したのは、「最初からそんなこと考えていなかった」と大南さんは表現されましたが、人が人に共感を与え、その人が新しい人を呼び寄せ、少しづつ話が進んでいった、ということ。

「神山には、観光する場所も、出荷できる名産品もなかった。人しかなかった。だから人を集めた」

自分が、もし、これが仕事だったら、こんなになっていない、だって責任がないし、締切もなかった。ある程度、期待しすぎない、距離を置いて眺めることもできた、という話でした。

特に、締切がない、あるいは「短い時間軸で結果を出そうとしない」という点を強調されていたと思います。「自分の目では、この最終系は見れないんですよ」と言われて、紹介された「隠された図書館」。これは会員になった人が、「本を借りる」のではなく、「本を3冊寄贈できる」という場所。この図書館が埋まるまで「私は生きられない」という話でしたが、ともすれば、自分が生きている間、担当している間に結果を出したいというありがちな状況に対する大きなアンチテーゼのように、私は感じました。

また、町に移住支援を行う際に進めた「逆指名」。「こういう人にこの建物を使ってもらいたい、たとえば珈琲屋が欲しいので、焙煎職人を募集」という感じ。これも、町のサステナビリティに効いている気がする。

他にも、「町の名産品を作って、ブランド化するのはサステナビリティがない。なぜなら、都会の人は売れた時に「もっと持ってきてくれ」という。元々供給能力がないから、少ししか作れないのに、これでは本末転倒になる。」というのも、面白い視点。スペインのサンセバスチャン、ビルバオのように、「店舗で顧客を囲い込まず、その地域で顧客をシェアすることで、魅力ある町にしていく。」というのも、今後の地方創生のキーワードと思えた。その視点で、神山高専も、地産地消にこだわるのも、この思想の影響のように思いました。

また、神山の特徴、特に外国人を受け入れてきた文化(この取り組みをArt in Residenceという海外の芸術家の一次滞在)の背景として、お遍路による他所者に対する受容性文化を挙げられました。私も、19歳の時に、お遍路さんを自転車で行いましたが、この神山の近くにある第十二番札所焼山寺はちょっと思い出があり(お遍路さんの寺の中で、二番目に高い標高、序盤に出てくる最初の試練)、その余所者に対する受容性は実感していました。

ということで、この長年に亘る取り組みにより、新しい学校を創ることの基盤になってきた、とも言えるし、結果として、学校ができたけど、それは元々想定していたことではなく、そこになんらかの理由で、様々な人が集まった結果、生み出されたものである、とも言えると思いました。

いずれにしても、この高専という仕組みをハックしてできた学校が、どういう結果となるかは乞うご期待。ただ、私が感じたことは、常に神山が意識してきたことは「どうすれば、徐々に減少していく人口を増加に転じることができるのか」という視点であり、自然減していく人口グラフが、昨年40人増加(学生の受け入れ)していることを示すグラフに対する誇らしさ、感じずにはいられませんでした。
将来、どんなことが起きようとも、神山を卒業したメンバーは、きっと様々な形で、この町に新しい人材を連れてくる、それを想像すると、きっとワクワクしてたまらないだろうな、と私は思いました。

我々の地域は、恵まれているけども、ここまでの意識がない。

危機感を持って進めないと、我々こそ衰退しかねない。

でも、そこらにあるような地方創生の仕組みでは、きっと意味がない。

大南さんのような視点と、作業を自分たちらしく、どう進めるか、もう少し考えてみたいと思いました。

②神山まるごと高専の見学

ここは、学校側ではなく、寮の1F(レジデンスですな)。
大講義室。
ワークショップ用のお部屋。建築的にも、柱をなくす設計で面白い。

まあ、みてもらった方が早いので、写真を何枚か。
いいなあ、こういう空間に、いたい。

私が一番面白いと思ったのは、この美術室(私は学生時代、美術苦手だったけどね)。

この背景にあるポスターは学生の作品。しかも、そのテーマは、町の珈琲屋さんの「水出しアイスコーヒーバック」のポスター制作。珈琲屋さんのプレゼンを聞いた上で、そのポスターを創る。新井先生は、このProjectの前にAdobeのPhotoshopとIllustratorの使い方の授業をしており、Photoshopを活用したProjectを実施したそう(ちなみに、右にあるのは、SONY発スタートアップのMUSVIの窓)。最終的には、珈琲屋さんのご夫婦の審査で最優秀賞を決め、実際夏の間、このポスターは店で使われる、という話でした。

ほとんどの学生はアイスコーヒーの「冷たさ」「おいしさ」を前面に押し出したポスターだったのだけど、最優秀賞を取った学生の作品は「作り手の視点でキャッチコピーを考えた」を謳った作品で、顧客視点を理解した内容だった、との評価。

ここらも「テクノロジー✖️デザインで、人間の未来を変える」学校、あるいは「モノを創る力で、コトを起こす」というミッションを体現したProgramに感じました。

その他。

①AIについて、学生と会話、Gensparkの有用性を教えてもらう(Perprexityの上位互換)。
②どんだけ書いても、やっぱり伝わらない気がしていて、気になる人には行ってもらいたいと思いました。
③もう少しだけ、自分の感度を上げておきたい、と反省。この取り組みにしても、地域創生にしても、まだまだ自分がやりたいこと、できることがあるように思った次第。

ということで、非常に濃い夏休みを過ごさせていただきました。

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