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オランダ永住権(EU永住権)を欲しかった理由

今夏でオランダ在住5年が経過したので、永住権を申請しました。

申請したのは5年経過する3ヶ月前の2023年5月で、それから4ヶ月が経ち、途中で追加書類の提出は求められましたが、先週、無事に「あなたの申請を承認します」という決定通知が届きました。

2018年7月にオランダに引越した時から、ゆくゆくはオランダでの永住権を取得したいと考えていたので、晴れてその許可が正式にえられてホッとしています。

(申請プロセスについては紹介されているサイトが他にも多々ありますが、
一つの事例として、また別途まとめておこうと思っています。)

私が取得した滞在許可書について

審査の結果、私に許可された滞在許可は「EU-verblijfsvergunning voor langdurig ingezetenen」と呼ばれる、EUに期限の定まりなく滞在できる許可書です。

オランダで永住権を申請すると、自動的に移民局はまず申請者が先の EU 長期居住者滞在許可(EU-verblijfsvergunning voor langdurig ingezetenen)の条件を満たしているかどうかの審査からはじめ、満たしていれば、いわゆる「EU永住権」がもらえます。

流れ的に考えると、EU永住権の条件を満たさない場合には、次にオランダ国内の永住権の条件にて審査されるのだと思います。


ところで、このEU永住権。
「水戸黄門の印籠のように思ってるみたいだけど、実際に言うほど価値(効力)があるものなの?」という疑問を呈する方もいらっしゃいます。

私の場合、欲しかったのはオランダでの永住権で、EU永住権は棚ぼた的にゲットしただけなので、その使い道(使い方)は正直なところよく分かりません。

今日は、私がオランダ永住権を欲しかった理由を書いてみました。

1. より安心してオランダで暮らすため


わが家は子どもの教育をオランダで修了する予定のため、少なくともあと10年はオランダに住む予定です。「永住権」がなければ今すぐ何か困るということはないものの(現在の滞在許可書の更新まであと2年ある)、長い目で見ると少し不安がありました。

十年一昔とも言いますが、これから10年の間に、現在の滞在許可書の根拠となる法律やルールなどが変更されるなんてことは、全くありえない話しでもないと思います。この先しばらくはオランダで暮らす以上、少しでも自分たちのポジションをより堅固なものにしておきたかった。

もちろん、この「永住権」だって5年ごとに更新も必要で、一定期間を超えてオランダから出国したら失効してしまうし、市民権と比べたら絶対的なものではないです。

でも、「期間を定めずに居住して良い」と認めてもらえているというのは、安心度合いが全く違います。

2. 子どもが大学へ進学した場合の学費に関わる問題


うちは子どもが3人いて、長女は現在オランダ中等教育の2年目です。順調にいけばあと4年で卒業。そこから先、どんな道を歩むのかは現時点では全く分かりませんが、万が一、オランダで大学進学するとなった場合に学費の問題が出てきます。

オランダは中等教育まではほぼ無料ですが、大学は有料です。そして授業料は、どの大学も基本的に2種類を設けてあります。

ヨーロッパの法律に基づくEU/EEA圏内の学生向けの料金「the statutory fee」と、大学が独自で設定できる上記の圏外からやって来るいわゆる留学生向けの料金「the institutional fee」です。

留学生むけの料金は、大学や専攻、学部過程か博士課程かなどによって異なりますが、少なくとも法定価格の3〜4倍は高めに設定されています。

例えば、TUデルフト大学の学部課程の料金表はこんな感じ。

Statutory fee                                                                             € 2.314
Institutional fee Non-EU/EFTA students (incl UK)     BSc  € 15.950

https://www.tudelft.nl/en/education/practical-matters/tuition-fee-finances


わが子がオランダで大学に行く場合には、やはり、ぜひEU/EEA圏内の学生向けの料金が適用されて欲しいと思うわけですが、現状の滞在許可書(いわゆる「個人事業主ビザ」)だと、なんとなく心許ない(小さい頃からオランダで暮らし、オランダ公立学校に通っていれば大丈夫という話しも聞きます)。

色々調べると、やはり過去に大学の授業料絡みで訴訟に発展したケースなどもあり(日本人ではないし、詳細は私の状況とは全く異なる)、そのケースを元に弁護士の方が以下のような見解を出していました。

It is advisable for foreign children who are eligible to apply for permanent residency to do so as soon as possible. With this permanent residence permit, a foreign child can circumvent any foregoing disputes about tuition fees.

(永住権を申請する資格のある外国人の子供は、できるだけ早く申請することをお勧めします。 この永住許可があれば、外国人の子供は授業料に関する前述の紛争を回避することができます)

Children of Highly Skilled Migrants: How much tuition should I pay?

そんな訳で、こと長女に関しては、速やかに永住権を取得したいと考えていました。かつ彼女は、未成年の永住権申請条件も満たしていました。

Alleen de jaren vanaf de leeftijd van 8 jaar tellen mee voor de 5-jaartermijn. Kinderen kunnen pas onbepaalde tijd aanvragen als zij minimaal 13 jaar oud zijn en sinds hun 8e jaar een geldige verblijfsvergunning hebben.

8 歳からの年数のみが 5 年の期間にカウントされます。 未成年で無期限の滞在許可に申請できるのは、13 歳以上で、8 歳以降に有効な滞在許可を持っている場合のみです。

Verblijfsvergunning onbepaalde tijd aanvragen

結果、今回はすでに申請条件をクリアしている私と娘についてのみ永住権を申請し、無事に娘にも永住権が降りました。

3. 付帯ではない、独立した居住許可書が欲しかった


私の滞在許可は、夫がオランダで事業を営むことを理由に、その家族へ発行される付帯的居住権です。

夫婦関係は至って良好ですし、これまた現状これと言って不都合もないのですが、例えば、今後、夫が仕事や実家の都合で、日本に軸足を移さなければならないなんてことも考えられます。

その時に、オランダで教育を受けている子ども達をすぐさま日本の教育に戻すことは非常に難しい。子どもたちの暮らしをオランダで続けていくには、双方が独立して滞在許可を取得しておいた方が良いだろうと考えていました。

結局、外国人であることに変わりはないのですが、それでも「永住権」を持っていれば、政府だってそう簡単には足蹴にしにくいでしょう。未来のことは誰にも分からないからこそ、リスクヘッジとして「永住権」の取得は私にとってとても大事なことでした。

そして、その対策がひとまず打てたことは、私の気持ちをだいぶ軽くしてくれたのでした。

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