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【読書記録】踏み出す一歩 そして僕は夢を追いかけた (倉野信次)

福岡に住んでいると自然とホークスの情報が入ってくるのですが(試合結果や順位表など)、熱心なファンではないのでコーチの名前までは把握しておりませんでした。
そんな中、来季に向けた新体制の中に倉野さんという名前があり、アメリカで勉強して帰ってきたとのことでどんな人なのか興味を持ったところ、ちょうど書店に倉野さんの著書が並んでいたので読んでみました。

危機感と実践主義

倉野さんは元々、ホークスで長年に渡ってコーチを務めてきたのですが、近年は選手たちがアメリカのMLBからたくさんの情報得ていること、コーチの自分がそれに付いていけないことに危惧を覚えたと語っています。
このままでは選手から求められることに応えられなくなるし、コーチとして選手に伝えるためにはまず自分が経験しなければならない。
そういった危機感からアメリカ行きを決断したようです。
理論を学ぶだけなら日本にいてもできるかもしれないが、現場で実践しないことには本当の学びにはならない。
これは野球に限らず、すべての物事に当てはまることではないでしょうか。
知識は本やメディアからいくらでも手に入りますが、それらは手や足を動かして実際にやってみないことには経験として身につきません。

目標が明確だから迷わない

倉野さんのアメリカ行きは誰かにアテンドされたものではな、まずはコーチとして受け入れてくれるチームを自分で探すところから始まります。
ホークスを退団しているのでチームの後ろ盾もなく、苦労しながらもどうにか受け入れ先を見つけることはできたのですが、立場はあくまで研修生。
給料も出ず身銭を切って学ぶ日々が始まります。
倉野さんほどのキャリアがあれば、日本にいればプロ・アマを問わず働き口はいくらでもあるはずですが、それを蹴ってでも自腹で渡米したのはなぜか。
それは、「日本一のピッチングコーチになる」という明確な目標があったからです。
指導においても、目標を明確にしてそこに向かってトレーニングすることを重視すると語っています。
目標が明確だから、遠回りであったり一時的な損失があったりしても、最終的にゴールにたどり着ければよいと思いきって動けるんですよね。

異なる環境で適応力を高める

また、倉野さんの指導のポリシーとして、「普段と異なる環境や状況でもペースを乱さずに対応できるようにする」とも語っています。
そのためにわざと負荷の高い状態でのトレーニングを行ったり、時には合理的でないことも練習に取り入れながら「限界を突破する」ことを意識させるようです。
選手に不納得感が生まれないよう、そのあたりの意図はしっかり伝えるそうですが、そもそも倉野さん自身が(言葉の通じない異国にひとりで飛び込むという)自分に負荷をかける行為を行っているので、自然と説得力が生まれているのだと思います。
プロ野球の世界ににコーチはたくさんいれど、独力でアメリカに渡り、マイナーリーグで外国人選手を相手に指導をしたコーチはおそらく数少ないでしょう。
その経験が倉野さんの引き出しの多さとなり、またその指導を受けた選手たちに受け継がれていく、というわけです。

投手陣の復活は倉野さんに託された

2023年のホークスは、投手陣が思うような結果を残せず優勝を逃したという評価を受けています。
投手陣を統括する立場となった倉野さんは、まさにチームの浮沈の鍵を握る重要人物です。
私は野球はあまり詳しくないですが、日々のホークスの試合結果、特に投手の成績に注目しながら新たなシーズンを見ていきたいです。

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