Frostpunkが面白かったので感想
久しぶりに休みが取れてsteamで680円になっていたFrostpunkをやった。
まあこれくらいの値段ならちょっと高いコンビニ弁当一個分くらいなので気兼ねなく買ってしまう。
時間つぶし程度の感覚でやってみたら相当面白く、初回プレイを一気に駆け抜けて、アドレナリンのせいか気付かなかった疲れで終わった後には倒れるように寝てしまった。
そもそもこういう街作りシミュレーション?的なゲームは何気に初めてやった。
いわゆるただの街作りゲームとは違って、氷河期が来た地球で、極寒の中、ジェネレーターという発熱装置の近くで燃料となる石炭やら木や鉄などの材料、食料やら集めて何とか生き延びる、というゲームシステムになっている。
初めてやった割にはこのゲームの進み方が斬新だなと思った。
普通こういうシミュレーションゲームは最初だけ生き延びる辛さがあり、その後発展していくとゲームオーバーの心配はなくなって、強い外敵に立ち向かったり、君だけの理想の街を築き上げよう!状態になるのが常だと思っていたのだが、そうではない。
定期的にやってくる寒波というシステムが否が応でも街の発展を余儀なくされる。
その一から街を築いていく上で必要になるのが法律のシステムなのだが、児童労働法やら、24時間シフトやら、果ては反抗する住民をなくすためのプロパガンダ施設やら、反抗的な態度を取る者は排除するような法律まで出てくる。そしてこれらの法律の効力がえげつない。
街を離れられないように、住民の要望を叶えたり無理に働かせないようにしたり、希望ゲージを常に気にかける必要があるのが、住民に服従を強いる法律を施行するとそのゲージが服従ゲージというものに変わり、何があっても微動だにしなくなるため、一切気にしなくても良くなる。
そりゃあ誰だって理由がないならそんなルールは誰も作りたいなどとは思わないのだが、そういうことをしないと街の運営が立ち行かなくなる。
それも資源がカツカツな中、一刻も早くそれをどうにかしないといけない状況で反発する住民が出てくると、手取り早い手段を取るしかない。
ジェネレーターを維持するための燃料が足りなくなったり、食料が足りなくなったりすると、街全員の生存が危うくなってしまう。
生きるために、徹底的な効率が必要な状況で、道徳やら倫理とは言ってられない。そうやって一歩引いてみると誰もが忌避するようなナチスのような組織を築き上げてしまう。
僕の初回プレイはこのような道筋を辿り、最終的には-120℃の寒波が来たところでインフラが間に合わなくなって、600人ほどいた住民の500人が病人となり、300人が死に、街の不満ゲージがカンストし続けた挙句、リーダーである僕ことプレイヤーが-120℃の中自分で作らせた処刑台で磔にされ、「この独裁者め!」と罵声が浴びられながら、市民に処刑されることになった。その後、残された市民たちがどうなったのかは分からないが、恐らく一人残らず死んでしまったんじゃないかと思う。
インフラが回らなくなったときには少しでも生き延びて寒波が過ぎるのを待とうとしていたので、街の守衛を使って反抗する住民は抑えつけていたのが、次第に守衛も病人となり、抑えつけることも難しくなってしまった。
最後処刑されている最中でさえ僕は「こんなことやってる場合じゃないだろ!今はこの大寒波を皆で乗り越える時だろ!!」と思っていたが、今思えば典型的な悪役の独裁者であった。
僕は選択型ストーリーのゲームなら基本的には道徳的な選択肢ばかり選ぶのだが、石炭が足りず、採掘場が稼働しない夜になると毎回100人単位で病気になる街で正義やら気合いやらを主張すれば今日にでもゲームオーバーになるのだ。
(僕がシステムの理解不足でそもそもいつ寒波が来るのかも分からず、毎回来てから対処で後手後手になったのが全ての原因なのだが。)
よくある綺麗事だけで世界救っちゃう系主人公とはお話が違いすぎた。
その後、攻略動画を見て、最初から模範解答のような道筋を辿ることで最終的に-150℃にまでなっても資源貯蔵が膨大で、非道徳的な方法を取らずとも終始希望に溢れた街もあると知った。
だが、手探りでなんとか生き延びようとした僕の初回プレイはそれだけで価値があった。
一見最悪な独裁監視社会を築いてしまうプロセスを身を持って体感できたのだ。
道徳というのは力を持った人間にしか唱えられない。
まあ、そういうゲームデザインになってるだけ、と言われたらそれはそうなんだけど。
ゲームオーバーになったらゲームやってる意味ないからね。
それにしても色々と秀逸なゲームだった。