初投稿 読書メモ 「パンダをいくらで買いますか?」
パンダをいくらで買いますか?
著者:野口真人
発行:日経BP社
2013年8月21日第1版
NOTEのアカウントを作成して、初の投稿です。5年ほど前にMBAのファイナンス基礎講座を教えて下さった講師執筆の書籍です。ファイナンスを実務で使うことがあまりなかったため、復習を兼ねてゆっくり読み進め、メモしていきます。メモは、記述されている内容を辿るのではなく、自分自身にどのように意味があるかを意識して、書いていきたいと思います。
本書は「モノやサービスの値段がどう決まるのか」という、ファイナンス専門用語でバリュエーション、に焦点を当てています。ビジネスの世界では、会社の価値や事業の価値を算定するときに役立ちます。プライベートでは、固定資産を購入するときに使えそうです。
モノの価格を決める3つのアプローチ
原価法、取引事例比較法、収益還元法が紹介されています。これら3つはそれぞれ長短があります。また、原価を考慮に入れながらもマーケットを見るなど、どれか1つの要素だけ使われるのではないようです。
1.原価法:コストアプローチとも呼ばれれます。モノやサービスを提供するために必要なコストを積み上げ、そこに行っての利益を上乗せする方法です。ロジカルに算定でき分かりやすい点があげられます。一方で、この価格はあくまで売り手視点なので、買い手に受け入れられるとは限りません。
マーケティングのプライシングでは、マークアッププライシングと呼ばれるもので、流通業で良く使われているものです。コモディティでは低く、高級品では高い傾向があります。
2.取引事例比較法:類似の事例を参考に価格を決定する方法です。需要と共有を反映した市場価格とも言えます。一方で、市場価格は冷静に評価された価格とは限りません。時には緊張感と熱狂で、適正価格から離れた高値の世界に引きずりこまれる「バブル」状態に入ることがあります。
3.収益還元法:将来手に入るであろうキャッシュフローから現在のモノの価格を計算する方法です。収益還元法はDCF法とも呼ばれます。これは将来のキャッシュフローを金利(割引率)で割り引いて、現在価値に換算する方法です。
投資の収益、2つの種類
1つは、利子や配当、家賃のように将来に渡って定期的に入ってくる「インカムゲイン」です。もう一つは買った資産が値上がりすることによって得られる「キャピタルゲイン」です。
モノの価値はたった3つの数字で決まる
1.キャッシュフローの金額(Amount)
2.金利(割引率)(Rate)
3.キャッシュフローが発生する時期(Time)
代表的なキャッシュフローと、計算方法
1.永久年金型:一定額のキャッシュフローがほぼ永遠に続く場合。例えばマンションの家賃です。
現在価値=毎年のキャッシュフロー÷割引率
マンションの現在価値=毎年の家賃÷割引率
月25万円の家賃なら年間家賃は300万円です。割引率を5%とすれば、このマンションの現在価値は6000万円です。私がインカムゲイン(家賃収入)として年間30万ペソを期待する場合、割引率6%とすれば、現在価値500万ペソの物件を買えば良い訳です。
大事な資産はバランスシートに載らない
「企業価値」というと、企業が保有している資産の価値(バランスシートの合計額)と思いがちですが、実はそうではありません。ファイナンスの世界ではキャッシュフローこそが価値の源泉ですから、企業価値とはその会社が将来生み出すキャッシュフローの現在価値を意味します。
上場企業の中でも債務超過になっている企業がありますが、株価はゼロになっていません。なぜならば、その企業にキャッシュフローを生み出す力がある限り、まだ株式価値(自己資本)が残っていると考えている投資家がいるからです。
フリーキャッシュフローとは
投資のために出ていくお金の総額と、売り上げた結果入ってくるお金の総額を差し引きしたものが「フリーキャッシュフロー(FCF)」です。企業の場合、その源泉は営業利益です。
FCF=営業利益x(1-税率)+減価償却費-設備投資-△運転資本
※運転資本は、前期との差額
割引率はどう求めるのか?
割引率は、リスクのない金利(リスクフリーレート、国債の金利が使われることが多い)にリスクプレミアムを上乗せしたもの。
会社のコストはWACC(加重平均資本コスト)
会社の割引率は2種類の金利を合成したものです。1つは会社にお金を貸している人が求める金利で、専門用語ではROD(リターン・オン・デット)と呼びます。もう1つは、会社に出資している人(株主)が求める金利でROE(リターン・オン・エクイティ)と呼びます。
WACC=RODx(1-税率)x負債の割合+ROEx株主資本の割合
※企業は支払金利を費用として計上でき、その分税額が減る
MM理論
どんな分け方をしても、パイ全体の大きさは変わらないという、フランコ・モジリアーニとマートン・ミラーという経済学者による理論。
ファイナンスの世界では、借金をして投資額を増やすことを「レバレッジ」と呼びます。キャッシュフローが同額の場合は、企業が借金した方がROEは上昇します。
中途半端ではありますが、本日は、以上です。
初めての投稿ということで棒読みならぬ棒書き?のようになってしまいました。私のような面倒くさがりやには、ハードルを高く設定せず、まずは書いてみることが大切ですので、ここで良しとしておきます。
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