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アンガーも捻らば消ゆらし五七五(爺医)

 日本社会では、あらゆる場面で〈肩書〉がものをいう。
 
 医者のトップは、昔から〈白い巨塔〉の主だろう。
 次に、ナショナルセンターや公立病院、私立の病院・診療所と続く。
(そして、白波五人男風に言うならば)
「さぁてどんじりにひけぇしわぁ、健診医~」というところか……。
 それらの立場を一通り経験してきた今になって、爺医はつくづく思う。
「世間は何事も肩書で評価したがるものだ」と。
 正直なところ、心がくじけそうになる事も……。
 
高飛車な患者の言に難儀するも医師の矜持で軽く受けながす(医師脳)
 
 マーケティングにおける顧客満足経営戦略(customer satisfaction:CS)とは、顧客に満足を提供しながら企業も利益を得るという中心概念である。これは機械が主役の製造業の世界での関係であり、従業員の満足はあまり問題にならなかった。
 ところが、サービス業が増えてきた段階で、従業員の満足がなければ良いサービスは提供できないという視点から、インターナル・マーケティングが提唱された。外部の顧客へ商品を売り込む前に、内部の顧客に職務を売り込もうという人事管理のような考え方である。
 
 これをサービス業である医療機関に当てはめると、外部顧客は患者さんで内部顧客は職員ということになる。
 つまり、これらの外部顧客と内部顧客、そして企業としての病院の三者が満足できるような交換関係を形成することが、取りも直さず医療機関におけるCSだったはずなのだが……。
 
 CSが、単なる「接遇」であると誤解された結果、その手の講習会が病院でも大流行。そして、サービス業界から招かれた講師が「患者様、患者様」と熱弁を振るったことを思い出してほしい。このような誤解が生まれた根本には、「病院における顧客とは、最終消費者つまり患者さんのことである」という先入観があった。
 その結果が、昨今の「カス・ハラ」問題である。
 
カスタマー・ハラスメント対策
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
 
 もちろん、医療機関にとっても接遇は重要であるが、本来の医療サービスが先決問題であろう。
 

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