専門家の死角にAIを
かつて「医者の悪筆」と揶揄されたものだが、最近は「カルテの文字が読めない」などの苦言は聞かなくなった。
電子カルテのおかげである。
が、もうひとつ「医者の悪文」は、電子カルテシステムでもどうにもならないようだ。
そもそも医者は、医療健康情報などを一般向けに伝えたいと思っても、分かりやすい言葉を使うトレーニングを受けていない。
さらに、高い専門性があるため、一般の人が「何が分からないか」を想像するのが難しいという傾向がある。
いわゆる「専門家の死角」である。
そこでAIの力を借りようという発想が生まれた。
今はやりの生成AIに、「専門性のない人にも理解しやすいように」と指示を出して作文をしてもらう。
ところが、その文章を検討した報告によると、2割の記事で重要なメッセージが抜け落ちていた。
現段階では、完全に「AI任せ」にするというのは危険だ、という結論である。
医療者が一般の人向けに情報を伝えたい場合、より「伝わりやすい」表現を手間をかけずに作成するため、あくまでも「下書き」として使うのであれば意義があるだろう。
「AIをチャット相手と知りつつも〈デジタル秘書〉へは敬語で依頼す」医師脳
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