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アイデンティティが死んでいる

四角く縁取られた窓から見える快晴の空を鳥が横切った

朝の澄んだ空気が鼻腔を掠めて
遠くで鳥が鳴いている

肩まで掛けている毛布の温もりが私を包んでいる

心地の良い、時間に縛られない朝

こんな朝は久しく感じる

うつ病だった。

何をしても無感動で
虚無が私を覆っていた。
美味しいと感じていたものを美味しいと感じなくなり
美しいと思うものも無くなり
楽しいと感じることすら無く
趣味も無くなった
自尊心を失い寝ることもできなくて

ただ息をしてただ仕事に明け暮れた

寝ても覚めても仕事のことばかり考えていた

2時間寝て目が覚めて2時間寝てまた目が覚めて
起きたら何故か知らないけど涙が流れてきて

仕事に行けば動悸がして仕事中も涙が流れてきて

病院に行ったらうつ病だと言われた。

あなたの場合は職場環境が変わらない限り治りませんよと言われたので仕事を辞めた。

仕事を辞めてもしばらくは眠れなかった。

3食ご飯を食べて規則正しい時間に寝る生活を続けた
ぐっすり眠れるようになって
朝起きても涙は流れなくなった。

少しずつ少しずつ自尊心を取り戻す

死んでいたアイデンティティが息を吹き返す

私は何が好きで何を美しいと思い
何がしたかったのかを思い出していく

まだ全てではないけれど
少しずつ少しずつ




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