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初めての小学校担任 林間学習を楽しむためのマニュアル

はじめに

 小学校の学校行事っていろいろあるのですが、それぞれの学校ごとに力を入れている側面があり、そうした学校行事における準備やそこで、どんなことを行えばいいのかという手順がわかりにくく、何度か経験したベテランの先生の言うまま動いてしまい、なんとなく疲れがたまるなんてこともあるようです。
 児童として参加していた学校での行事も「担当学年」となると提案書類の提出や事前書類の作成、報告文書の提出等結構やらなければならないことが多く、なおかつ、それぞれの教育委員会や学校のルールなどもありこうしたことを知らないまま採用試験に受かってしまうと「こんなはずではなかった。」と思うかもしれません。特別活動の解説書なんかにも「学校行事は集団行動における規範意識を高めるための行事」という側面が強調されるため「楽しむなんて無理」と思い込んでしまう若い先生もいるようです。
 学校でもベテランがたくさんいて、小学校の教科指導だけではなく全人格成長の取組が好きな、ちょっとオタクな先生がいた昭和や平成の時代はともかく、コロナ禍で「行事の精選」が行われ、ここ数年間の学校行事は実施されなかった状況や少子化で一学年の学級数が単学級や2学級が当たり前の状態が生まれ、学習指導要領の改訂やICT機器の導入、英語、道徳、プログラミングと矢継ぎ早に必要になった教科指導のスキルを身に着けることにならざるを得なかった「ミドル」の学年主任を任される先生たちにとっても、学校行事の「コロナ前」への「回復」は初めての経験になる場合があるのです。
 採用されて十年目の「かつての教え子」が初めて5年生の担任になり、児童数は20人を切って切る少人数だが、もう一人の担任は若い講師の先生で、今年から始まる「運動会」「学習発表会」「林間学習」といった学校行事や高学年の「クラス経営」に関わる特別活動の取組に不安があるという連絡を受けた。新たな学級経営の概念としてのインクルーシブも、まじめにすべてを頑張ってやり通したいという性格であるがゆえに、見通しの持てないことには不安が芽生えるのかもしれません。
 そこで、少しでも不安を除くために、初めて林間学習を行う先生のためのマニュアルを作ってみることにした。個々の学校により提出する書類や報告書名などに違いはあることが想定できるが、このマニュアルをもとに個々の林間学習フォームを作り上げておくことができればと思っています。

林間学習

 野外学習、体験学習とも呼ばれていますが、いわゆる「遠足」や「社会見学」と同じ「体験的な学習」として位置付けられ、高学年では5年生での「林間学習」「臨海学習」「スキー学習」などの宿泊を伴う学習が、それぞれの学校での特色ある取組として実施されています。 

 近年は安全面での配慮がなされる反面、マンネリ化による意義の喪失や宿泊に伴う教師の負担増や振り替え時間の確保等が課題とされているという指摘があるようで、ここ数年コロナの影響をうけ実施を取りやめていた学校が多くあるといわれています。

 野外学習の中でも事故の発生が比較的低いと考えられるのが林間学習です。

 林間学習の取組は学校の特色を表す一つであり、その担当となった5年生の担任が頭を悩ますことも、しばしばあるようです。今では1泊2日が定番となっているようですが昭和の時代には3泊4日やそれ以上の泊数で取り組む学校もありました。
 先に述べた「何のために実施するのか?」という議論もなく形骸化して続けられているのではないかという危惧も時代のうねりの中いつのまにか消えていくものかもしれません。

 そこで野外学習が好きでたまらず、高学年を希望し続けた筆者の経験を少しでも林間学習を負担だと思う気持ちになる5年生の担任の先生に伝えておこうと「一太郎で書きためた林間学習の資料」をワードの資料にコンバートすることを始めることにしました。

 初めて5年生の学年主任を任された時、最初の重圧を少しでも軽減してくれる「林間学習の資料」がデータとしてきちんと学校の引継ぎ資料にある学校とそうでない学校があるらしいのです。
 
 個々の先生が作成された「情報」がきちんと同じ様式で体系化されていない場合や異動や転勤で校内の情報フォルダ内が整理されていない学校ではテキストベースのデータを打ち直すというデジタルマニュファクチャとでもいうべき事態が毎年起こっている場合があったということも数年前に聞きました。コロナのおかげで「負担感のある行事が一つ減って助かった、これで五年生を受け持つことが楽になった」と考えたそうですが、コロナで実施しなかった数年の間にテキスト資料以外は「実施に必要な情報」も担当者の転勤や退職により消えている場合もあるようです。

 すなわち、その学校で今実施されている「学校行事が成立したプロセスを示す議論の記録」という情報が、いつの間にか消えているわけで、再開するときに、また「なぜ本校にとってその学校行事が必要か」という議論が行われるということを意味しています。

 「林間学習(野外活動)」に限らないのですが、「なぜ、そうした活動を行うのか」「今、その活動を通して今の子どもたちに何を体験させることが必要なのか、何を見直すことが必要なのか」を検証することなく「漫然と計画書の日付や人数だけを更新」することだけで済ませ再開できる程度のものなら、その活動は必要のない行事ということで廃止したほうがいいのではではないでしょうか。

学校行事としての「修学旅行」が観光地巡りになるのは時代の流れなのかもしれませんが「林間学習」まで負担が多いだけの行事になるのは少し悲しいことなので、新設校で5年担任一学級という珍しい体験をしたときのことを思い出しながら単学級だからこそ楽しめることもあることをお伝えできればと思っています。

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