未来の働き方を考えよう/ちきりん

働き方本ブーム、定年延長などのトピックが話題になることが多い中で、有名ブロガーであるちきりんが未来の働き方について考えた本。この本の中で、彼女は「ふたつの人生を生きる」方法として、40代で働き方を選びなおす生き方を提唱している。
以下、面白かったところを記す。

・働き方を変える3つの革命的変化
そもそもなぜ働き方を再考する必要があるのか、働き方について考える人が増えているのか。その背景は大きく3点あると紹介されている。
一つ目は、IT革命。これによって大組織と個人の力関係が大きく変化した。これは想像に難くない。個人事業を行う環境はITによってかなり整ってきている。クラウドソーシング的なものによって仕事を得やすくなったし、総務経理的な仕事もクラウドサービスによって簡単になった。かつては大組織しか掴めなかった情報も情報が民主化したことによって格差が少なくなった。
二つ目は、グローバリゼーション。これによって先進国と新興国の力関係が変化した。同じ作業であれば人件費が安い国で行うことが当たり前とされるようになった。例えば、縫製業などはすでにほとんど日本で生産をしていない。ここで面白かったのは同一労働同一賃金の考え方の矛盾だ。日本国内の格差を訴える人はこの考えに基づいて、賃金アップを求める。だが、賃金が低い国の人に比較をするとどうなんだ、という議論が生まれる。一国内だけの論理が通用しなくなってきている。自分がグローバリゼーションに興味があるのはこの点。グローバリゼーションが進めば、生まれながらの格差が少なくなる。どの国で働いても価値が発揮できるような世界になる。
三つめは、人生の長期化。ストック型からフロー型の人生が求められるようになった。以前ならば、貯金や人脈やスキル等をストックしておくことができた。しかし、人生が長期化することでそれが難しくなってきている。常にアップデートをできるような体制を築かないと厳しいよう。

・女性の社会進出
女性の社会進出が進むとどうなるかという話があって面白かった。今までは出産・育児のためにキャリアを考えるのは99%女性だったが、それが変わっていくとのこと。例えば、奥さんが海外でいいオファーを受けた場合、それに旦那がついていく、みたいなことが普通に起きてくると。ベトナム時代にそういう男がいていじられてたけど、ある意味先進的だったのかもしれない。。。

・新しい働き方をする若者
大企業をスパッとやめる、海外で現地採用として働く、ミニマムに暮らす若者が例として挙げられているが、これは2020年現在ではかなり普通になってきている。自分もここに入る。海外で働く=駐在という構図が当たり前だった時代から、ポジティブに現地採用を選ぶ人が増えてきていると。いつの時代も「あたり前」の感覚は損得勘定によって変化をしていく、それにも関わらず多くの人の思考とイメージはあまり変わらないという点が面白い。

・複数回の職業選択
40代で2回目の就活をしろ、と書かれている。作中では、同じところに旅行に行くとして、一回目は有名どころを回るが二回目は訪問先に個性が出るように、二回目の就職先に各人の価値観が繁栄されたオリジナルなものになるという。これは確かにそうだと思う。個人的にも転職をしている人の方がオリジナリティを持った自己を語れる人が多い。それにしても、ちきりんは例がすごくうまいな。。。

・緩やかな引退という概念
特に多くの会社員は、引退と次の日から全く仕事をしなくなることをイメージする。ただ、それだけじゃないんだという気は前からしていた。100か0で考える必要はどこにもない。金銭的に余裕ができ、体力的にはしんどいような状況ならば週に2-3日は働くということがあってもいい。自分は仕事が好きだからそういった形でできるだけ長く働きたいなぁ。

・支出のコントロール
人生を大きく転換することにあたって、収入に関する不安を持つ人が多い。しかし、重要なのは実は収入ではなく支出のコントロールのほう。収入が上がれば、なんとなく支出も増やしてしまうもの。支出が増えること自体は悪いことではない。ただし、なんとなく金を費やしているものについては見直さないと多勢に流されるような人生になる。

・オリジナルな人生
ちきりん曰く、「やりたいことが見つかれば、人生は楽になる」とのこと。やりたいことが明確になれば、世間の価値観を必要以上に気にして合わせる必要がなくなる、とのこと。これは実感としてもすごくよくわかる。ただし、やりたいこと=具体的なことである必要はそんなにないと思う。ちきりんもそうなんじゃないかと感じた。大きなテーマや価値観があって、具体的にどの仕事をするかという点に関してはその時代と状況に合わせるのが適切だと思う。

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