独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで / 楊 海英

大学受験で日本史選択をして以来、世界の歴史に対して非常に疎い反省とコロナをきっかけに中国の体制に興味を持ったので読んでみた。

要約までしていると非常に長くなってしまうので、感想を非常に簡単に。

・共産党一党独裁の意味
中国の共産党一党独裁がどういう意味か。これは単に共産党がずっと政権を握っているという意味ではない。もしもの話だが、日本に自民党しかなくずっと政権与党であり続けるのとは意味が全く違う。中国においては共産党が憲法よりも尊重され、立法・行政・司法すべての上にくる存在。共産党員でないと公務員にはなれないし、人民が共産党のために尽くすというのが基本的な縮図であるように思う。この本の著者は北京の生活も長かった、チベット出身の方のようだが、日本の市役所に初めて行ったときに公務員が人民に尽くしてくれる態度に非常に感動したそうだ。中国に生まれていたら生きづらい人生だったなーと本当に思う。

・法治国家、ということ
建前はどうかという話は別にして、多くの人が中国は法治国家であると考えていると思う。自分もそうだが、日本で生まれ育ってた人は法治国家であることの重要性を考えたことがほとんどないと思う。
法治国家であるかどうか、という点はコロナ対策においても非常に大きな違いがみられたと思う。日本は多く手続きや承認を必要とすることから対策が遅く、中国はロックダウンや外出者への罰則など人権無視ともいえるような強硬策をとった。この対策についてはもしかすると後者の方がよかったかもしれない。
ただ、やはり法治国家という体制が守られることは歴史を見ると明らかすぎるくらいに感じる。その場その場で、特定の行為がOKになったりNGになったりする社会は恐ろしくて生きていけない。

・生まれながらの格差
中国では共産党員であることで非常に優遇をされる。また、都市と地方で別の戸籍が存在する。これは生まれながらの格差を国が認めているということに他ならないと思う。例えば、大学受験で同じ点数でも都市戸籍の受験者かそうでないかで、合否結果が異なる。また、企業に入社ができるかどうかという局面においても、共産党員であるか否かは非常に大きな判断基準になるそう。このような格差がある中でのし上がっていくのは非常に難しく、日本はよっぽどいい社会だと思わざるを得なかった。

・現代史を学ぶということ
これまでほとんど歴史について学んでこなかったが、これは非常に有用なことだと思う。現代史を理解していないことにはニュースが理解できない、つまり世界情勢を把握することができない。そして、今後海外とかかわっていくにあたって歴史について理解をして自分なりの意見を持っていないとリスペクトはされにくい。

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