神戸クラシックコメディ映画祭2021レポ(4) まとめ
神戸クラシックコメディ映画祭は、前身の企画上映「新春コメディ宝箱」(喜劇映画研究会との共催)を含めると今年で6回目、クラコメとしてスタートしてからは5回目となりました。
新春のコメディイベントということで、当初から温かく見守っていただいてましたが、今年は特にご参加のお客様からの熱意を感じました。
数年通ってくださっている常連さんもおられますし、今回もほぼ全プログラム制覇してくれた方が何人もいました。もちろん初めてご来場の方も多かったわけですが、どのプログラムも例外なく明るい笑い声が劇場中に響いたのが、とても印象的でした。
「喜劇映画なんだから笑って当たり前だろう」と思われるかもしれません。でもこれがなかなかどうして、そうでもないんですね。
日本のお客さんはあまり声を出して笑わない、というのは昔からよく言われます。でもきっと、笑わないというよりも、しっかりていねいに作品を観てくれるお客さんが多いのではないでしょうか。
だからこそ、大きな声で笑ってくれる時は、本当に面白いものをお見せできてる!とわかるのです。
ましてや、100年も前の映画だったり、音も声もなかったり、白黒だったり…と、クラシック映画を観てもらう上でのハードルは、実はとても高い。
そのハードルを何とか低くして、一人でもたくさんの人に観てもらいたいと、われわれは年がら年中悪戦苦闘しているわけですが…
でもクラコメ映画祭に関しては、お客様が「よっしゃ笑うぞ!」という体勢で来てくださってるなあ、と、今年はひしひしと感じました。開催側としてこんなにありがたく、幸せなことはありません。
今年もすばらしいポスター・フライヤーのデザインを手がけてくれた荻原小麻紀さん、ありがとうございました。毎年永久保存版が増えていきます。
過去映画祭の萩原さんデザインはこちら。
また、毎年デジタル上映の技術アドバイザーとして溝渕一夫さんにお世話になっています。今年も上映素材の作成や字幕作業で年末年始も頑張ってくださいました。
上映にこぎつけるまで、実はかなりの苦労があったのですが、溝渕さんの細部にまでこだわったていねいな作業がなければ乗り越えられなかったと思います。チャーリー・バウワーズ特集では、フランス語の字幕翻訳についても有益なアドバイスをいろいろいただき、助けられました。
旧グッゲンハイム邸スタッフのみなさま、神戸映画資料館スタッフ・ボランティアのみなさま、喫茶チェリーさん、実行委員各位に、この場を借りてお礼を言います。本当にお疲れさまでした。
例年なら、各開催日の上映終了後には、出演者も交えて打ち上げをするところですが、今年はすべて自粛。なんとなく寂しさを感じていたところ、最終日に柳下美恵さんがお声がけくださって、オンライン打ち上げをすることができました。柳下さんのやさしいお心遣いが胸に沁みました。
映画祭の準備段階では、上映予定の作品を一人で試写することもよくあります。白状すると、「この作品、あんまり笑えないよな…」と感じてしまうこともたまにあるのです。
でも、不思議なことに、劇場でお客さんと一緒に観ると、信じられないほど面白かった。
それに、「笑う」ことだけがすべてでもありません。自分だけの興味を見つけたり、みんなが笑ってても自分は泣いたり、作品やフィルムそのものの貴重さを噛みしめながら観たり。映画祭の面白さってそんなところにもあるんだな…と、今年は特に強く感じたし、勉強にもなりました。
とはいうものの、今はどうしても劇場へ出かけられず、配信で観るしかないよ、という方もたくさんいるでしょう。そんなみなさまには、クラコメがフィジカル開催のみの決断を下したことにどうぞご理解いただけますようお願いします。
そして来年こそは、いっぱいのお客さんでぎゅうぎゅう詰めの会場で、心おきなく映画祭を楽しめる環境になっていることを、心の底から祈ります。
そのためには、今年以上に充実した映画祭にしなくては!
構想はもう頭の中でふくらみつつあります。どうぞご期待ください!
最後に、100年たっても変わらずわたしたちを笑わせ楽しませてくれるコメディアンたちに、変わらぬ敬意と感謝を捧げます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?