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永代供養墓プロジェクト入門4     永代供養墓の制度設計と料金体系

後回しになりがちな制度設計と料金体系

 永代供養墓のプロジェクトにおいて、制度設計と料金体系が大切なことは、いろんな場所で伝えてきました。

 しかし多くのお寺では、この二つを、充分に考えて整えているとはいいがたいのが現実です。とりあえず建物としての永代供養墓を建立することで頭がいっぱいで、制度設計のことは、ギリギリになって考え始めるということが多いようです。

 制度設計の要素としては、次のようなものがあります。

檀家になるか、宗派を限定するか、俗名でも可能か

 遺骨を骨壺のまま納骨する年数(合葬するまでの年数)、申込者は檀家になってもらうか否か、宗派をどうするか、俗名での納骨を可能とするか、などです。

 例えば、檀家になるかどうかの問題、宗派をどうするかの問題は、どういう人に申し込んでもらいたいかの問題でもあります。さらには、宗教的なスタンスに加え、長期的にお寺に関わってもらえるかどうかにも関わってきます。

 檀家の問題は、檀家になることが条件/檀家にならなくてもいい/檀家でなくお寺の会員になる、などの選択肢がある。また宗派の問題も、その宗派の人しか申し込めない/従前の宗派は問わないが今後はその宗派になってもらう/宗派は特に問わない、などの選択肢があります。

 当然、檀家になることを条件にしたり、宗派を制限したりすれば、申込者は少なくなります。一方、申込者の数を重視すると、どうしても、できるだけ制限を設けないということになります。

お寺の宗教的スタンスと募集活動のバランス

 最終的にどうするかは、お寺の宗教的なスタンスと募集活動のバランスを考えて整えることになるのです。

 ただ檀家、宗派の条件があると無いとでは、対象となる人が、数倍異なってきます。対象となる人が、数倍異なるということは、申込みの数も数倍異なることを意味します。檀家になることを条件にしたいお寺の気持ちもわかりますが、ここはちょっと考えどころです。

 また料金体系では、価格が申し込みやすいものになっているかどうか、料金体系がわかりやすいか、複数の遺骨を納骨する時にどんな料金になるのか、などを整える必要があります。

 例えば、納骨費用、永代供養費用、納骨作業費、プレート代など、ひとつひとつに金額がつけられているケースなどは、親切なようで、結局、一般の人にとってはわかりにくいものになってしまっています。仏事に詳しくない人にとっては、「結局、いったいいくらなの?」ということになってしまいます。

 また、複数の遺骨がある場合の料金体系のことを、きちんと考えているお寺は少ないようです。多くの場合、遺骨一体で○○万円となっているだけです。夫婦二体分で二倍の費用ということだけならいいが、墓じまいの改葬などで遺骨が五体も六体もあった場合、費用が五倍六倍になってしまうことも想定すべきです。

申込者と長くつきあっていくためには、どうしたらいいのか

 制度設計、料金体系を整えることは、申込みを増やしていくためにも重要ですが、お寺が申込者と長くつきあっていく上で必要不可欠なことがらなのです。

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