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「唐可可」という生き方 〜”星屑クルージング”への想いを綴る〜

じはんきです。いよいよ発売されたLiella!の2ndアルバム。多くの方がお手に取り、衝撃を受けたことがタイムラインからも一気に伝わってきます。

その中でも私が驚いたのが、唐可可が歌う「星屑クルージング」。今日はそれについて、ゆっくりと触れていきたいと思います。

「星屑」ってなに?

タイトルにある「星屑」を国語辞典などで引いてみましょう。きっと「ちらばって光るたくさんの小さい星々」というワードが出てくると思います。「光る星々」というのは、私たちが住む地球から外を見渡した時に見えるものですが、大なり小なりさまざまな光が見えるのはご承知の通り。

星は自ら輝く恒星と、いわゆる「光る風」のようにして魅力を伝える惑星があります。可可ちゃんがなりたかったものは、おそらく「恒星」でしょう。これまでの物語の中を通して、最後まで「大好きなものへの想い」だけで突っ走った上に、「スクールアイドルになる」という自分の夢と、大会優勝という「夢の先」まで叶えていったことが、もしかしたら裏付けになるのかもしれませんね。

多くの方が考えるように、この星々とあまたの「スクールアイドル」、もしくは「大好きなもの」を重ね合わせているというのはよく見ます。ただ、それを歌うだけではやはり何かが彼女の中でもう一つだけ足りなくなる。そして私たちもすでにそういったものを歌う曲はごまんと見てきたので、「この想いのどこに惹かれるのか?」というのは、もう少し詳しく話さないといけません。

「夢へ」飛び出そう

この楽曲は可可ちゃんから向けられる、2つの対象への飛び出す想いを歌っています。一つは「憧れ」である「Sunny Passion」、もう一つは「君」こと、「澁谷かのん(もしくはそれを見つめる“あなた”)」と私は考えています。

「クーカー」としてもですが、「Tiny Stars」との共通するワードに「Shooting Star」があります。流れ星は大気圏に落ちれば消えて無くなってしまいますが、それを「一瞬のときめき」とするのがまた面白いですね。あの頃はまだ小さな星々だったけれど、優勝を経た今は自信を持って「星」のことを歌える。そんな思いが伝わってきます。

気になったのは「夜が続くように」願い、「いつかは朝が来るけれど」、そして終盤の「思い出にならないように」というところ。僕自身はこの楽曲を「1番“ラブライブ!”らしい楽曲」とも受け取っていますが、いろんな人がそう考えるスクールアイドルの“真昼の”アンセム、「SUNNY DAY SONG」とはまた違った位置にいるとも思っています。「Sun Power」ではなく「Wish」なんですね。これには恒星になろうとしている可可ちゃんのルーツとして、なぜ宇宙という宵闇の中で光ろうとしたのかを考える必要があると思っています。

この楽曲、「明るいけれどもちょっと後ろ向き」なんですよね。「青春が終わってしまう」恐怖を感じるのもそうですし、「夢を叶えた先(つまり“夢から覚めた”後)、私たちはどうすればいいの?」と感じるのもそうです。甘酸っぱさ中心の優しいロックサウンドが、それをなお引き立たせているのもこの曲のやべーところでもありますね。誰よりも「ラブライブ!」を知っているからこそ、その先からどう進めばいいのかは自分で決めなければいけないんですが、それを決めかねているような印象です。それはまるで、宇宙という暗闇の中をひとりで進んでいるかのように。

可可ちゃんの夢を叶えた第一の要素は間違いなく「他者の存在」だと思っています。ひとりではできないことも、みんなとならどこまでも飛んでいける。自分だけじゃ肯定できないことは、誰かが肯定してくれる。勘のいい方はもうお気づきでしょうか。実はこの楽曲自体が「他の2ndアルバム中の楽曲と補完し合うように作られている」という作りになっていると私は思っています。他者の存在がないと存在できない楽曲なんですね。だから肯定してもらったことで「想像してるより自分ってスゴイ」と、自信を持ってアピールできるまで至ったんです。

「歌える、1人じゃないから」というのは、「あなた」へのメッセージでもあり、かのんちゃんだけでなく可可ちゃん自身の決意表明でもあったわけです。

唐可可という生き方

ここまで書いてきて思ったのが、これからの可可ちゃんは最後までブレずに、何を言われようが自分の大好きを貫くように振る舞うだろう、ということです。つまるところ「中村ノリ」です。ただ、バントをするようになったノリさんがそうであったように、可可ちゃんもどこかで変わるようになる時がどうしてもやっぱりあるのかもしれません。

夢を叶えて「恒星」となった可可ちゃんのこれからは、自分たちに向けられ、自分たちを通じて星同士が贈り合う「Wish」と、自分だけの未来を切り開くための「Wish」、この両方を追っていく運命と出会ったと思っています。「ラブライブ!」を通じて学んだ考え方や思いだけでは決して未来を創れないとも考えていますが、彼女なら大丈夫でしょう。ぶつかり合いながらも他者に肯定されたことで夢を叶えられたことが、何よりの証拠です。可可ちゃんの生き方は、時にストイックに、時に緩やかにそれらの「Wish」を追いかけていく生き方であると、私は信じてやみません。

「星屑クルージング」は、可可ちゃんの過去と未来を繋ぐ接点であると同時に、「ラブライブ!」全体の過去と未来を繋ぐ接点でもあると私は確信しています。それは「変わりゆく今」というのを大事にしている「スーパースター!」だからこそできたことであるとも思います。未来がどのように進んでいくのかはまだ誰にもわかりません。でも彼女の持つヒカリだったら、きっと明るく照らしていられるでしょうね。

わたしたちはずっと、もっと、その中をクルージングしているのですから。

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