ミラーテストでわかること
鏡に映った自分を認識できますか?
「自己認識」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
自分は他人とは違うという考え方は当たり前のように思えますが、これはヒト特有なのでしょうか?それとも、他の種にも当てはまることなのでしょうか?
自己認識の有無を確かめる古典的な実験にミラーテストがあります。
ミラーテストとは、自分では確認できない位置にマークをつけ、鏡の前に誘導し、そのマークを気にするかどうかを確かめる方法です。
マークを気にする場合は、鏡に映った姿を自分と認識していることになります。
反対に、マークを気にしない場合は鏡に映った姿を仲間や敵と認識していることになります。
ミラーテストは元来、高等動物(チンパンジーやイルカなど)のみがパスすると考えられていましたが、現在ではそれ以外の多くの種、さらには魚までもがパスすることがわかっています。
ただ、ミラーテストにはさまざまな疑問もあります。
例えば、魚などがパスするのも、本当に自己として認識しているのか、反射的に行動しているだけなのかや視覚にあまり頼らない種に対して視覚重視のミラーテストは意味あるのかなどです。
現在考えられている、ミラーテストをパスするかどうかの基準はその個体が社会的生活を営んでいるかどうかです。
ミラーテストをパスする種は基本的に社会的ですが、孤独で育ったチンパンジーはミラーテストに失敗することがわかっています。
ここから、自己認識には他者が必要という予測が立ちますが、それを証明するためにはこれからの研究を待たなければなりません。
参考文献;
Kohda M, Hotta T, Takeyama T, Awata S, Tanaka H, Asai J-y, et al. (2019) If a fish can pass the mark test, what are the implications for consciousness and self-awareness testing in animals? PLoS Biol 17(2): e3000021. https://doi. org/10.1371/journal.pbio.3000021
Gallup, G. G. (1970).Chimpanzees: Self-Recognition. Science, 167(3914), 86–87.doi:10.1126/science.167.3914.86