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【裁判レポ】四代目三遊亭圓歌パワハラ裁判・証人尋問

 こんにちは!家刑ジゴロでございます。
 今年の夏、メチャメチャ暑かったですね。
 我が家はエアコンが全く効かず、昼間とか温度計が30度越えて、何度も熱中症になりました。
 おまけにアトピーが大爆発しているので痒くて痒くて・・・今も痒い中この原稿を書いている最中であります。

 さて。
 先日2023年10月16日に東京地裁で、落語家の三遊亭圓歌(当代は四代目)師匠がお弟子さんに長年パワハラ・暴力を加えたということでそのお弟子さんである三遊亭天歌(当時。今は吉原朝馬師匠の門下で「吉原馬雀(よしわら・ばじゃく)」さんとして精進されているそうです)さんから訴えられていた裁判(令和4年(ワ)26763号 損害賠償請求事件・反訴:令和5年(ワ)3346号 損害賠償請求事件)の期日だったので傍聴に行ってまいりました!!
 初回期日以後、ウェブ会議方式での「弁論準備手続き」という非公開期日で行っていたので、公開期日は2回目なのですが、上記の弁論準備期日が何度か行われているので、原告の馬雀さんがおっしゃるには「実質9回目の期日」だったそうですね。

今回の期日の内容は・・・証人尋問です!!

 刑事裁判では尋問は必ずと言っていいほどやりますが、民事はレアだそうです。
 民事裁判専門ウォッチャーの山口三尊さんが仰るには、「期日に出されて書面で争点に対する言い分が出し尽くされるのが殆どで、尋問をやるのはめったにある話じゃないヨ」(意訳)とのこと。

 しかし、この動画を拝聴してくだされば分かりますが、被告からの答弁書がかなり凄いものであったり、馬雀さんのブログでの報告でのこと、裁判の当事者の属性を考えたら、「これは見に行くしかあんめぇ!!」ということで、夫婦で傍聴に行ってまいりました。

 当日の報告は翌日に原告の馬雀さんがブログで報告されているので「当事者の声」としてご紹介いたします。
(注:リンク切れてました(2023/10/18 21:43:33)
(再アナウンス:どうも手違いでエントリ消えたらしく、再アップされましたので下記リンクよりお読みください。)

 実は初夏にこの裁判の資料を閲覧しておりましたんですわ。

 裁判資料の閲覧は誰でもできます。(民事のみ)
 東京地裁ですと、14階に資料閲覧室がありますので、そちらに赴いて、申請書に見たい事件番号、担当している民事部、原告と被告の名前(芸名ではなく、本名です。)閲覧したい部分(どこかわからない場合は「全部」で大丈夫です)閲覧の目的(私の場合、しょっちゅう資料として色んな裁判記録を閲覧するので「調査・研究のため」で通しています)そして、自分の名前(印鑑必要なのでもってきてください!!あと、本人確認するので身分証明書も必須!!)と住所を書き、閲覧手数料に150円の収入印紙がかかりますので、事前に郵便局で購入するか、東京地裁だと地下一階に郵便局があるので、そこか同じ地下一階のファミマであらかじめ購入して用意しましょう。印紙は資料を渡されるときに事務員のおじさまにお渡しして申請書に貼ります。

この事件ですと、
事件番号:令和4年(ワ)26763 民事37部合議A
原告:井上雄策
被告:野間賢

と所定のところに記載します。
何か一項目でも記載が漏れたり、必要事項にわからない部分がある、書いた文字が汚くて読めないなどとなったら、事務員に怒られます。

 先に閲覧していて思ったことは、被告から出される答弁書も、準備書面も、何もかも、「法律論をまったく述べていないな」という印象しかなかったです。
 確かに、このことに限らず、民事裁判で扱われる事件の始まりは感情での争いです。
 しかし、そのもめごとが裁判所に裁判として提起されたからには、「感情の争い」ではなくなり、「いろんなトラブル」は「不法行為」として扱われることなどから、「法律上での争い」に変わるのです。
 被告代理人の弁護士さんはかなりのベテランの方と見受けましたが、ならば、そのことは日々の業務で当たり前に対処するのが弁護士として至極当たり前ところであるのが、被告の感情をそのまま伝書鳩の如く書面で出す有様に正直「本当に弁護士が書いた書面かよ」とこの書面を見た人誰もが思うのではないかと思いました。
 もうなんというか、「その言葉をここで出してくるかよ普通!?」というものが多すぎて。
 
 これから法曹職を目指す方、弁護士になりたての人なら、誰もが1度は教えられたであろう「弁護士は5者であれ」という教えがありますのでご紹介しますね。

①学者
法的知識はしっかりと。(しょっちゅう法改正があるのでアプデやら何やらが必要)
②易者
クライアントから受けた相談に対し解決に向かって将来を見通す。 
『この人の言うことなら信じようかな』という信頼性を築くためにも必須。でも盲信させるのはダメ!!
③医者 
クライアントのニーズを見抜き、状況とクライアントに応じた適切な処方箋(法的な対応の仕方)を描く。 
同時に、画一的なぶっきらぼうなアドバイスをすることではなく、クライアントの不安を取るためにも痒いところに手が届くサービスを心掛ける。
④役者
裁判や、記者会見などで、クライアントの思いを代弁するものとして演じるエンターテイナー要素。
クライアントを勇気づけるためにも必要だし、
自らの不安をクライアントに悟られないためにも必要。
⑤芸者
『卑屈になれ』『妾になれ』というのではなく、弁護士はボランティアでもないれっきとしたプロのお仕事。
ある種のサービス業的要素もあるので、仕事を通してクライアントにまずは喜んでもらう。
 同時に、一人の社会人としてのマナーも大切。でないとあとで懲戒請求食らっちゃうからね。

大変申し訳ないですが、「この被告代理人弁護士は5者のどれにも入らないな」と思いました。単なる伝書鳩としか思えなくて。

あ、これは民法で言うところの(何条だっけ?)「使者」になりますネ(*^^*)

 では、実際この尋問はどうだったのか?という話になるんですけど、終わった後に原告代理人弁護士のひとりの先生がおっしゃったように、

「う〜ん、書面の内容と全く変わらない答弁でしたね〜」

 この一言・・・いや、これでも結構控えめにおっしゃられてましたが、実際はものすごかったです。

 どのくらいのものかとぶっきらぼうですが、かつ、わかりやすく巷のもので例えるのなら、
「ポケモンカードゲームのン10万円は余裕で取引され、強盗が好んで盗んでいくようなクラスの超レアカードに匹敵する法廷」
というような内容の裁判でした。

 原告の馬雀さんに関しては、すごく頑張られて、ちゃんとした答弁になっていたと思います。
 一方。被告の圓歌師匠は「令和の爆笑王」という異名をお持ちだそうですが、
 まさか法廷で落語をやっちまったとは!!というような答弁でした。

 裁判所からの帰路、某所の喫煙所でタバコふかしながら振り返りましたが(生粋のヘビスモです)、裁判所での答弁のお作法をご存じないのか、友達でもあり大親友の代理人弁護士さんからのレクチャーはなかったのか?

 それとも、まさかだとは思いますが、長年噺家として活躍されているだけあり、ご自分が率先して話せると思う場はすべて高座の舞台に見えてしまうのか?だとしたら職業病ですよこれ。(職業病の怖さはダンナといい、俺自身通して知ってますし)
 そんなことを考えつつも、数々の名言に思い出し笑いをしてその場に崩れ落ちそうになりました。

 とはいうものの、「こういうことになるんだろうな」ということは織り込み済みでした。
 しかしですね。
 実際に答弁で発言した内容はそのはるかナナメ上ぶっちぎりすぎてしまって、法廷だから声出して笑ったら裁判長より「退廷してください」と言われてしまうので、声殺して笑いました。時にはメモを取っていたノートで顔隠すほどでした。
 が、途中でとんでもない爆弾発言がありましたので、もうその時は「もうアカーン!!」となり、一度離席し、廊下で声殺してひとしきり大爆笑してから席に戻りました。(サムネの画像はイラストレーターの卵の桃李楓(Xアカウント @moge2club)さんによるものです)
 笑っていい所でしたら場内大爆笑が絶えなかったと思います

 でも、その笑いはあくまでも、
 師匠が落語の高座で演ずる噺がウケた時の笑いとは全く違って。
 「何を言っているんだこの人?」といった感じの冷笑が、冷笑で済まずに大爆笑となって出て来るんじゃないかなと思います。

 この時のやり取りは11月中旬には全部文字起こしの記録が出て来るそうなので、東京地裁に赴いて閲覧されると「ジゴロの言うことはそういうことか」と少しでもご理解いただけるかなと思います。

 後で聞いた話によると、裁判官の中のお一人も笑いをこらえるのに必死で、最後、ご自分から被告への質問に返ってきた答えで「ぷっ。くっくっくっく…あ、すみません」と笑ってました。

 一番驚いたのは、被告は「原告の馬雀が自身のパワハラ(とされている行為)をマスコミに売ったことが私のみならず先代の師匠(三代目三遊亭圓歌師匠)の名誉迄棄損したので三千万円払え!!(原告の訴額は三百万円です)」と主張し、掲載されたマスコミ記事を証拠として反訴を提起されているのですが、原告代理人に「どの部分が名誉棄損に当たるんですか?」という質問に対し被告は、

「私は記事を読んでいない!!ナナメ読みしただけだ!!名誉棄損に当たるのは全部だ!!」
とひとしきりに何度も顔を真っ赤にして発言されてました。

 これを聞いた山口三尊さんは
「だったらこの反訴は訴権の濫用なので、再反訴もできるのでは?」
とおっしゃってましたが…。

 今まで数々の弟子にしたことが「今の時代ではマジでやべぇこと」という認識がない以上、「そのこと(本人が認識していない一連のパワハラや暴行行為)をマスコミに大々的に公表されたこと」が気に入らんから反訴ということに行きついたのかな・・・という印象ですが、
実は被告は初めの頃の期日で「反訴はしない」と主張されているんですね。

「本当は反訴する気はなかったんです。でも弁護士と話し合って…」
と実際に答弁されています。言っちゃったネ。

 これ・・・弁護士やばくね?やっちまったよ・・・と思いましたね。

 被告の質問に立った原告代理人弁護士さん、激怒されてましたね…。

「あのですね、誠実に事実を振り返ってもらいたいんだけど」
「結構です、日本語ではそういう風に理解しませんので」

仕舞いには
「駄目だ貴方の答えは」
とおっしゃってました。

 他にもまだ書きたいんですけど、まだ結審さえしていないので、細かい意見は省略させていただきます。

 次回期日は、今回の尋問の文字起こしを受けての最終書面をお互いに出しての口頭弁論期日だそうで、おそらくこれで結審、判決は来年1~2月なのではないかと思われます。
 12月4日(月)13:10~421号法廷です。


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