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【天號星 初見&2回目時点メモ】お伊勢への愛、他の人の名前と模様の話もする

見た〜?!?!?!?!?!?!まだの人もいると思う、ネタバレしまくりなので未見の人今すぐ引き返してください。

新感線の2023秋公演「天號星」
もっかい聞いとくね?見た〜?!?!?!?!?!?
見た人しか残ってないね、よし、話しちゃうヨォ

①夜叉袢纏とかいうアイテム、ズルいやろ

あのさあ!!!!!お伊勢さん、まっっっじでかっこよくない?!?!
引導屋の夜叉袢纏のお伊勢さんね、そして藤壺屋の女将さんね!

まず何が刺さったかって、「夜叉袢纏」というアイテム。なあ、みんな見たかい?!あの後ろに書いてある絵をヨォ!!!!

東京国立博物館デジタルアーカイブスより

これね!!!
きらきらひかる真っ黒な生地に、正面には青い人魂が4つ(?)、そんで背中に、笑いはんにゃ。
ハァ〜!!!!!!!!だれですか!!!!それ!!!!誰が決めたの!!!!!!!!竹田団吾さん?あなたなの?ありがとう、愛してる、新感線ってそういうとこが信頼できる、そこがスキッ!!!!!!!!

はい。何を興奮してるかちゃんと喋るので聞いてもらっていいですか?すいませんね、取り乱しちゃって。
えっと。そもそも「夜叉半纏」の「夜叉」ってなぁに、というとね、「鬼神」全般を指すらしい。すごい形相で、人とか食っちゃうらしい。怖いね。でも護法善神って言って、仏法守護の神としても知られているので、「悪人に引導を渡す殺し屋」にはピッタリな感じするよナ〜

んで、この絵よ!まさしく鬼神だよ〜こわすぎるよ、子どもの首を引っ掴んで今まさに食ってんだよ。断面グロすぎるもんね、柘榴みたいになってるもんね。
こちらは葛飾北斎が70代の頃(富嶽三十六景とかと同じくらい、わりとお年だけど最盛期!)に描いて出版されたらしい、『百物語」という怪談をテーマにしたシリーズの一図で、「笑ひはんにゃ」とタイトルされた絵。

まあ「般若」というと「般若の面」に知られるような、恐ろしい形相の鬼女、という意味でよく使われてるよね。いやほんとまさに、怖すぎる顔で笑ってる、女の、鬼。
なんだけども!「般若」という言葉のそもそもの仏教的意味は「知恵」なんですよ。本質を見通す力。引導屋じゃん...引導屋として存在してる時だけこれ着るのカッコよすぎじゃん...

それでさあ...あの...北斎の「笑ひはんにゃ」について言わせてもらうとさ...
・子どもを食べる鬼女
・ザクロのような断面の表現
などからね、「鬼子母神」とのつながりが...指摘されてるんですな...京極夏彦先生とかも...そのように書いてらっしゃったりするんですな...

「鬼子母神」てね、夜叉の神様の妻で、500人とか1000人とか10000人とか(?????)子どもを産んだと言われてるんだけど、まあ普通こんなに子は産めんし育てられんわな。そんなわけで、他人の子どもを食べて栄養にしていたらしく。どういう理屈?子を取り込んで子として排出してるんか?まあそれで、恐れられてたんだってさ。
で、ある時お釈迦様が見かねて、鬼子母神ちゃんの末っ子を隠しちゃったんだって。そしたら、鬼子母神はめちゃくちゃ取り乱したそうで、「たくさん子供がいてもそんなに錯乱するのに、人間が可愛がってる、その人にとっては1人きりの子供を食うのってどうなん?」って釈迦に諭されて、「子を失う」ことの重さを知ったらしい。そんだけ子どもいても我が子全員のこと愛してたん?すごいよな。
それで改心して「子供」という存在や「お産」を守る神様になったそうな。

像容としては天女みたいな見た目+吉祥果を右手に持つ、なんだけど、中国を経由した時に「吉祥果」が何かわかんなくてザクロになっちゃったらしい。日本の俗説だと、柘榴は人肉の味で子供を食べるのを我慢させるために持たせた、みたいなのもあるけど、嘘っぱちのもよう。

でーーーーーーさ。
「母」なんですよね。自らの手を汚しながらも、子を愛しく思い、守る、母なのよ。お伊勢さんは。ねえて、鬼子母神すぎんかーーーー!!!!!

ウッウッ、無理になってきた。
夜叉袢纏そのものが母を表してるとしたら、最後いぶきちゃんが夜叉袢纏を着てお伊勢さんが最後に引き受けた仕事を片付けに行き、戻ってきて袢纏をお伊勢さんに掛けてあげて返すのってさ...そういう意味ですかね...泣けてきちゃった。

ちょとお伊勢さんと夜叉袢纏について振り返ろ?初めて袢纏を裏返して着るところ。一幕二景かな。
あ、待って?!いまさあ、戯曲本見てみたら

持ってきていた夜叉の紋様の入った袢纏をお伊勢にかける

論創社 中島かずき「天號星」初版第1刷 P21

って書いてあるが、、、?
あーーーそりゃそうだけどリバーシブルなのってさ〜「創り上げてく」段階で決まったんだよなあ、そうだよなあ当たり前、でもそこに思いを馳せるとなんか!うれしく!なりませんか!

②お伊勢、来世ではおれと結婚してくれ

それは置いといて、この後、半兵衛が出てっていぶきがもどってきて。「仲間の仇を討つ」といういぶきを止めて、けれど筋を通して銀次は始末する、と言い切るところ。かーーーーっこいいのよな。この後の「わかったよおっかさん☺️」「元締め、だーろ!😠」「はい、元締め☺️」の母子のやり取り〜〜〜〜〜(この後の「父親」「半兵衛さん」「おとっつぁん」のやりとりとの対比も含めて)あまりにも睦まじくねえか、、、守りたいこの家庭。まじ好き...好きィ...

↑ここから私はもう、「母としてのお伊勢」にベタ惚れしておりましてね。そっからそういう目(どういう目?)でしか見れなくなりました。彼女がでてくるシーンを全部「母」と思って見てるとねえ、マジで泣けるのよ。あと「妻」としてもかわいすぎる。

入れ替わり銀次と半兵衛が藤壺屋の前でわやわやするシーン、「うちの旦那に手は出させないよ!」((お、奥さん、、!「惚れ直したよ」((奥さーーーーん!?「うちの旦那は大したもんなんだよ」((奥さん!!!!!!
あと初っ端のお伊勢と半兵衛のお支度の柄、シミラールックすぎん?!かわいいよ!顔や見た目が怖いのを利用するために雇ったみたいな言い方しておいて?もしかして愛し合ってんの?好き!!!!

次の場、もうみさきちゃんと話すとこだね。ここは隠し事してたとてさ、「私にとっても娘」「遠慮せず頼れ」って言った言葉に嘘はないんだろうな、この後の展開見るに。

長屋での銀半兵衛+黒刃組との戦い。「いぶきを渡すわけにはいかないよ!」ああああああ。母じゃん!母の愛ってすごいのね。
でどうなるかって与助の裏切りで絶体絶命になったときに、みさきが止めに入ってさ、そしたらみさきちゃんはキレてる銀半兵衛にぶん殴られるわけで、お伊勢はそれを止めようとして刺されるわけじゃん。

最後もさ、結局、みさきちゃんを、2人目の娘を庇って斬られるじゃない。
でね、たぶんこの時しか着てないお衣装があるの。
緑の、ストライプ柄なんだけど、線がうねうねと波打っててね、まっすぐあろうとしてるけどもう真っ直ぐにはいられないような線。

③一回、柄について考えた話していい?

このお芝居ね、いい人たちはみんな直線的な柄を着てるように思う。セットもすごく直線的で、全体が障子みたいな四角い木枠だらけ。
後半の、長屋がメインのシーンとかになってくるとさ、まず長屋そのものが直方体だし、壁面も木枠で四角く区切られてるし、井戸とかもまるで良さそうなのに四角だし、物干し竿とかそこにかかる褌とか、とにかく視覚的に四角形が多い。

「個人的な戦い」「規模の小さいもの」っていう、かずき氏の言葉から推測するに、地に足のついた日常、が、直線で表されてるのかなあってなんとなく思った。

一方で、神下ろしの人たちは雲っぽい丸みを帯びた柄の装飾物を直線的な着物の上からつけてるんだよね。この方達の直線はなんだか斜めなことが多いけど。みさきとかおこうさんとか。あとは月とか太陽とか。非日常、超常的、みたいなこと?
そう考えると二幕の半銀次(太一)が直線的な柄の上に何か複雑な丸っぽい柄の異国風な羽織着てるのも納得感あるというかさ。

んで、悪人ほど柄が複雑に絡み合う。
お金に汚い人たちは唐草で、人殺しな奴らは鎖、って感じな気がする。こくりちゃんがさ、出て行く時だけ持ち物含めて唐草っぽい柄が多くなってたの、泥棒みたいでかわいかったね。

二幕頭の銀半兵衛(古田)がさ、外に着てる袢纏も、中にきてるえんじのお着物の表側も直線的な柄なのに、裾を捲ると裏地が見えて、真っ青な地に金の大きな鎖が渦巻いてるの、めちゃ興奮した。ガワは半兵衛で、中身は銀次で。それでさあ?!
だってさ、この着物の時、入れ替わりが元に戻る場面があるよね???でさ、半兵衛の中に、半兵衛が入ってるときは、裾が捲れるような動きってしないんだよ!!!鎖が見え隠れするのって、半兵衛の中に銀次が入ってる時だけなんだ〜うわ〜〜〜〜!アーーーーーン😭😭😭

話を戻すと、他の、町の人たちが直線的な柄を着てる中で、このシーンでお伊勢さんが着てる細く歪んだ線のストライプ柄、なんというか、なんというか。もう、魂の一部分はこの世にはないのかも、と思った。

④2人の「母」の話

半兵衛はみさきのこともいぶきのことも「偽でも義理でも本物の娘」って言うけど、お伊勢は「向こうも子連れ、こっちも子連れ、お互い様」って言うんだよね。あれってつまりは「半兵衛さんはうちの連れ子を本当の娘として愛してくれている、だから私も彼の娘を本当の娘として愛するよ」という宣言だと思うんだ。本当に家族なんだなあの一家は、懐の深い、大きな家族。その中心いるのが今の太一さんにめちゃくちゃ似合っていて、中島かずきって偉大だなと思いました。

んで「お伊勢」の話に戻るけど。
私が「お伊勢さん」って言われて想起するの、完全に「伊勢神宮」なんすよ。どすか?
伊勢神宮といえばさ〜天照大御神じゃんか。太陽。光。慈愛。真実。似合う、よね...。

天號星にはもう1人母がいますけど。みさきの母、「弁天」ね。昔の名を「お縁」。
これは私の深読み癖なんですが、「お伊勢」ときて「お縁」と言われたら、「縁結び」の「縁」?「出雲」ですか?と思ってしまう。なんとなく、この2人って対というか、鏡のような気がしていて。

・半兵衛の今の妻⇔昔の妻
・それぞれに1人ずつ、半兵衛との間に生まれたのではないが、半兵衛が「娘」と呼ぶ存在がいる
・「私と身内に害すると祟るぞえ」⇔「悪人には自らの手で引導を渡す」

みたいな。さ。

伊勢といえば八咫鏡だし、入れ替わりの直後に半銀次に鏡を見せるのはお縁だし。なんかさ。なんとなく。ね。

出雲だとすると祀られるのは大国主命になるけど、大国主命って各地に恋愛の伝承があるんだよね。「渡り鳥」でひと所に止まれなくて、「ひと夏の冒険?」しちゃうお縁ちゃん、なんとなく似てるなって。

「弁天」は?水の神様、「美しい女性」を意味する言葉、芸術に知恵に長寿に富、なんでもありの七福神。夜叉とか鬼子母神と対なのかな、「鬼女」と「美女」?わかんない。でもたしかに、我が子の「守り方」は対なような気もするね、「離れて暮らそう」とかさ。

⑤その他もろもろ、ダダ漏れの思考

あとは〜名前で言うと〜
・白浜屋真砂郎☜「浜の真砂」感。無限なのは、何?おふざけぢから?
(10.05追記:パンフに金儲けの種は尽きまじって書いてたァ!)
・烏珠一心☜「黒い玉」だって。ふふ、黒い珠。ええ声で言ってほしいですね、「くろいたま」って。
・濡れ燕の竜玄☜濡れ燕、は春の季語らしいわ。梅雨の時期に雨の中を飛ぶ燕だって。「艶のある黒」だし、「燕が軒先に来る家は繁盛する」らしい。金だ金。
・金杉☜かねすぎる
・藤壺屋☜なんで藤壺なの!!!!教えて!!!!どうしよう、宿主の体に食い込んでサバイブするから「フジツボ」とかだったら。

サバイブで思い出したけど、「オマエの中を、サバイブしてやる」ってコピーさあ。劇中に出てこないけど、一幕終わりも二幕ラストもこれでしかなさすぎない???キャッチコピーうますぎ大王????なに???

やばい、1日の感想がこんな頭の悪そうな終わりでいいのか?????????いいか。

おわり。

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