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【女って怖い】さゆりさんの歌唱を見て天城越えの歌詞を見つめ直した話

みなさんこんばんは、地獄です。

はあ、このノートを書き始めるまでに2ヶ月、そして書き終えるのに半年以上かかってしまいました。。まったく、、、。前身を殺したがゆえ、もはや書きかけのまま手をつけずに終わるかとも思ったのですけれど、ひと月ほど前にね、さゆりさんの50周年のリサイタルに行きまして!!!!ついに「生・天城越え」を聴きました、、、なんて幸せ。この経験によって、このノートのまとめ方が見えたというか、勢いがついたので書いちゃいます💪

何を書きたいかというとね、まぁ、事の始まりは松本清張の天城越えを読んだことなんです。
これね、とある少年が天城越えの道中を共にした遊女へ抱いた憧れと、その遊女が路銀稼ぎに一夜を過ごした大男にまつわる殺人事件の話なんですけど、いや?!これ本当に原作?!だとしたら「天城越え」は立ちで見たい!!!!って内容なんですね。(←このへんは前身が書いた文章ですね。この文章書いたこと忘れてたけど、前身が死ぬ前にちょうど旧推しの天城越えを立ちで見ていました、すげえ。よかったね。余談。)

でも調べてみたら、松本清張は関係ないそうで。作詞の吉岡治様のこんなインタビューが見つかりましたっ!

宗山流胡蝶 第一談 【作詞家:故・吉岡治さん】
※直リンクが機能していなかったので、、、!
メニュー > をどり日記 > よもやま対談 > 第一談
で全文が見られます。

その中で、こういうヤバすぎなことが書いてあるんですよぅ!ねえ!見て!

吉岡)(〜略〜)皆が、[不倫]を書いてくれって。それで石川さゆりに書く事になったんです。
胡蝶)それが[天城越え]なんですか、
吉岡)あれは実は三人いるんです。本妻と愛人と男と。愛人と男がいる処に本妻が殴り込みをかける、
胡蝶)……、[絶句]
吉岡)そこで『あなたを殺していいですか、』という言葉が出てくる。そして愛人は逃げ出してしまう。
胡蝶)……、[絶句]
吉岡)喧嘩していたはずの二人は仲直りして『あなたと越えたい天城越え、』なんです。
宗山流胡蝶 第一談 【作詞家:故・吉岡治さん】 より

登場人物、本妻、愛人、男、の3人だった...え...?それはさ、知らんかった、よね??え、ど??みんな知ってたん???
そんでそうなってくると歌詞をさあ、見ていこうって話にさあ、なってくるよね、、?

👆ここまでで、このノートは4ヶ月以上放置されておりました。なんというか。解釈が。決まらなくて。どこが本妻で、どこが愛人か、考えても考えても納得いかなかったんです。

さて、話は冒頭に戻りますが、2022/10/29にNHKホールでさゆりさんの50周年リサイタルがありました。そこでの「天城越え」のパフォーマンスを見て!私はこれの続きを書く決意をしました。

何があったかと言いますとね、(私の記憶にある限りでは)さゆりさんが、1番・2番・3番で体の向きを変えて歌ってたんです。

1番と3番は左回りにしか動かないし上手向いてて、2番は右回りで下手向いてて。それって、2番だけ愛人なのでは?となったのでございます。ぎゃん。
その解釈で一回歌詞みてもいいですか?いいよ!ありがとう!

隠しきれない移り香が
いつしかあなたに浸みついた
誰かに盗られるくらいなら
あなたを殺していいですか

寝乱れて隠れ宿
九十九折り 浄蓮の滝

舞い上がり 揺れ落ちる 肩の向こうに
あなた……山が燃える
戻れなくてももういいの
くらくら燃える火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え


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口を開けば別れると
刺さったまんまの割れ硝子
ふたりで居たって寒いけど
嘘でも抱かれりゃあたたかい

わさび沢 隠れ径
小夜時雨 寒天橋

恨んでも恨んでも 躯うらはら
あなた......山が燃える
戻れなくてももういいの
くらくら燃える地を這って
あなたと越えたい 天城越え

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走り水 迷い恋
風の群れ 天城隧道

恨んでも恨んでも 躯うらはら
あなた......山が燃える
戻れなくてももういいの
くらくら燃える地を這って
あなたと越えたい 天城越え

え〜どう〜?!?!?!こんなんさあ?!?!?!男カスすぎて2人泣かせてない?!妻にも愛人にもわりと酷いことしてない?!?!うわぁ......。

そしてね、もう一つ言及しておきたいのが、天城越えって、Aメロから始まってサビが来て、♪天城〜越〜え〜ってなるひと括りがまるでまるごと「山登り」じゃない?ってお話。メロディの音程の推移もだし、さゆりさんの表現もというか、さ。個人的に採用してるこの解釈が、この後つらつら書くことにかなり影響してるので先に述べておきましょう🗣

さてさて。順番に見ていきましょ。
まずは1番。本妻な気がする部分です。

ここ、めちゃくちゃ思い詰めたような、囁くような歌いかたなんですよね。想像掻き立てられますね...。
「あなた」からする誰か別の女の香りの話をしてて、この声の小ささ。まだクズの不倫夫は夫婦のお家にいるんじゃないでしょうか。不倫相手と天城に出かける前日の夜とかさ。

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静かな夜更け。いつもより早く寝室へ行った夫が、明日誰と出かけるのか、私は知っている。私に嘘をついて別の女と温泉旅行にしけこもうというのだ。
ふつふつと心に湧き上がってくるのは激しい独占欲。愛する夫が他の誰かのものになるくらいなら、この手で殺して永遠に自分のものにしてしまいたい...。抑えきれない醜い感情は、いつの間にか言葉となって口をついた。
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ということですか?!?!?!
ねえっっっ。まじでつらい。裏切られてるのわかってるのに、おかしいくらい好きなんだよな、わかります。共感しました。
別れるという選択肢が見えてすらいない感じがもう、もう。リアルすぎる。そしてこういう女は浮気されやすいよね。はい...。泣いちゃいですね。

あ〜。追いかけたんだねきっと。今朝、何でもない風を装って出かけた愛する人。その彼と一緒に、憎たらしいあの女が歩いたであろう道をさあ、恨めしい恨めしいと思いながら歩くんだ、つらくてつらくて死にたいね。殺してやりたいね。あの女を殺したって気が済む話ではないよね、彼を殺して自分も死んで、彼を永久に自分だけのものにしたいね。この苦しみ、とても共感できるのでめちゃくちゃ刺さります。ね。

肩の向こうに、って、「あなた」の肩なのかな。もう追いかける2人の背中が見えるところまで来たのかしら。

赤く色づく紅葉を炎に見立てた人ってめちゃくちゃ詩人だよなあ、と思う。枯れ落ちる前の最後の輝きですよ、命を燃やし尽くしてんすよ。急に言葉に熱がこもって僅かなプロメアみが出てしまったけど。無理心中とか考えてそうなこの女性も、自分の中に燃える激しい怒りの炎で身を焼き尽くそうとしてるんだよな。心情と風景の描写が重なるなあっっっ。

さて、side愛人、ですけども。
「口を開けば別れると」って、今まで"正妻が夫に"「別れる」って言われてるんだと思ってた。けど。これが愛人の目線だとしたら、、、?
夫、愛人が自分に惚れてるのをいいことに、別れるぞって脅して自分の言うこと聞かせてない?愛人も愛人でわりと辛い立場なの?もしくは「ほんとに愛してるよ、正妻とは別れるから一緒になろうな...」とか抜かしてる?どっち???どっちにしろ辞めちまいなそんなカスな男は!!!!!

心に刺が刺さったまんま、自分が2番目なこと、騙されてることを自覚しながら、体を重ねることを愛って意図的に勘違いして生きてるんだなあ。愚かでかわいい女。

冬の気配が濃くなってきましたね。4つの言葉から、2人が一緒に過ごした1日を感じる。朝の風景から夜ふけの情景に移っていくような、、、?楽しかったのかしら。思い出に残る旅だったのかな。

愛人もやっぱりこの人のことが恨めしいんだねえ。どうしたって、愛って感情は憎しみと表裏一体だね...。結局わたしは吉岡治のこういうとこが好き...ッ!!!
1番の正妻が「火をくぐり」であるのに対して、愛人は「地を這って」なの、より"なりふり構っていない"感じがしてなんとも言えないよなあ。彼を手に入れるためなら汚い手も使うんだろうね、彼女はきっと。

翻って、正妻side。
走り水って、田んぼのかんがい方法の一種らしい。収穫直前あたりにするんですって。迷い恋ってなに。迷ってる、恋、、、。恋なんだね。夫婦なのに?いや、夫の、"気の迷い"を指してる可能性もあるのかな。

風の群れって言葉、なんとなく爽やかに聞こえるのはなぜですか。もしかして、もう仲直りして夫婦で一緒に歩いているのかしら。天城のトンネルを、2人で歩いてるのかな。

そう考えると、おんなじ歌詞なのに印象がガラッと変わりますね。恨めしかったのは事実だけど、それでももう彼は私のところに戻ってきた。嬉しい、嬉しい、幸せ...!みたいな。そういうイカれた悦びを感じます😌

戻れなくても、ってどこに。なにをしたの。ちょっっと怖くない???くらくら燃える「地を這って」て、なりふり構わず取り返したことを想像してちょっとゾッとした。だってこの人、「あなたを殺して」って言ってた人だよ🌑

あなたと越えたい天城越え。愛する人と越えれたみたいで。何よりですけどね。

女って怖い!がこの曲の感想になるの、とっても納得いかないけども。わたくし、それ以外に言葉が見つかりませんことよ〜〜〜〜!!!!!!

吉岡治、あなたってどうしてそんなに女の情念とか、怖いとことか、かわいいとことか。そういう一瞬を見つけて切り取って、形にするのが上手いのかしら。創作してるんじゃなくって、夢十夜の運慶みたいに、まるでそこに埋まってる仏像を彫り出すようなさ。そういうリアリティさがあって胸が掻き乱されるよね。そこが大好きですって、今回はそんなお話でした。おしまい。

👆までだいたい4000字でしたよ!ここまで見てくれてるきみは文字大好き人間かな?最後まで読んでくれてありがとう🫶
愛をこめて 地獄より

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