停滞の七歩(パーティー券問題)
前回の更新から時が止まってしまいました。
気が付けば年の瀬ですね。
ニュースを見ていると、世間の慌ただしさとは別の慌ただしさが永田町を覆っているように感じます。
さて、今回は休眠明けにタイムリーなネタを。ということで政治資金規正法について簡単にお話していきます。
が、その前に、報道で騒がれている安倍派のキックバック問題の構図をさらりと説明していきましょう。
派閥に所属している議員がパーティー券を販売し、そのノルマを越えた分の金額を報酬として受け取っていた。
そのお金の流れを議員(事務所)側が政治資金収支報告書に記載していなかったので問題化している。
簡単に言うと上記のような構図です。
(ノルマ分のお金のみを派閥に渡して、残りは最初から自分のところで持っておく。という人もいたようですが、まぁ、概ねは上記の構図が基本のようです)
パーティー券を購入するのは個人や民間企業なので、公金がそれによって使われているというわけでもなく、ぶっちゃけた話、ノルマを越えた分を褒賞金としてキックバックするところまでは特に問題はないです。
問題は褒賞金として受け取ったお金を政治資金収支報告書に記載していなかった点にあります。
ニュースでよく聞くけど、政治資金収支報告書ってなんだ?と思った方。
少しだけお待ちください。
分かりやすくするためにちょっと寄り道して解説します。
そもそも政治家とお金のお付き合いは、
「政治家“本人”」と「お金」ではなく、
「政治家の“関係団体”」と「お金」という構図になります。
政治家本人はお金と付き合っちゃダメなんです。
これやったら一発で政治資金規正法違反です。(議員辞職に直結します)
関係団体というのは、政治団体のことです。
政治資金規正法では、政治団体の定義として、
・政党
・政治資金団体(政党が指定する資金援助団体)
・議員の後援団体
・収入が1000万を超える政治資金パーティーを開催する団体
・いわゆる政策研究団体
ざっくりと、このようなものを挙げています。
(厳密に言えば、もう少し細々したものがありますが、特に重要でもないので割愛。)
規正法では、「公職(の候補)者」(各議員や市長や知事など)に対して個人レベルでも政治団体を1つ「資金管理団体」として指定するように義務付けています。
(団体を組織させて責任ある主体として登録させた方が管理するのも楽なんでしょうね…)
この政治団体の定義の中でとても興味深いのが、最後に挙げた「政策研究団体」なんです。
政策研究団体って何ぞや?という質問に端的に答えれば、これが「派閥」です。
自民党の派閥も、ニュースでは安倍派や岸田派とだけ呼ぶ場合もありますが、これらにもそれぞれ「清和政策研究会」、「宏池会」といった正式名称があります。
(安倍派は特に名前がそれっぽいですよね苦笑)
ですので、各派閥にも「事務局」というのがあって、国会議員以外にも事務局職員が存在します。
ここでようやく政治資金収支報告書の話に戻りますと、
毎年、各政治団体の担当者は1年間のお金の流れを報告するための書類を作成します。
(公職に携わる身分として、自分に関係するお金の流れは有権者である国民にしっかりと開示しましょうね。という趣旨)
これが政治資金収支報告書であり、
翌年の3月末まで(資金管理団体や選挙区支部などは5月末まで)に総務大臣または都道府県選挙管理委員会へ提出しています。
提出された報告書は3年間、誰でも自由に閲覧可能です。(ネットで調べてみてください)
以下、少し羅列気味で恐縮ですが、記載内容の解説です。
【収入】
合計額の他に、政党交付金、個人や企業・団体からの寄付、繰越金など項目ごとに金額を明記します。
また、1人から年間5万円を超える寄付や、1回のパーティーで20万円を超える支払いを受けた場合、その人の氏名、住所、職業、額なども記載します。
1000万円以上の収入があった政治資金パーティーについては、パーティー名、開催日、開催場所、収入額などの記載が必要です。
【支出】
総額や項目別の額を記載し、1件5万円以上の支出(人件費や事務所費を除く)については、その支出を受けた人の氏名、住所、目的、金額などを記載する。
政治資金管理団体や選挙区支部などは1件1万円を超える支出(人件費を除く)について記載する。(いずれも領収書等の写しの添付が必要)
【保有資産】
預貯金残高、借入金残高(100万円を超える場合)、借入先などのほか、保有する土地および建物の所在地、面積、取得日、取得価格を記載。
取得額が100万円を超える動産については、品目、数量、取得日、取得価格を記載。
簡単に言うと、お金周りは丸裸です。笑
(報道でも、松野前官房長官の住宅価格や口座残高、ローン残高も公表されていましたからね…)
本来は丸裸にならないといけない類の情報の筈なのに、なっていない。
それが今回のキックバック事件の問題点なのです。
発端は、ある大学教授がしんぶん赤旗(共産党の機関紙)の記事を受けて調査したうえでの告発(第三者が犯罪の事実を捜査当局へ訴える制度のこと)でした。
パーティーに出た(パーティー券を買った)団体の収支報告書には支出が記載されているのに、売った側の団体(政治家側)には収入が記載されていなかったそうな。
(規正法の立法者たちの思惑通りですよね。これが公開情報化した強さです)
他にも調べたところ、幾つも出てきたと。
それで突いてみたらご覧のありさまなわけです。
まぁ、議員側もキックバックでもらったお金をポケットに入れて遊びまくるという人はあまりいないようで、人件費や活動費など日々の真面目な支出に充てたというのが大勢なようです。
(だから見逃されるというわけではありませんが…)
特捜部も誰か議員を捕まえたいと意気込んでいるようですが、師走の大攻防や如何に?
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