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『通販生活問題』私はこう見る 朝日新聞になれなかった業界人間の抵抗

通販生活ってリーガル担当いないの?

今さら申し上げるまでもなく「通販生活」(2023冬号)のウクライナ侵攻ポエムは批判殺到です。前回記事をお読み頂けるとより理解が深まると思います。というかnoteを読む層の方はおおかたご存知だと思いますが。

先鋭化のあとしまつ『通販生活』のアジテーション生活はいつまで続く?

その後、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使閣下が同社・斎藤憶良社長から送られた「不幸の手紙」? じゃなくて謝罪文めいたものをXに投稿しました。

こうした場合、敬称に「閣下」をつけるとかこの際、大目に見てあげてください。面識がない相手に対する謝罪文でいきなり「今さら申し上げるまでもなく」という書き出しはなかなか思い浮かばないです。

普通、こうした場合は顧問弁護士や法務管理担当のチェックを受けそうなもの。ところが社長が書いたものをまんま送った可能性もありますね。

反権力、反体制って楽なんです

本件について国際問題の専門家から一般ユーザーまでめいめいに意見を投稿して半ば大喜利になっています。

政府批判でも鼻高々といった通販生活が、ウクライナ大使館の抗議に青ざめるという。どうでしょう。いかにこれまで安全地帯からモノを言ってきたかの表れですよ。

政府、自民、原発、こういう対象って批判が楽な上に「間」が持つんです。ロートルの芸能人が反自民、反安倍に向かったのも隙間が埋められるから。通販生活が専門誌でもないのに政治ネタに力を注いだのはマーケティング上の理由と同時に編集が楽だったと思います。

ウチだって朝日新聞になりたい!

それにしても下手な作文でした。「つたない表現で誤解を招いてしまった」と同社自ら述べていますが、本当に下手。反戦作文なんてどうやっても「キラキラ」な内容になるのにこれで炎上するって相当、文章スキルが欠如しています。

しかし昨今、文章のプロのはずの新聞社ですらこのレベルのポエム記事が掲載されるのを見かけます。文面から執筆者自身が「輝きたい」そして「スマートに報道業務」に関わりたいという意思を感じます。

その先に朝日新聞への羨望とコンプレックスがないでしょうか。

福島原発事故を取材した朝日新聞の連載記事「プロメテウスの罠」はデマ情報が含まれたことで批判を浴びました。しかしこのタイトル名は私は秀逸だと思いました。毎日、東京新聞など各左派メディアでは到底、思いつかないでしょう。

特に脱原発を鮮明にする社の記者たちにとって他紙とはいえ心酔せざるをえなかったと思います。

ただ悲しいかな朝日新聞以外のメディアがやると、感情と力が入り過ぎてしまい「格調」や「品性」が消えてしまいます(最近の朝日も表現がチープになりましたが)。その結果、単に強い言葉を使った反体制芸になってしまうのかと。

私は「通販生活」編集部にも同様の思いがあったと推察します。私たちも朝日新聞のように思われたい、リベラル=知的階層の先端を行きたい、そんな強い願いがあの表紙だと感じました。

でもなければなかなかこの境地にはたどり着けないですよ。
表紙に「殺されろ、殺されろ、殺されろ」ってレトリックというよりも私には「焦燥」のように感じました。

あるいはシャウトですかね。

「早く朝日になりたい」っていう業界人間の。


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