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また原作殺し!テレビ朝日版『ブラック・ジャック』がド滑り確実

観なくても分かる駄作感

テレビ朝日版ドラマ『ブラックジャック』が6月30日(日)21時から放送されるそうで、オールドファンがどこから突っ込もうかと腕まくりしていそうな…。

テレビ局はよほどアイデアがないのでしょうか。安直な原作付きのドラマ化は『セクシー田中さん』のような悲劇を生みました。オリジナル設定という名の無能感、特定事務所の俳優優先、私が一番の脚本家、強引な恋愛要素、そこにあるのは原作に対するリスペクトのなさですね。

本作はご存知、漫画の神様の故・手塚治虫先生の代表作。少年チャンピン黄金期の看板作品ですね。同誌の壁村耐三編集長が低迷する手塚氏を見て「死に水をとってやる」と連載させました。手塚復権の作品であり、思い入れが深いファンも多いでしょうね。

それから本作が生命、倫理を問う社会派作として扱われてきたこともポイントです。連載当時は怪奇ドラマ枠だったのが、無免許医のヒューマンドラマに変質しました。公立図書館や学校が扱うのも教養書や教育図書の意味を持つからでしょう。

さて主人公のブラックジャック役は高橋一生さん。NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』は適役でした。PR動画を見る限りは割とマッチしています。

左はピノコだって。

過去の実写作品と比べるとどうでしょう。

1977年の宍戸錠版映画。

1981年の加山雄三版ドラマ

過去に実写化されており名優さんがブラックジャックを演じています。現代ではほぼ封印作品なので評価は言わずもがなですね。

キリコ役は女優さんを起用してきた

今回、ガチファン勢からブーイングが起きそうなのがドクター・キリコ役ですね。軍医の経験から苦痛を伴わない安楽死専門の医師でブラックジャックと対立します。その風体通り「死に神の化身」という異名もありますが、キリコ自身にも生命、倫理観を持ちます。方法論が異なるだけであってキリコにも医師としてのヒューマニズムがあります。そんなキャラクター。

新ドラマではブラックジャックのライバルとしています。うーん「ライバル」なのかなあ。原作では対立しつつも時に協力し認め合うエピソードがありました。

これ女優の石橋静河さんが演じます。これもテレビ局らしい発想で意外性を持たせるための起用でしょう。あるいはブラックジャックとキリコの恋愛要素に含みを持たせた可能性もあります。

PR動画にありました。まあなんというか。

妖怪人間知っとるケやん。ひょうきん族やん。

無理やりぶっこんできた雰囲気が漂うキリコ役です。漫画家の山田玲司さんも自身のYOUTUBEでドクターキリコ役を取り上げていました。プロの眼から見ても悩ましい人選なのでしょう。

動画の中で仮に高橋一生版ドラマが大コケしても原作が再評価され売り上げにつながるので管理会社(手塚プロダクション)としてはメリットがあるという話をされていました。

しかし日曜日21時という時間帯のドラマは一体、どういう層が視るのでしょう。ガチファンのツッコミ勢はともかくとして、純粋な視聴者はブラックジャックファンではなく、高橋一生さんや石橋静河さんのファンではないでしょうか。改めてブラックジャックを読むという興味に駆り立てられるとは思えません。まだ視てないのに失礼だけど視聴者の関心を喚起できるほど完成度が高いドラマではないでしょうね。



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