【私訳】B.R.アンベードカル『ブッダとそのダンマ』をできるだけ日常的な日本語で(1)

第1部:シッダールタ・ゴータマ―ボディサットヴァがブッダとなるまで

第1部、第1章―生誕から出家まで

  1. 彼のクラ(家系)-- 2. 彼の祖先 -- 3. 出生 -- 4. アシタによる訪問 -- 5. マハーマーヤーの死 -- 6. 幼年期と教育 -- 7. 早期の特徴 -- 8. 結婚 -- 9. 父の息子を救うための計画 -- 10. 女たちが王子を勝ち取れなかった失敗 -- 11. 首相からの戒め -- 12. 王子の首相への返答 -- 13. サキャ・サンガへの入門 -- 14. サンガとの衝突 -- 15. 亡命の申し出 -- 16. 出家、道を求めて -- 17. 別れの言葉 -- 18. 家を去る -- 19. 王子と召使 -- 20. チャンナの帰還 -- 21. 喪に服する家族

§1. 彼のクラ(家系)

  1. 紀元前6世紀において、北インドは一つの主権国家を形成していなかった。

  2. 国は多数の州に分割され、その中には大きいものもあれば小さいものもあった。中には王政国家と非王政国家があった。

  3. 王政国家は全部で16あった。
    アンガ(अङ्ग Aṅga)
    マガダ(मगध Magadha)
    カーシー(काशी Kāśī)
    コーサラ(कोसल Kosala)
    ヴルッジ(वृजि Vr̥ji)
    マッラ(मल्ल Malla)
    チェーディ(चेदि Cedi)
    ヴァッツア(वत्स Vatsa)
    クル(कुरु Kuru)
    パンチャーラ(पञ्चाल Pañcāla)
    マッツシャ(मत्स्य Matsya)
    シューラセーナ(शूरसेन Śūrasena)
    アシュマカ(अश्मक Aśmaka)
    アヴァンティ(अवन्ति Avanti)
    ガンダーラ(गन्धार Gandhāra)
    カンボージャ(कम्बोज Kamboja)

  4. 非王政国家には、カピラヴァストゥのサキャ、パーヴァとクシナーラーのマッラ、ヴァイシャーリーのリッチャヴィ、ミティラのビデーハ、ラーマガンのコリヤ、アッラカパのブリ、レサプッタのカリンガ、ピッパルヴァナのモーリヤ、スムスマラ山に首都を置くバッガがあった。

  5. 王政国家はジャナパダ、非王政国家はサンガまたはガナと呼ばれた。

  6. カピルヴァストゥのサキャ族の政治形態が共和制か寡頭制かは、ほとんど分かっていない。

  7. しかし、少なくとも、サキャ族の共和国には多くの支配家族があり、その支配は交代制であったことが知られている。

  8. 支配家族の長はラージャとして知られる。

  9. シッダールタ・ゴータマが生まれた当時、ラージャの座はスッドーダナだった。

  10. サキャ国はインドの北東隅に位置し、独立国家だった。しかし、後にコーサラ王の勢力が強大になっていった。

  11. その結果、サキャ国はコーサラ王の許可なしに特定の主権的権限を行使できなくなってしまった。

  12. 当時存在していた王国の中で、コーサラ王国とマガダ王国がは強大であった。パセーナーディー王(コーサラ王)とビンビサーラ王(マガダ王)は、シッダールタ・ゴータマと同時代人である。

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