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6/5 ニュースなスペイン語 Takotsubo:たこつぼ

スペイン語の記事を読んでいたら、いきなり「Takotsubo」なる文字が出てきてびっくりした。

正確には「たこつぼ型心筋症(miocardiopatía de Takotsubo)」、またの名前を「ブロークンハート症候群(síndrome del corazón roto)」のこと。

原因は最愛の人を突然失くすなど、外的な、そして、強いショック。

あまりの悲しみに胸が張り裂けそう、などという表現があるが、たこつぼ型心筋症では、まさに、ストレスによって、胸が締め付けられ、そして、最悪の場合、死に至ることもあるという。

スペインでは、今、このブロークンハート症候群が注目を集めている。

きっかけは、先日24日、アメリカ合衆国南部のテキサス州ウバルデで児童と教師21名が亡くなった拳銃乱射事件だ。

犠牲となった教師の内のひとりイルマ・ガルシア(Irma García)の夫のジョーが、妻の死にあまりにもショックを受け、ブロークンハート症候群で亡くなったという。

血液を送り出す左心室(ventrículo izquierdo)の一部の筋肉が、強いショックを受けることで、突然、異常をきたす。この時の左心室の形がたこつぼ(vasija)に似ていることから、たこつぼ型と命名された。日本で1990年代に発見されたという。

もちろん、初耳。外国から知らされる、日本(人)の知られざる業績や側面――。外国語からの思わぬプレゼントのひとつだ。

さて、ブロークンハート症候群の原因は極度の感情(emociones extremas)やストレスフルな状況(situación estresante)だ。

恋の病(enfermo de amor)などと言われる失恋の痛み(dolencia)もブロークンハート症候群を引き起こすらしい。

心筋梗塞(ataque cardíaco)と似た症状(síntoma)らしく、突然の胸の痛み(dolor repentino de pecho)や呼吸困難(dificultad al respirar)を伴うという。数日、長くても数週間経てば、もとに戻る(revertir)。

心筋梗塞との主な違い(diferencia principal)は血管(arteria)だ。心筋梗塞では血管が詰まる(no se bloquea)が、たこつぼ型心筋症はこうした詰まりはない。

また、たこつぼ型心筋症の患者は強いストレスを感じていることが多い、そして、喫煙(tabaquismo)や高血圧(hipertensión arterial)、高脂血症(hiperlipidemia)、糖尿病(diabete)などの、心臓病の危険因子(factores de riesgo)がないという。

一般的に、更年期(menopausia)を迎えた女性に見られるらしい。これは閉経(fin de mensuración)によってホルモンのバランスが崩れるかららしいが、詳しいシステムは、よく分からない。60〜75歳の女性が一般的な患者(paciente estándar)という。

ストレスを受けないことはできないが、逃げることは出来る。ストレスに立ち向かう生き方を否定はしないが、辛いことから逃れることは恥でもないし、立派な生存戦略のひとつだ。 

ウバルデのガルシア夫妻はあちらの世で再会を果たしただろうか。ふたりには誰にも壊されることのないストレスフリーな生活を永久に送ってもらいたい。

写真はたこつぼ型心筋症のレントゲン写真。なるほど、たこつぼ、とはよく言ったものだ。