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緊迫を脱したあとに

ひとは、自分の存在の危機を脱したあとに、
かえって、
その苦しみにさいなまれるのだと思う。

ほら、
自分がピンチのときって、
緊張しまくって、気をはっているから、
痛いとか、悲しいとか、苦しいとか、
感じているようでいて、
とっても麻痺しているから。

ふっと、気が抜けたあとのほうが、危険。

いろんな思いや、いろんな出来事が、
降っては沸き、降っては沸き、
どんどん どんどん
苦しさで押し潰されそうになる。

そんなとき。
ほんの、ささいな一言が、突き刺さる。
ささいなら、まだましなほうで。
傷ついていることを自覚しつつあるこころに、
追い打ちをかけるような一言があったとしたら。

それはもう、
耐えて、耐えて、耐えてきた
こころの糸が、ぷっつりと、
切れてしまうかのように。

あるいは、
我慢して、我慢して、我慢してきた
こころのコップの水が、
ほんのひとしずくで、溢れかえるように。

そうやって、
ひとは、あるとき、
限界を超えるのだと思う。


そうなる前に。
そうならないように。
そう思いながらも、
ひとは、誰かのそれを、
防ぐことができずにいる。

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