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慣れたのか、受け入れたのか

祖母の家には、いつもいろんなひとが訪れていて、
一日に、何度も、いろんなひとが、入ったり出たりしていた。

わたしは、祖母はなんて人付き合いがいいんだろうと、
少し憧れの目で見ていた。

きょうだいの多い中、
3姉妹でいつもトランプをして笑っていて、
ページワンのルールが、マイルールになったり、
ルールを忘れてしまっていても、
涙を出しながら大笑いして、笑い飛ばしていたのを、
いまでも覚えている。

ある時は、
みんなで集まっている中、家に突然、
「会場貸してくれ」
と、変なひとが入り込んできて、勝手に家具を移動しだしたこともあった。
そんな時も、祖母は勇敢に立ち回り、
揉めることなく、その不審者を追い返したと言う。

そんなたくましい祖母を、
母の複雑な思いを知らずに、
わたしは羨望の目で見ていた。


時は経って、
一緒に遊んでいた仲間が、年老いて、
ひとり、またひとりと亡くなっていった。

祖母は、
「寂しくなるわ」
と、さめざめと泣いた。

そんなことが、何回も続いていった。


「みんな、死んでしまった。
だーれも、いなくなったわ。」

ある日、ポツリと祖母は言った。

遠くを見つめる目。

そこには、さめざめと悲しんでいた祖母はいなかった。

何かを受け入れて、
祖母は、ただただ遠くを見ていた。


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