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ヴィクトリア朝ロンドンの日常生活

この本は、ヴィクトリア朝時代のロンドンの歴史と文化を、一般市民の視点から紹介したものです。
著者のマイケル・アルパートは、ウェストミンスター大学名誉教授で、スペイン内戦やフランコ政権に関する著書があります。
この本では、ロンドンの食事、衣服、住宅、医療、教育、娯楽、犯罪、宗教など、さまざまな側面を詳しく説明しています。
また、当時の資料や写真、挿絵なども豊富に掲載しています。

この本のスタイルは、学術的でありながらも読みやすく、興味深いエピソードや逸話も盛り込まれています。
著者は、ロンドンの発展と荒廃を飲み込んだ世界都市としての特徴や、貧富の差や階級の問題など、社会的な背景も分かりやすく解説しています。
言語の使い方は、明快でわかりやすく、専門用語や固有名詞にも注釈がついています。

この本のテーマやメッセージは、ヴィクトリア朝ロンドンの日常生活の「実像」を知ることで、その時代の人々の思想や感情、価値観などを理解することだと思います。
著者は、ロンドンの歴史や文化に対する愛情と敬意を持って、客観的でありながらも共感的な視点で書いています。
この本を読むことで、ヴィクトリア朝ロンドンの魅力や複雑さ、矛盾や苦悩などを感じることができます。

読んでいる間に気づいた興味深い点や感じた感情は、以下のようなものです。

- ロンドンの食事や衣服には、植民地からの影響や移民の存在が色濃く反映されていること。例えば、カレーやチャイ、チョコレートやバニラなどの食材や、インドや中国の織物や染物などの衣服が流行したこと。

- ロンドンの医療や衛生の状況が非常に悪く、コレラや結核などの感染症が多発し、平均寿命が低かったこと。しかし、科学や技術の発展によって、次第に改善されていったこと。

- ロンドンの娯楽や文化が多彩で豊かであったこと。劇場やサーカス、博覧会や美術館など、さまざまな楽しみ方があったこと。また、ディケンズやシャーロック・ホームズなど、ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした文学作品が多く生まれたこと。

これらの点については、感心したり、驚いたり、楽しんだり、悲しみや同情を覚えたりしました。

この本のお勧めポイントは、ヴィクトリア朝ロンドンの日常生活を詳細に知ることができるという点です。
この本は、歴史や文化に興味のある人はもちろん、ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした小説や映画のファンにもおすすめです。
この本を読むことで、その時代の雰囲気や背景をより深く理解することができます。

注意すべき点は、この本が320ページとやや分厚く、内容も密度が高いという点です。
この本は、一気に読むよりも、章ごとに区切って読む方が良いかもしれません。
また、この本は、ヴィクトリア朝ロンドンの日常生活に焦点を当てているので、政治や経済などの大きな歴史的な出来事についてはあまり触れられていません。
その点は、別の資料を参照する必要があるかもしれません。

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