やれば出来るかも が 増えてきた
学校のスキー教室は ここ2年 新型コロナで中止になっていた。
5年生で 初めてのスキー体験。
3、4年生で行くスキー場よりも 斜面が ちょっと急なスキー場。
自閉症で引っ込み思案な息子は きっとリフトにも乗らずに
下の方の斜面で 最悪ソリ遊びかな〜などと 勝手に思い込んでいた。
それは担任の先生も 同じだったようだ。
スキー講習が始まる前、インストラクターさんが
「上手になりたい人っ!」と言ったら 息子が真っ先に手を挙げて
大きな声で「ハイっ!」と言ったのだそうで これには先生方も驚いた。
でも現実は ちょっと厳しい。
10人くらいの初心者クラスに 一人のインストラクター。
担任の先生がついてくれていても そこは、スキーを教えるプロじゃ無いから。見守るのが精一杯だっただろうと容易に想像がつく。
スキーだけじゃ無いけど、スポーツって 見るだけで出来る子は
元々運動神経が良くて 正直 そういう子は心配しなくても良い。
けど、運動オンチこの上ない両親の元へ生まれてきた息子。
運動神経なんて 多分 無い。いや、歩けてるから有るっちゃ有るけど、
どんなスポーツでも そつなくこなすなんて 無理。
それは 親も自分も 承知の介。
なので 午前中はハッキリ言って上達どころか、スキーで立つことさえ
難しかったらしい。
担任の先生は、「申し訳ないけど」息子には下の方で ソリ遊びしよか、と
提案しようかどうしようか悩みながら 美味しいカレーを食べたそうだ。
すると初心者グループのインストラクターさんが先生の所へやってきて
「彼にはマンツーマンでインストラクターを付けたいのですが。」と
言ってくれた。先生は驚いて「よろしいんですか?」と聞くと
「だって、彼は上手くなりたいという意思表示をしてくれましたからね!
それに応えるのがプロとしての我々の仕事ですので!」と笑顔で言ってくれた。
早速 息子の意思を確認してくれた先生。
息子は「やってみたいです」と答えた。
かくして 午後はマンツーマンで1時間教えて貰えることになった。
先生は 心配しながらもリフトで上の方へ登り、時折 下の斜面で練習する
息子を見ていたそうだ。
最初こそ、大丈夫かな?だった息子が 1時間しないうちにボーゲンで滑り始め
1時間経つ頃には パラレルになれそうなバランスで板を揃え始めていた!と
先生もビックリの上達ぶりだったそうで。
1時間後には リフトで初心者コースの仲間と合流。
ついには 何度もリフトで上へ登っては ボーゲンで滑って降りてくる、となり
「転んで痛くて すっごく疲れたけど、滑ってる時は すごく気持ち良くて
楽しかったよ」となった。
スキー講習会で「一番の上達ぶり」だったそうだ。
このところ、「やれば出来るかも?やってみようかな?
どうせやるなら上手くなりたいな」が増えてきたように思う。
スイミングを2年続けることが出来て、クロールなら25メートルを泳げるように
なって 今は平泳を15メートル泳げるようになってきたらしい。
そういう自信がついてきたからか、臨海学習のカヌー体験の時も
一人乗りのカヌーで楽しそうに漕いでいる姿が 写真に写っていた。
先日は、児童会長の選挙で 応援演説責任者なるものに
選ばれてしまったそうだ。
本人は めっちゃ悩んで「僕には無理だと思うんです。」と 先生に相談しに
行ったらしいのだが、先生は「やってみる前に諦めちゃって良いの?やれるだけ
やってから、やっぱり無理なら もう一度相談にのるよ。」と言って下さって
本人は下痢になったり熱を出したりしながら 何とか乗り切った。
一つ一つは 小さな事で、一つ一つは 大人から見たら なんだ、そんな事か 的な出来事だけれども 自閉症の息子には難しく感じること、
実際に難しいことが たくさんある。
それでも 先生や友達や 自分自身との葛藤や励まし、
見える努力や見えない努力を自信という力にして 少しずつ自分で考えて
取り組めるようになってきたし 出来ないことは「教えて、助けて」と
言えるようになったのだろうな、と思える。
それが親だけに限らず、色々な人に 色々な形で言えるようになって
それが ただのgiveして貰うだけにならずに、自分も努力してgiveを返せる
ようになれば 信頼して貰えることを理解できてきたのではないだろうか。
なんだか、頼もしいなぁ。いつの間にか頼もしくなってきたんだなぁ。
暦の上では 春が来た。
少しずつ少しずつ 私にも 春が来ているような気がする。
サポートありがとうございます。自分の時間をゆっくり作り出すために、遠慮なく使わせて頂きます🙇♀️。