But Not For Me
「But Not For Me」はチェット・ベイカーの曲で、ジュディ・ガーランドやビリー・ホリデーなど多くの人がカバーしている、いわゆるジャズのスタンダードナンバーだ。
と言っても、僕はちっともジャズには詳しくなく、マイルスはいきなり「Bitches Brew」から入ってしまい、それきりになってるし(僕には難解だった)、未だジャズで聴くのはビル・エヴァンスかデューク・エリントンくらいで、それもたまにと言った程度だ。
先日、スーパーへ買い出しに行った。
前日に遊び呆けてたせいで身体は疲労困ぱい。とてもじゃないが外出するような気分でなかったが、食料の備蓄が残り少なく仕方なく買い出しに出かけた。
帰りがけ、車のカーステレオから流れたのはチャット・ベイカーの「But Not For Me」だった。あまり聴き馴染みのある曲ではなかったが、疲れた身体にはその邪魔しない感じのサウンドがとても心地良く聴こえた。
今まであまり気にも留めなかったのだけど「But Not For Me」とは直訳すると「でも僕のためじゃないんだね」と、僕の拙い英語力でそう理解してる。
それまでは、好きな女の子に相手にされなくていじけてる男の歌なのかなと思って、未練がましい内容だ、と思っていた(自分もその中に含まれてるんだけど)。
しかし、スーパーからの帰り道、疲れた身体でその歌を聞いていると、別の解釈が生まれて来た。
そうだよな、こんなのあるあるで世の中の大抵のことは、自分のためにある訳じゃないしな。
そう思うと、少し気が楽になった。
もう本格的に年末だ。
明日は、僕が忌み嫌うクリスマスイブだ。
しかし僕が忌み嫌ったところで、世界は僕のためにあるんじゃないし、たんたんと時間は刻まれ、じきに24日を迎える。
もう何度も書いたような気がするけど、今年は最悪の年だった。職は失うし、恋人ともグチャグチャな関係になり終わったし、まあこれ以上書いても、キリがないので止めにしておくが。
しかし、それも「But Not For Me」なんだからしかたないよな。
そう思うと、少し気が楽になれた。
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