短波トランシーバーキットの製作(1)

早いもので、無線の免許を取ってから40年近くたってしまいました。安くて高性能な無線機が少し小遣いをためれば手に届く価格帯にあり、ちょっと背伸びをしたい中学生や高校生が簡単に入門できたものです。完成品の無線機の他にも半完成品を組み立てるものや、部品から全部組み立てるキットも売られていて、お金がなくとも時間と根性が余っている人々(私も含む)は、そういうキットを組み立てて、無線局の免許を受けたものです。

さて、時はたち、それが無線機であることを意識しなくとも携帯電話やスマートフォンが日常に道具として使われるようになり、さらにはインターネットで世界の情報にアクセスできるような社会に変わってしまいました。昔とった無線の免許もいつしか使わなくなり、数年前に無線機一式を処分しました。

ところが、無線機を処分したことがかえって過去の思い出を刺激し、適当な系統図を書いて免許を復活させてしまったのが3年前のことです。改めてこの趣味を眺めてみると、やはり昔のようにキットに興味が湧いてきます。そこで知ったのが、VNシリーズという短波トランシーバーのキットです。

7MHz, 10MHz, 14MHzとバンド毎に用意された出力5Wの電信専用機で、これはすごいと思いながら、動向を気にしていました。そんな中、さらに、3.5MHz/1.9MHz用が開発され、試作機の組み立て(および問題点の抽出)の参加者を募っていることを知ったので、迷わず挑戦することにしました。これから書くのは、このキットVN-L5(人柱版)の製作記です。

1. 開発環境の整備

今時の機械なので、当然のように中にはマイコンで制御されている部分があります。マイコンにプログラムを書き込むために、MPLAB X IDEという開発環境と、実際に下記むためのライターPICKit 3が必要となります。PIC自体は以前から使っていましたので、いい機会だとPICKit 3を購入しました。そして、MPLAB X IDEの最新版をインストールしたところまではいいのですが、肝心のコンパイラXC16がどうやってもインストールに失敗してしまいます。よくよく見てみると、Windowsの32bit版には対応していないようなので、64bit版で動いている別のPCにインストールすることになりました。せっかくの統合開発環境なので、キットが届く前に慣れておこうと簡単なプログラムを書き込んでみることにしました。

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MPLAB X IDEとPICKit 3を使い、ICSPヘッダと開発ターゲットを接続しておくと、マイコンは基板に刺したままでプログラムの変更ができるようになります。7年も前に作った基板に無理やりICSPヘッダに相当する配線をつけて、実際に試してみました。そうこうしているうちに、無線機のキットの部品一式が届きました。

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(つづく)

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