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USBドングルで気象衛星を受信する

 USBポートに差し込んで特定の機能を持たせる機器をUSBドングルと言います。ここではデジタルテレビ用のチューナーとして開発されたものを指します。代表的なのがRTL-SDR.COMで、有志の方々がドライバーやソフトウェアを開発しているおかげで非常に多機能な受信機として使うことができます。
 価格も数千円程度で手に入り、ちょっと遊んでみるのには手ごろなところです。たとえば、SDR#というソフトウェアを使うと、航空無線やアマチュア無線などを簡単に聞くことができるようになります。
最近、SatDumpというソフトウェアの存在を知りました。これは、USBドングルで気象衛星からの電波を受信し、画像として表示するものです。広帯域受信機やアマチュア無線機があれば、WXtoIMGというソフトウェアで受信した信号から画像に変換することができるのですが、SatDumpとUSBドングルを使えば、あとは適当なアンテナを用意するだけで気象衛星からの画像が表示できるようになるので、その手軽さは比較になりません。
 このnoteを書いた時点でソフトウェアのバージョンは1.1.0ですので、これから書くことは今後のバージョンアップにともなって変わってくることが予想されます。あらかじめご承知おきください。
 SatDumpはいくつかのプラットフォームに対応しています。私は普段Windows 11を使っていますので、ダウンロードサイトからSatDump-Windows_x64_Portable.zipを入手しました。インストーラー付きのものはなぜか動作しませんでした。
 ファイルをダウンロードしたら適当なフォルダーに展開して、satdump-uiというファイルをダブルクリックするだけで起動します。詳しい操作方法については後日書くことにして、まずはソフトウェアがUSBドングルを認識しているか、Record→Deviceと進んでリストを確認します。他のソフトウェア(例えばSDR#)が動作していれば、それっぽいデバイスが表示されているはずです。これを選択したら、Samplerを2.4M spsにしてその下にあるStartボタンを押します。これで、受信帯域内のスペクトルとウォーターフォールが表示されるはずです。何も出てこない場合は、FFT Minを下げてください。また、LNA Gainを調整したりAGCのチェックボックスを入れてもいいでしょう。これは、USBドングルを使ったことがある人なら特に説明する必要がないと思います。
 受信できるようになったところで、Processingのリストから対象の衛星を選びます。NOAAであれば NOAA APTを選択します。さらにその下に衛星の番号を入力するところと、周波数を入力するところがありますので、NOAA-19を受信したければ、どちらもそれに合わせてください。周波数を指定すると、スペクトラム表示の中心に目的の周波数が表示されているはずです。

受信画面

あとは、衛星が来るのを待ち構えて、Startボタンを押すと、受信とデコードが開始します。適当なところでもう一度同じボタンを押すと終了し、受信した画像が保存されています。Settingで、自分の位置を緯度・経度・標高で入力しておくと、Trackingという機能が使えるようになります。自分に対して衛星はどこを飛ぶのかなど、有用な情報が表示されます。これも、気象衛星を受信したことがある人なら他のソフトウェアで衛星の位置を確認しているはずですので、それほど難しくはないと思います。衛星が飛来したら自動的に受信する機能も搭載されているようですが、現在の環境ではうまく動作しませんでした。
 最後に、2023年9月29日に北海道で受信したNOAA-19の画像を紹介します。これも、地図を載せたり、擬カラーを使って着色したりする機能が搭載されているようですが、まずはUSBドングルだけでこれほど鮮明な画像が得られることだけを紹介しておきます。なお、アンテナは天頂方向を向いたターンスタイルです。特に追尾はしていません。de JI3XOK/JM8SMO

2023年9月29日に受信したNOAA-19の画像

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