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上級ハムの試験問題を理解する試み(2)

続いて、平成30(2018)年8月期の問題A-3を解いてみましょう。

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物理学で重要な考え方に、保存量があります。ある条件のもとでは、つねに一定の値をとる量を保存量と言い、質量、運動量、エネルギー、電気量がその代表的な例です。電気回路の閉回路(一周してもとに戻ってくる回路)を考えると、エネルギーと電気量が保存されます。つまり、電気量が変わらないので、閉回路に流れる電流(断面を通る単位時間あたりの電気量)は、回路のどこをとっても同じになります。さらに、電気量Qの電気は、起電力Vの電池によってエネルギーQVを得て、抵抗によって電圧降下V’を起こすことでエネルギーQV’を放出します。回路全体で考えると、起電力の総和=電圧降下の総和になることがわかるでしょう。これをキルヒホッフの第2法則と言います。

この問題を解くためには、まず、回路に流れる電流の向きを仮定します。どちらでもいいのですが、時計回りとしておきます。閉回路に流れる電流はすべて同じなのでこれをIとおきます。
時計回りを正として、起電力の総和を求めると、24[V] – 12[V] = 12[V]です。一方、電圧降下の総和を求めると、 10[Ω]×I +20[Ω]×I +10[Ω]×I+20[Ω]×I= 60[Ω]×Iとなります。両者は等しいので 12[V] = 60[Ω]×I。したがって、I=0.2[A]が求められました。
点dを基準としたときの各点の電位は、以下の通りです。
点a: 24[V] - 10[Ω]×0.2[A] = 22[V]
点b: 22[V] - 20[Ω]×0.2[A] = 18[V]
点c: 20[Ω]×0.2[A]= 4[V]

したがって、正解は2です。

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