ICOM CI-Vのデータを見る
ICOM製の無線機に装備されているREMOTE端子は、CI-Vという規格で外部機器との通信を行うためのものです。PCと接続して周波数や通信形式を自動的に記録したり、あるいは設定したりするのによく使われていて、多くのソフトウェア(Turbo HAMLOG, CTESTWIN, WSJT-Xなど)が対応しています。
これがうまく動作しているときは気にならないのですが、何かトラブルがあったときには問題の切り分けをしなければなりません。ハードウェアなのか、ソフトウェアなのか。あるいは単に設定の問題なのかと、考慮しなければならないことが多くあります。
そこで、汎用の端末エミュレーターTera Termを使って信号を見てみることにします。Tera Termのインストールは公式サイトからダウンロードしてインストーラーを実行するだけです。ここでは省略します。次に、16進ダンプの機能を使うために設定ファイル(teraterm.ini)を編集します。この作業は、Bye Bye Mooreというサイトの記事に従って、Debugという行を編集するだけです。ただ、teraterm.iniが格納されているフォルダは、私の環境ではC:\Program Files(x86)\teratermでした。
; Display all characters (debug mode)
Debug=on
これで準備が整いましたので、Tera Termを実行します。はじめに「新しい接続」という画面が出てきます。ここで「シリアル(E)」に切り替えて、USB/シリアルインターフェースが接続されているポートを選んでください。端末画面が表示されたらShift+ESCを2回押します。押すたびに音が鳴るはずです。次に、シリアルポートの設定を確認します。画面上部のメニューから「設定」→「シリアルポート」と進むと、次のような画面が現れます。
初期設定では9600bps、8bitパリティーなし、ストップビット1bitになっているはずです。
次に無線機の設定をします。IC-706mk2Gを例にします。この機種はLOCKを押しながらPOWERを押して電源を入れると、イニシャルセットモードに入ります。BANDを押すと設定項目が選べますので、35 CI-V BAUDにします。ここで、上で書いたように9600を選びます(初期設定はAuto)。POWERを押すと内容が保存されます。今度は通常通り電源を入れてください。メインノブを回して周波数を変えると、画面に文字が表示されるはずです。
たとえば、FE FE 00 58 00 40 87 05 14 00 FDと表示されたとします。最初のFE FEはCI-Vのデータであることを示すプリアンブル、次の00は相手先アドレス、58は発信元アドレス(IC-706mk2G)を表します。このあと、逆順でデータが来ます。後ろから並べると00 14 05 87 40 00となります。最後のFDはCI-Vのデータが終わることを示します。実際に無線機の画面を見ると、確かに、14.058.74と表示されています。
ここまでうまくいっていれば、無線機からPCへの通信には問題がないことがわかります。PCから無線機へのテストはこの環境ではできませんが、少なくともハードウェアや設定の問題があるかないかは、ここまでのテストで確認できるはずです。 de JM8SMO
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