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はじめての真空管アンプ

 世代的に、真空管アンプという言葉の響きだけでも特別なものと感じてしまうのは仕方がないのでしょうが、もちろんかつては真空管アンプというのは別に珍しいものでもなかったはずです。テレビもラジオも、あらゆる電子機器には真空管が入っていて、用途に合わせて無数の真空管が製造されていたのです。今さら真空管アンプに手を出すとすれば価格的にもハイエンドオーディオの世界になりそうですが、いつか作ってみようと集めていた真空管の中に面白い球があったので、はじめはこの真空管で簡単なアンプを作ってみることにしました。

 今回使った真空管は50EH5という耳慣れない型番のものです。最初の数字はヒーター電圧を表しますので、2本直列につないでトランスレスで使うために設計されたものと想像できます。(あるいは他の組み合わせも可能でしょう)。ネットを検索してみると製作記事が見つかりましたので、ほとんどこの記事の回路の通りに作ってみることにしました。


回路図

 もとの記事では電源の平滑回路にRCフィルターを用いているのに対して、チョークコイルを使っているところくらいが変更点です。また、出力トランスはNPO法人ラジオ少年で扱っているBT-OUT-1ALを用いました。上の回路図では省略してありますが、もとの記事と同様に感電防止用にネオンランプの検電端子も設けてあります。

 部品が揃ったところでシャーシに穴をあけて部品を仮配置してみました。チョークが思ったよりも大きく、妙な存在感を醸し出しています。

仮配置

 これまで作ったことがなくとも製作記事はよく見ていましたので、平ラグ板を使ってそこに部品を取り付けることにしました。

配線前のシャーシ内部

 トランスレスとはいえ100V以上の電圧を扱うので、まずは電源回路を配線してヒーターが点灯することを確認しました。それから残りの配線を行い、真空管ソケットに規程の電圧が来ていることを確認してから試運転を行いました。

試運転の様子

 入力端子に何もつながずに電源を入れると、ヒーターが温まったのかスピーカーからぶーんというハム音が聞こえてきました。これは使い物になるのだろうかと少々不安になりながらも音源としてスマートフォンのイヤフォン出力を接続したら、ハム音が消え、適当な曲を再生したら無事に音が鳴ってくれました。
 音質については、使うスピーカーに依存しますし周波数特性も歪率も測定していないので断定的なことは言いずらいのですが、感覚的には素直な音が出ているようです。真空管だから特別いいとか悪いとかいうことはなく、むしろ存在を感じさせないとでも表現すべきでしょうか。
 いわゆる「沼」に入ってしまえば抜け出せなくなりそうなので、真空管アンプというものを作ったことと、それが実用になっているということで今回は満足したいと思います。

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