日本史学卒業論文テーマ決めの方法
私の大学の日本史学研究室では、学部4年生の4月に、4年生と先輩の大学院生が一同に会して、4年生が今やりたいと思っている卒論のテーマを聞き、指導教員に話すより前にアドバイスをもらうというイベントがありました。
それで、そのときに出した、気合いをいれて作った(と当時は思っていた)レジュメがこちらです。
当然、まだ「何をやりたいのか」を話すだけなのでそこまで深める必要はなかったのですが、当時のレジュメを見ると、「こいつは卒論で失敗するわなー」と言わざるを得ませんね。
何がダメかも踏まえて、卒論のテーマ決めで注意すべき点を述べていきます。
①やりたいことは本当にやれること?
まず、当時の私は、前回書いた通り、「古代の法会」を研究したいと言っていました。それではテーマが広すぎるうえ、独自性が見出だしにくいと思って、二つ加算したのです。
「奈良の寺院に興味があるから南都寺院にしよう」
「単なる法会じゃなくて、そこに神仏習合をつけたそう」
正直なところ、もはや願望でしかないですね。
何よりも、
一体どんな史料使うんだって話ですよね。
例えば、法会なんかはほとんど中世以降の史料しかないんですよ。
同時代性のない史料を使うのは、
「確実にこの時代にも当てはまる箇所がある」
ことを言えるような史料批判が必要となります。
せめて、史料解題なんかで半ば通説化していればどうにかなるんですがね。
あと、他分野の研究使えば新しい観点が見えるかもしれませんが、きちんと到達点を知らないといけないから途方に暮れます。
それも史料批判したうえで同じフィールドに持っていけるのは大変な労力がいるので、並大抵の学部生には難しいと思います。
②参考文献について
基本的に4月頭からガンガンに読んでけということはないのですが、ここであげてる参考文献って、本来研究テーマにかかるものであるべきなのですが、愚かな私は、
とりあえず自分の興味ありそうなタイトルの本
をあげてるだけです。
法会を調べたいから、『儀礼に見る日本の仏教』
特にたくさん調べられてそうだから二月堂関連の研究
で、そこに書いてあることを都合よくかいつまむ→たまたま行ったシンポジウムのネタを使い最新の動向を踏まえた感を出す→それぞれこじつけてテーマ設定と研究内容に書く
もはやホラもいいところですね。
まだ教授陣のもとには行ってない段階ですしし、院生さんたちは大目に見てくれます。が、中身は見かけ倒しです。
こういうときに見ておく参考文献のポイントって、
・実際に自分の目指すテーマをカバーする形になっている著書や論文なのか
を、を内容確認することと、
・著書や論文で使われているのはどんな史料なのか。
です。まだ10本も著書や論文を読む必要はありませんが、
・最低限抑えておくべき研究者の名前
・見るべきだと思う史料
ぐらいは挙げておきましょう。
何度も言いますが、そこまでやり過ぎない程度でいいですよ。
前者はcinii(https://ci.nii.ac.jp/)と大学図書館のOPACで検索して、よさげな著書や研究探して、
・大まかな内容をつかむ
・そこの引用史料を把握
・注を見てその他の先行研究を何点か把握
これぐらいの準備でOKです。
仮テーマ設定するときにこれだけやっておけば、最初の指導教官との面談はクリアできます。
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