神の恵みחֶסֶד(ヘセド)

旧約聖書で「恵み」と訳されていることばは、ヘブル語では、חֶסֶד(ヘセド)と言います。ヘセドは、旧約聖書の中では230回も使われている言葉です。「愛、憐み、慈しみ」という意味もありますが、日本語には訳しきれない意味を含んでいます。
 
特徴としては、ヘセドには、「神との人格的な関係」が含まれているということです。聖書に書かれている通り、神と人は多くの「契約」によって結ばれています。「契約」と聞くと、なんだか無機質な取り決めのようなイメージがありますが、神の契約は、「神と人とを結ぶ愛と交わり」です。ヘセドには、「その愛と交わりに対する誠実さ」という意味もあります。
 
では、私たちの身近にある宗教はどうでしょうか。古代インド哲学や仏教思想を特徴づける言葉として、『輪廻転生』、『因果応報』があります。『輪廻転生』の世界観は、現世で生きている自分の肉体が滅んで死を迎えた後、魂がなんらかの形を持って、また現世で生まれ変わるというものです。
 
その生まれ変わりは、人だけではなく、動物や虫かもしれないというもので、業(ごう)と呼ばれる現世での行い、カルマによって決められるそうです。これは『因果応報』です。このように、限りなく生と死を繰り返す『輪廻転生』は、本来は苦行、苦しみです。
 
キリスト教には、このような思想はありません。私たちは神の作品であり、主は愛をもって、ひとりひとりを唯一無二の存在として創造してくださいました。肉体が滅びても私は私のままで一直線です。
 
主の恵みによって生かされている私たちですが、時には間違った道にそれてしまうことがあります。それでも主に信頼して、主から離れずに歩んでいる人たちを、主は受け止めて肯定してくださいます。神がこのように私たちを愛しく思ってくださるのですから、私たちには「神との契約=愛と交わり」に、とどまり続ける誠実さと責任が求められます。
 
JGCFの活動の目的は、クワイア間の愛の交わりです。テーマ聖句は<第Ⅰヨハネ1:3>です。「私たちが見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えます。あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです。私たちの交わりとは、御父また御子イエス・キリストとの交わりです。」
 
私たちが祈りと賛美をもって交わる事は、父なる神、御子イエスと私たちを結ぶ愛と交わりそのものとなります。神の恵み、חֶסֶד(ヘセド)に感謝して大いに交わり、心からの賛美をともに捧げましょう!

毛利佐保師 (亀有教会副牧師)