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全国一斉学校休校への対応のドキュメンタリー(2020.3.1のFB投稿)

2020年2月27日(木)、新型コロナの感染が少し目立ち始めた頃、新型コロナウイルス感染症対策市町村長会議が県庁で開催されました。夕方終了し、当時まだ岐阜市内にあった自宅アパートで妻、次男と夕食をとり始めてまもなく、6時過ぎにニュース速報が流れ、公立小中学校・特別支援学校の臨時休業要請があったとのニュース。「はあ??」と絶句。そして、長い夜の対策が始まったのでした。政府発表後の夜のドキュメンタリーを記録として残しておきたいと思います。

<18時過ぎ>

県庁での新型コロナウイルス感染症対策市町村長会議の終了後、岐阜の自宅アパートで、妻・次男とともに夕食をとり始めて間もなくのこと、18時過ぎにテレビのニュース速報が流れ、「全国の公立小中学校・特別支援学校の臨時休業要請」との一報が入りました。

「はあ??」と絶句。一体何のことかわからず、しばらくしてニュースの続報が入り、政府の対策本部会議で総理が表明したこと、週明けの2日(月)からであること、公立小中学校、特別支援学校が対象であることがわかりました。

しかし、それ以上の詳細が分からないので、すぐに教育長や教育委員会の事務局長に連絡をとって、何か連絡が入っているかを確認しました。

急遽登庁して対応してもらったものの、何ら情報がないということで、とりあえず継続しての詳しい情報収集を依頼しました。

<19時〜20時ごろ>

19時過ぎのニュースで総理発言の内容がわかりましたが、詳報が入りません。19時半過ぎ時点で県教委は電話がつながらず、学校教育課長から個人的なルートで聞いてもらっても連絡なしとのこと。

この時点で思ったのは、すぐに詳細の連絡が入らないということは、少なくとも政府内でバタバタで決まった内容であるのだろうなあということでした。となると、おそらく今夜は情報が入らない可能性が高いと考えました。

この時点で、総理の発表は臨時休業の「要請」でしたし、そもそも学校の設置者は市町村、飛騨市は私が責任者になるので、最終的にどうするかは市長の責任で判断することだ、と考えたのでした。

となると、まずはこの要請をどう考えるかです。24日の政府の専門家会議、25日の政府の対策本部からの流れで、感染者、接触者がいようといまいと、全国的に集団発生を抑えるために対策に踏み出すというのが前日来の流れでしたから、臨時休業については実施する必要があると考えました。

しかし、学校を突然休みにするということは、そもそも仕事をしている保護者は仕事を休めずに途方に暮れることは間違いありません。さらに2日から休みにするということは、翌日、12時間後には最後の登校となるわけで、児童生徒も、先生も混乱は必至です。

これが12時間早ければ、まだ対策の検討のしようもありますが、夜となっている以上、それは無理。せめてもう1〜2日あればと思いました。

ただ、考えてみると、そもそも、これは市が判断することであるわけですから、政府がどう言おうが、内容の決定は市がすればいいわけです。

そこで、飛騨市は政府の要請にかかわらず、休業の開始を3月3日(火)に遅らせよう、そうすれば、翌日の28日から4日間稼ぐことができるから、必要最小限の時間は取れるし、保護者の動揺は少しでも軽減することができる。市内で感染者が出ていれば別だが、ここで1日遅らせても、十分目的は達せられると考えました。

そうしたうえで、一番考えなければならないのが、保護者が看ることができない子どもたちのことです。少人数で特別編成のクラスを作るか、児童クラブを拡大して行うかということになります。

現実的には、児童クラブをやるというのは、春休みの前倒しと考えればいいわけなので一番ハードルが低いだろうと考えました。

ただ、感染対策が必要なので、通常の密度の高い児童クラブとは全く違う形態にしないといけない、そうなると学校の教室を広く使うことになる、となれば、指導員などだけでは不足するから教師が加わった形になるのではないかと考えました。

こうしたことを考えて、まずは教育長に電話をし、こうした考えになるのではないかと思うが、検討してほしいと伝えました。教育長からは大筋でこの方向でいけると思いますとの返答があり、調整に入ることにしました。

送迎のこともあります。長期休みであれば親の送迎となりますが、元来、想定されていない事態なわけです。しかし、スクールバス自体は元々運行される予定であるわけですから、それはそのまま使えばいいことになります。

そこで相談の中で、スクールバスの運行は通常通りということにし、迎えのみ保護者にお願いするという方針にしました。そして、公共交通を担当する総務課長にその旨伝えました。

さらに、児童クラブを利用しないが、親が休むというケースも想定されます。そうなると会社の理解が必要です。企業への要請はしようということにしましたが、市が率先する必要があるとも考えました。もちろん、市役所自体も該当の保護者は大勢います。

そこで、これも総務課長に、今回の臨時休校に伴う柔軟な勤務体制、特別休暇の取得などを検討するように指示を出しました。

しかも、教育委員会には、これをなんとか夜のうちに決めてしまいたいとお願いしました。朝になってから会議をして決めるというのが普通かもしれませんが、大々的に報道されているわけですから、保護者の不安はかなり広がっているでしょうし、少しでも動揺が収めるためには、週明けまで余裕がある、子どもは児童クラブで預かると決める必要があると思ったからです。

実際に、Facebook上ではそうした声が出ていました。ですので、とにかく何とか夜のうちに、しかもできるだけ早い時間に方向性を出そうとお願いしました。

同時に危機管理監にも連絡を入れ、こうした流れで検討しているので、翌朝対策本部を開催するよう指示しました。

こんな流れで、20時台の議論が市役所内で進んでいき、都度電話で連絡をもらいつつ、方向性を固めていきました。

こういう時は、積み上げの議論をするよりも、結論の発表資料を作ってしまう方が議論が早いというのが私の経験則です。それを元に検討していった方が早いからです。

そこでパソコンに向かって、私の考えをFacebookに投稿できる形の原稿にまとめる作業を始めました。原稿を教育委員会の事務局長に送ったのが21時半過ぎでした。

<21時半ごろ〜>

総務課長から返事が来て、勤務日の振替、サテライト、在宅勤務、特別休暇を認める内容で調整した旨、連絡が来ました。

並行して、支援を要する子どもたちのことを考えないといけません。特別支援学校や特別支援学級の子どもたちは児童クラブでというわけにはいかないからです。

市民福祉部長に連絡を取り、日中一時支援、放課後デイに春休みと同じ体制での受け入れ要請をする方針を決めました。両者とも夜も遅くなっていたため、連絡が取れないこともあり、また、市民福祉部長からはおそらく大丈夫ではないかという見通しもあったので、今夜は要請をするという旨を発表して、翌朝できるだけ早い時間に要請するということにしました。

ここで実務的な検討をしている間に、次男と一緒に風呂。うちの次男は一人で風呂に入れないこともあって、私がいる時は一緒に入るようにしています。風呂から出てきて、次男が寝入るまでは妻に任せて、引き続き調整再開。

<22時半ごろ〜>

私が送った文案をもとに、最終まとめの段階に。Facebookのメッセンジャーを使って教育委員会事務局長とやりとりをしていたのですが、教育長、学校教育課長もFacebookのアカウントがあることがわかり、4人でメッセンジャーのグループを作って共有しながら進めることにしました。

細かい調整は色々と出てきましたが、概ね23時頃までには方向性がまとまりました。

最後に、飛騨教育事務所に対しては、飛騨市は3日から臨時休業に入るという旨を伝えておきたいという話があり、それを待っていましたが、伝達が済んだ旨、承知した旨の連絡がありました。

<23時半ごろ>

これで調整は完了です。最終的に文案の細かいところを調整し、FB上に投稿したのは23時26分でした。

細部の詰めが必要なことと、深夜に近づいていたこともありましたし、市民の方々で私のFacebookをご覧になっている方は相当おられると思われましたので、おそらく保護者の間である程度は情報は流れただろうと思います。

いずれにしても、細部の詰めは翌朝になりますが、大筋の方向性だけでも示すというのが方針でしたので、これで良かったと思っています。総理の発表を耳にしてから、5時間ほどの出来事でした。

一通り終わったので、ウィスキーをロックで一杯。あとは明朝ということになったのでした。

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